姉、話が止まらない
挨拶を済ませ、お祖父様の案内で
移動する途中、
「お帰りなさいませ」
働いている手を止め、自分に
向かって帰宅の挨拶と礼をくれる
各職のメイドさんに、
「ただいま帰りました」
笑顔で挨拶を返しつつリビングへ
入り、ソファに座る前に、
「お祖父様、お祖母様、こちら
お父様とお母様からです」
自分に課せられた役目を果たす
為に紙袋を手渡すと、
「おお、すまないな」
嬉しそうに頬を緩めるお祖父様と
「いい匂いね。午後の時間の
ティーフードにしましょうね」
柔らかな微笑みで受け取って
くれたお祖母様の言葉に、
「楽しみです」
笑顔で頷き返し、お祖父様
お祖母様がソファに座ったのを
見てから腰を下ろせば、
ティーセットか置かれ、
「ありがとうございます」
お礼を伝えると、目礼で返事を貰い
ふんわりと香る花の香りの紅茶の
匂いを楽しんだ
後、一口。
「初めて飲む味です」
いつもの紅茶の味とは違う味に、
驚き、そのままを口に出してしまい
慌て
「色が普段飲む紅茶と違う気が。
それと、渋みが少し強いような、
ですが、後味がまろやかと言いますか」
紅茶の感想を伝えると、
「良く勉強をしているわね」
教える方が良いのかしら?
満足そうに微笑み紅茶を選抜し
提供をしてくれたお祖母様のご期待に
答えられて様で、
心の中で安堵の息をこぼした後、
「はい。いつも優しく丁寧に教えて
いただいております」
ミランダの事を名前を声に出さず
に伝えると、
「その様ね」
頷きと共に返ってきた言葉に微笑んで
返事をすると、
「エスメ」
お祖父様からの呼びかけに顔を向けると
「王都はどうだ? 楽しんでいるか?」
幼子の様に目を輝かせ、尋ねてくれた
お祖父様に笑顔で頷き、
「はい。素敵なクラスメイトに囲まれ
日々、ルイと共に楽しく過ごしております」
一応、形式に従い返事を返したのち、
「聞いてください、ディランが素敵で
かっこ良くて可愛いんです」
その話を始めてしまえば、もう止まる
事は無く、ディランの日々の姿、
ルイの成長、マリーとの出会いから
今日までの仲、アメリアとの関係、
手紙で書いて知らせていたものの、
それこそほんの一部で、身振り手振り
を交え、話しているとお祖父様は
ディランとルイの話に満足げに頷き
「良い、関係性を作れているようで
何より」
「ディランにもルイにも良い師が
いるのだな」
騎士団長の事を褒め、
マリーの話では
「わたくしでも数年かけて覚えた
事を2年で覚えるのは大変なのに、
努力家なのね」
お祖母様は微笑み、
マリーの頑張りを認めてくれ、
「アメリア嬢は良いお王妃になる
様で安心ね」
学園がある日の淑女教育での
アメリアの話をすると、満足げな
頷と共に告げられた言葉に、
「はい。私もそう思います」
力強く頷き返す。
ルイもマリーもアメリアも偶然で
結ばれた縁を大切に思いつつ、
「最近のディランは成長が著しく、
立派になり、嬉しくもありますが、
少し寂しいです」
本音を溢すと、お祖母様は少し
眉を下げたのち、
「手紙で知ってはいたけれど、
大変だったわね」
ディランの反抗期だった事への
労りの言葉に、
「はい。辛くて、寂しくて、
必要なのは分かっていますが
このままずっと続くのかと思うと
心が折れてしまいそうでした」
心の奥底にしまい、見ないふりを
してきた感情を言葉にすると、
「良く頑張ったな」
言葉と同時に大きな手で頭を撫ぜて
くれ、鼻の奥がツンと痛み涙が溢れ
そうになったが、瞬きをして誤魔化し
「ありがとうございます」
お礼を伝えると、来客の到着を
伝えると言葉に、話を止め出迎える
為ソファから全員が立ち上がると
「ご招待いただき、
ありがとうございます」
カテーシーではなく、腰を下り礼の後
に部屋に入ってきたミランダに
「来てくれて、嬉しいわ」
お祖母様が歓迎の意味を込め1歩前に
出てミランダを出迎え、
「久しいな。元気そうで何よりだ」
お祖父様も歓迎の意味で一歩前に
出ると、
「ありがとうございます。
穏やかに過ごさせていただいております」
淑女の微笑みではな、大人の笑みに
自分がいない間の関係性を見て、
寂しさを覚えたが、
お祖母様からの視線で話す事を許され
「ミランダ久しぶりだね。元気だった?」
まずは久しぶりに会えた喜びを感じようと
声をかけた。




