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とある方々と御息女のお茶会

2022/12/27誤字修正を行いました教えてくださった方ありがとうございます。



雲が空を覆い冷たい風が街を吹き抜ける街ゆく人々が足早に移動する日々が続く中、ガラスで作られ樹々が植えられたハウスの中に、テーブルと椅子を置き数人の少年達が集まりたわいのない話に花を咲かせていた。


「報告書によると中々大変な旅だったみたいだけど無事に到着したみたいだね」


手に持っていたカップをソーサーに戻しながらの言葉に


「賊に襲われたと報告後、即座に現場に向かい手足を縛られていた賊達を捕縛し尋問をかけた所、余罪が多くあり1つ1つ証拠集めをしている所です」


集まっている少年達より身長が少し大きな人物からの言葉に頷き


「そう。怪我も治りつつあると聞いて入るけれど心配だね」


「右腕の骨折ですが治りつつあると、弟君から報告書をいただいております」


声の主から右側に座る少年からの返答に口元を緩め、


「順調に治ってるなら良いね」


カップを手に取り再び口を付けると周りの青年達も習う様にカップに口に近づけ


「ご本人は動きたくて時折無茶をしていると聞き及んでおります」


周りにいる少年達にだけ聞こえる様、意図的に声を落とした言葉に


「好奇心旺盛の方だからね。今の状態は退屈なんだろうけど」


眉1つ動かさず、呟く様に返えし何事も無かったかの様にカップをソーサーに戻す。


何気無い同年代で同姓同士の交流を深める為のお茶会も裏では姉弟の報告が主となっている。


皆、かの屋敷に同年代の弟と交流を持つという理由を表に出し、国と諸外国から注視されている姉の姿を見に行っているので抽象的な例えでも誰の事を指しているのかが判断できる。


