姉、思い付く
放課後のマリーの淑女教育もつつが無く
終了し、ご褒美のお茶の時間。
今日のティーフードはキャロットケーキ
なので、紅茶はストレートを選び、
「美味しい」
思わず溢れた言葉に、
「お口にあったならば嬉しいですわ」
満足そうに微笑んだアメリアを見つつ
「アメリアの屋敷でクックさんが、
作ってくれたの?」
何も思わず、浮かんが言葉を伝えると
少し驚いた表情をした後、
「ええ。よくお分かりになりましたわね」
頷きと共に帰ってきた言葉に、
「なんとなく、そう思ったの」
見た目が、味が、とかは分からなくて
本当になんと無く、思った事なので
これ以上の言葉が思い浮かばすにいると
「お気になさらないで。気づかない小さな
変化に気づいた。と、言うことでしょう」
楽しそうに微笑むアメリアに頷きつつ、
紅茶をいただき、他愛のない話を続けてゆく。
卒業式で着るアメリアのドレスの一部に
刺繍を入れるらしく、領にある紙刺繍の
職人に頼めないか交渉をしている話。
最近、自分で身にまとうアクセサリーの
デザインをし始めた話。
アメリアは話が上手いので、あまり女性が
見にまとう物に興味が無いルイが珍しく
耳を傾け、真剣に話を聞いている姿に
もうすぐミランダに会えるから、
贈り物を考えているのかしら?
刺繍を刺した布をブローチにするのも
良いかも。
アメリアの話を聞き、思い浮かんが
案を頭の中だけに止め、その日の
お茶会は終了を迎え、
「ディラン、あのね」
我慢できず屋敷に帰る途中の馬車の
中で頭の中にある案を伝えると、
「素敵な発案だと思います」
ディランは頷き返事を返してくれ
「デッサンを書き起こしてみては、
いかがですか?」
フレディの言葉に頷き、
馬車が到着後、いつもディランの
手を借り落ちていた馬車から扉が
開いたと同時に飛び降り、
「ごめん、先に部屋に行ってるね」
出迎えてくれたマルチダを置き去りに
し自室へと駆け込み、
少し息が上がったものの、机に到着し
引き出しから紙と羽ペンにインクを
取り出し、頭の中にあるデザインを
乱雑に書き起こしてゆく。
思いつくままに描き、気がつくと
部屋に制服から部屋着に着替えた
ディランにフレディとマルチダが
描き上げたばかりのデザインを
見ており、
「完成品を販売も良いけれど、
送り人が刺繍を刺した布をブローチに
するのは、どうかしら?」
親から子へ
祖母から孫へ
男性から女性へ。
様々な願いを込めて刺し送る。
「とても素敵だと思うの」
ただ理想を言葉にし伝えると、
「素敵な事だと僕も思います」
柔らかく笑うディランと、そんな
ディランを優しく見守るフレディの
視線を見て、
「お母様にこの案の話をするわ」
その一言で急速に話は進み、ディランと
共にお母様と面会をしソファに座るや
「貴方の思う様に進めなさい」
その一言のみ、新しい案の為
忙しいお母様もさらに忙しくなって
しまった様で、紅茶の1杯飲む
時間で細かな打ち合わせは手紙にて
行う事を告げられ、
「お忙しい中、ありがとうございます」
専属メイトの声かけにソファをお母様
に慌て礼を伝えると、
「少しだけれども、貴方達の顔見れて
良かったわ」
安堵の表情と自分達を案じてくれている
お母様言葉に、嬉しく思いつつ
「私もお母様とお会いできて、
嬉しかったです」
心遣いの礼を伝え、申し訳なさそうに
自室から出るお母様を見送り、
「姉様、戻りましょう」
いつまでも主のいない部屋に留まる
訳にはいかず、名残惜しさを感じつつ
自室へ戻り、ディランとフレディと共に
案を詰めてる日々をすごし、
「明日、ミランダとお祖母様に話すわね」
領へと帰ることを伝えると
「手土産の準備もありますので、
行く際には声をかけてください」
ディランの言葉に返事をし、
「では。姉様、おやすみなさい」
「おやすみ」
就寝のためにディランはフレディを
共ない部屋から出ていく姿を見送った。




