姉、予想する
1つ話題が終われば次へ移り、
それが終われば次の話題へ。
まだまだ喋り足り無い。
楽しく華やかな雰囲気が
部屋中に広がり、ミランダも
街の様子に、工房の様子を
少し深く教えてくれ、
「結婚という事ですので、お祝いを
用意しておりますの」
ミランダが言うには、工房で働いて
くれている方が良い人と出会い、
結婚することになり、
自宅のアパートでお祝いに送る
レースのハンカチを作っている
のだと言う。
「喜んでいただけると良いのですが」
ポツリと溢した言葉に
「皆、喜んでおりますので、ご安心
ください」
コナーさんが伝えると、ミランダは
柔らかく微笑んで頷いた。
工房で働いている方から結婚する
と報告を受けたらお祝いとして
ミランダ個人から祝いの品を贈って
いるとの事で、
手紙には書かれていない初めて知る
事に、
「私もお祝いを贈りたいけれど、
見も知らぬ人からに贈り物は
怖いよね」
楽しそうで参加したい気持ちはある
ものの、王都へ行ってから工房へは
顔を出していない為、知らない方々も
多く、お祝いしたい気持ちとせめぎ
合っていると、
「大丈夫ですわ。工房の代表として
エスメさんの名前で祝い金を出して
おりますから」
ミランダの言葉に首を傾げつつ
頷きつつ記憶を探れば、
王都に来た頃に手紙でそんな報告を
受けた記憶もあり、
「手紙に書かれていたような。
忘れていたわ。ごめんなさい」
失態を誤ると、
「いいえ。実際に関わらないと
覚えきれる事はありませんわ。
わたくしも最初の提案と許可のみ
で知らせておりませんでしたもの」
気負わない様にと2つの工房から
届く報告書類は重要な物だけが
書かれているのみ。
ディランに詳しく聞いてみよう。
頭の中でメモの様に記憶させ、
今度、結婚をする方の話を聞けば
2人とても幸せそうだと嬉しそうに
微笑んでおり、
「幸せ気分のお裾分けをもらったわ」
言葉通り幸せな気持ちに浸る中、
「エスメさんは結婚に興味は
無いのですか?」
コナーさんの質問に、
「無いわ。むしろディランと
そのお嫁さん幸せになる様に全力で
尽くすつもりだし、生まれた子供を
可愛がりたい」
即座に返事を返すと、
「エスメさんらしいこと」
ころころと笑いながらミランダが
頷き納得してくれ、
「コナーさんは
良い人はいないのですか?」
何気なく尋ねた言葉に、
「私は、ミランダ様がご結婚され
お子様の教育係になると言う使命が
ございますので」
居ない。
そう答えが返ってきたものの、
「実は、コナーを嫁に欲しいと、
相談が来ているのよ」
ミランダの言葉に一気に部屋にいる
全員が色めき出し、
「その話、詳しく」
壁に控えている3人の気持ちを
代弁すると、ミランダも楽しそうに
「詳しくは言えないけれど、昔から
この街に住む方でね、なんでも
コナーの強気の性格と勤勉な所に
わたくしに尽くしてくれる姿に
惚れたそうよ」
どこか誇らしげに教えてくれ、
「その男の人、見る目ある」
数度深く頷い告げた感想に、
「ええ。わたくしもそう思いますわ。
まず、本人よりわたくしに許可を
取りにきましたもの」
主としてか、それとも家族としての
気持ちか、それとも双方か、
少し敵意の様な感情を混ぜた言葉に
コナーさんは嬉しそうでもありつつも
複雑な表情をしており、
これは、近日中に良い報告が
聞けるのでは?
と、なると相手は、男性は誰だろう?
好奇心がむくむくと出てくる。
ミランダとコナーさんの関係を
知っている。
何より、ミランダもコナーさんも
その男性を悪く思っていない。
むしろ好意的。
私が知っている人物かな?
「その人は私の事も知っている人?」
我慢できず尋ねると、
「ええ」
ミランダはすんなり頷いてくれた。
私が知っている男子は、
お祖父様に、イルさんをはじめ屋敷で
働く人達、それとギルト長に騎士団の
人達。
本屋の店主さんに広場で露店をしている
店主さん達。
思い出しても指が足らない数の人々に
お祖父様とイルさん以外、可能性のある
人達で
「ヒントください」
思わず縋ると、
「騎士団では無いとだけ申しますわ」
楽しそうに笑いながら答えをくれ、
人数が絞れた様な気もしつつ、
「屋敷で働く人では無い?」
さらに絞るべく尋ねると、頷いてくれた。
これで半分以上は減ったものの、
コナーさんの私生活が分からないので
中々絞れずにいると、
ノックが聞こえ、返事をし入室をして
もらうと、お祖母様付きのメイドさんで
「そろそろお時間かと」
帰宅を促す言葉に、窓の外を見れば
夜の色が広がっており、
お祖母様の言葉通り帰らなければならない
のだが、
「ごめんなさい。今、重大な話をしているので
もう少し時間がかかるとお伝えください」
コナーさんの相手が気になり、つい引きの
ばす伝言を伝え退出を促すと、1礼をし部屋を
出て行った。
予告投稿が上手く設定できておらす申し訳ありませんでした。




