姉、落ち着く
重大な話としているとは
言ったものの、コナーさんをと
求めている相手が誰か絞れず、
1人悩んでいると、
「エスメさん、私の事は気にせずに」
コナーさんからそんな言葉を貰うも
「ミランダもそうですけど、
コナーさんもこの領にと誘ったのは
私です。
2人には幸せになって欲しいのです」
拳を握りしめて力一杯伝えると、
「お心遣いありがとうございます。
そのお気持ちだけで十分ですよ」
困ったように眉を下げつつも、
軽く頭を下げながらの言葉に、
深入りはして欲しくないのだと
察し、
「わかりました。これ以上は詮索
しません。ですが、何かあれば
すぐに知らせることを
約束してください」
了解と共にお願いを伝えると、
「分かりました。必ず伝えます」
そうコナーさんから返ってきたも
のの伝えてくれるのはミランダの
事だけでコナーさんの事は教えて
貰えないんだろうなぁ。
そんな考えと少し寂しい気持ちに
なり、ミランダに視線を向けると
正解だと言わんばかりに微笑まれ
「ミランダも気軽に来れる距離では
ないけれど遠慮なく言ってね」
ダメ押しでミランダにも伝えると
「ええ。その時はお願いしますわ」
頷いてくれたものの、
ミランダも、何かあった時は
連絡くれなさそうだから、ミラに
手紙でこっそり教えて欲しいと
お願いしなきゃ。
最優先事項。
頭の中でメモをし、テーブルに
置かれている紅茶を飲んでいると
ノックの音が聞こえ、不思議に思い
つつ返事を返し、テアさんが対応に
出てくれたが、
「エスメ、入りますよ」
聞こえてたお祖母様の声に慌て手に
持っていたカップをソーサーに戻し
勢いよく立ち上がり出迎えると、
少し眉を吊り上げたお祖母様の
表情に身体中に緊張が走り、
何か言わなければと頭を回転させる
も何1つ思い浮かばず
「お祖母様」
溢れた言葉になんとも言いえない
気持ちに、口を閉じれば
「楽しい気持ちはわたくしも理解
できるわ。だけど、心配をして
待っているリリーやディランの
気持ちは分かっているの?」
普段と変わらない口調と声高さに
注意なのだと分かるものの、
すっかり忘れていた事に、
気付かされ
「はい、すみません」
好奇心を優先しすぎた事への謝罪を
すると、困った子だと微笑まれ、
「久しぶりの再会だもの。積もる話も
あるでしょう。今日も泊まりなさい
ミランダ、コナーもよろしいかしら?」
是としか返事を返せない口調と言葉
作りに、ミランダもコナーさんも
頷き返しせば
「明日の登校までに間に合う様に
帰宅をするのよ」
そう言い終わるとお祖母様は部屋から
出ていき、浮ついていた雰囲気が消え
たものの、ソファに座りミランダと
顔を合わせれば、
互いに笑い合い
「明日まで居て良いの嬉しいな」
「そうですわね」
そんな言葉を交わし合うと、
引き締まっていた部屋の雰囲気が緩み
「そういえば、ミラはどうしているの?」
思い浮かんだ事を尋ねると、
ミランダが珍しく含み笑いをし、
「とても素敵なレディになっておりますわ」
返してくれた言葉に、幼いままのミラしか
知らない自分には不思議で首を傾げると、
「恋する力というのは凄いと、
感心いたしました」
コナーさんの言葉になんとなく察する事が
できた。