皆、裏表の無い笑顔と姉としての弟を思う愛情が溢れんばかりの対面を果たした。


久しく向けられていない純粋な歓迎と言葉と笑顔。


愛情しかない弟に向ける視線と態度。


弟と対等に対応してくれた事が嬉しかった。


嫌味も無く、純粋に褒めてくれ自分の努力を認めてくれた事が嬉しかった。


表情、言葉、行動。


全てが心の中にあり、お茶会の事を思い出すだけで心が暖かくなり優しい気持ちにも沈んだ気持ちを持ち直す事もできた。


随分時間が経った今でも鮮明に思い出し、報告書が届く度に頭の中で想像し心が一喜一優してしまう。


1日何時に起き、誰と喋り、何を食べ、何をし、何時に寝た。


1日を1枚の紙に綴られ送られてくるを見るのが最近楽しみであり、こうして報告をしあう日を心待ちにしてしまう。


ここに居る全員が同じ様に思い同じ感情を持っている。


出なければ、こんなにも感情を出して話し合う言葉どない。


勿論、他人には悟られない様に奥の奥まで隠して入るがどうしても同じ感情を持つと思うと親しみが湧き情報の共有をしたくなってしまう。


ダメだと思えば思う程、沸き起こる気持ちが溢れ止める事ができなくなっていく。


叶わないと理解しているのに欲望が膨らんでゆく。


その姿を思い浮かべれば手を伸ばし横にいて欲ってしまう。


あわよくば弟に嫁に贈り繋がりを持てればとも全員が考え願望している。


同士であり好敵手でもある。


「次のお茶会も楽しみだなぁ」


王都での起こってしまった事を考え自領へと行ってしまった姉弟を思い浮かべ小さく笑うとそれぞれの反応がかえり微笑ましく思い紅茶を一口飲み込んだ。




それぞれが想いに馳せ言葉無く過ごす中、背後から聞こえてきた足音に気を引き締めると


「御令嬢が到着いたしました」


従者からの言葉にお茶会の終わりを告げられ、


「ありがとう。こちらに案内して貰えるかな」


主として指示を出すと、胸に手を当て礼をし扉に待機しているメイドと護衛騎士に指示を出しに背を向け歩いて行く。


「我々はこれで失礼いたします」


右側から聞こえてきた言葉に、


「忙しい中、来てくれてありがとう。また招待状を送るのでその時はきてくれると嬉しい」


立場上の返事を返すと皆頷き返してくれ、椅子から立ち上がるので見送る為に同じ様に立ち上がると


「皆様、もうお帰りでございますか?」


少し高く柔らかな声にゆっくりと振り返り


「今日は来てくれてありがとう」


挨拶と共に微笑み、近寄り手を差し出すと頬を少し赤らめ嬉しそうに微笑み


「ご招待いただき誠にありがとうございます」


本来ならとるべき淑女の礼も自分が手を持っている事でできない為、微笑み共に軽き膝を曲げるのみの挨拶になったが気に求めず、


「ここ最近は寒い日が多いハウスなら日差しも入り暖かいから、君との時間が寒さに取られる事なく長く一緒に居れるのでは思ってここにしてしまったよ」


遠い道のりを歩かせてしまって申し訳ない。


腰を曲げ指先にキスを送りながらの言葉に嬉しそうに笑い


「お気遣いありがとうございます。私の事を思っての事、歩く事など厭いませんわ」


柔らかな言葉に心の中で安堵し、体制をエスコートに変え先程とは少し離れた場所に作った会場へ案内をする。


短時間に全てを整えた者達へは感謝の言葉を告げなければ。


心の中でお茶会終了後の予定に加え、互いに向かい合い椅子に座るとメイドから紅茶が置かれ、互いに1口飲み、


「まぁ、今日の紅茶はいつもと味が違う様に思います」


ソーサーにカップを置いた後、頬に手を当て首か傾げる姿が可愛く


「いい茶葉が手に入ったと聞いたので王妃から分けていただいたんだ。気に入ったなら館でも飲んで欲しい」


微笑みながら土産があるの伝えれば、


「まぁ、そのような特別な物を頂く訳には」


さらりと礼儀に沿った言葉に


「僕も王妃も勉強を頑張ってくれている君に何かしたくて用意した物だ。気にせず受け取って欲しい」


微笑みを深くし茶葉の意味を告げれば、目元を下げ


「ありがとうございます」


嬉しさを噛み締めるように告げられた言葉に


「僕も王妃から褒められる言葉を聞くと嬉しく誇らしいし、君に呆れられない様に一層勉強に身が入るよ」


同じく僕も嬉しいのだと伝えれば、瞬間驚いた表情を見せたがすぐに微笑みに変え


「私も呆れられぬ様、一層身を入れて勉強を致しますわ」


淑女として完璧と言われる微笑みと言葉に


「無理はダメだよ」


困まったように微笑み返した。


そこからは同年代の淑女達の中で流行りや読んで面白かった本や話しをし過ごすも


「御息女様が道中お怪我をされたお聞きしましたわ」


誰それの領や特化した物の話しからの流れて繋がれた言葉に


「弟を守っての怪我と聞いている」


少し乱れた心を治す為、カップを手に取り紅茶を飲み返事を返すと


「大変仲の良い姉弟と聞いております。弟さまのお心を思うと心苦しくなりますわね」


頬に手を当てため息と共に出された言葉に頷き、


「経過は順調だと書かれてもいた。大丈夫さ」


励ますように手を伸ばし頬に置かれていた手に触れると


「そうですわね。ただ御息女様はお怪我で動きが制限されている身。お暇だと無理して動かしていないかも心配ですわ」


頬から手を離し握ってくれるので、力を入れ握り返し


「君は御息女に会ったことがあるのかい?」


言葉を返せば、恥かしそうに微笑み


「幼き頃に魔術省侵入した際に拝見しましたわ。私達の事を見て笑ってくださったのを今でも鮮明に思い出せます」


愛おしそうに話す言葉と表情が幼く見えるも可愛らしく


「そんなやんちゃな事をしていたなんて想像もできないな」


微笑みながら茶化すように告げれば、さらに頬を赤くし


「幼き頃の事ですのでもう無効ですわ。ですが、初めて拝見した御息女様は楽しそうに嬉しそうに笑ってくださって、とても嬉しかったのです」


思い出の出来事を大事な宝物の様に話す姿に


「そうか。僕も見てみたかったな」


ぽつりと本音を溢すと


「あら、お茶会でお会いした聞き及んでおりますわよ。私こそお会いしたですわ」


わざと怒って見せる姿に小さく笑い


「今度、一緒に行こうか」


数年後にあるお茶会に誘えば、


「絶対にご一緒させて下さいませ」


約束ですわよ。


嬉しそうに笑い、告げられrたお願いに絶対と約束を繋ぎそれからは姉弟の話で花を咲かせた。


彼の方は同性すら魅了してしまうのか。


関心と小さな嫉妬を感じながらもお茶会は無事に終えた


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