姉、ふっと考える
教室に向かう途中で出会った
クラスメイトや、平民クラスの
下級生からの挨拶を貰い、
ルイと共に同じく挨拶を返し
いつもの様に男性生徒に囲まれ
ながらも自分に視線を向けてくる
女性生徒の横を通り抜け、
教室に入り、クラスメイトと
挨拶を交わし合い、
「エスメさん、おはようございます」
自分の席に向かうと、マリーから
挨拶を貰い
「おはよう、マリー」
先ほどと同じ様にルイと共に挨拶を
交わし、他愛のない話をしつつ
ボーイックの席を視界の端に入れ
つつ、今日も講義を受ける。
学園最後の学年。
卒業式には国王様や王妃様が
来賓として訪れるため、
今から新しい制服を作る様に
帰り際にマナーの講義を受け持つ
教授からの言葉。
まだまだ先だけれど、前の人生の様に
量販店があるわけではなく、1着1着
職人による手作り。
皆、卒業後はその制服を着て職場で
仕事をする。
学園の卒業生と周りに示す事
と、良い生地で作っているので
丁寧に扱えば、数年は着れる。
デザインの流行りがあるのは貴族社会
だけで平民の生活ではほぼ無い。
穴さえ開かなければ何年も着回すのが
当たり前。
頑張った自分に新しい服をプレゼントする。
教授が退出した教室は賑やかで明るい
話し声を聞きつつ、帰りの準備をし
ルイとマリーと共に教室を出て
アメリアが待つ教室へ向かう。
「では、始めましょう」
卒業後、王家へ入る為に
王家のマナーが中心に行われる。
華やで気品を感じる動作も表情も
練習と向上心でできているのだと
知ると、
幼い頃からアメリアはこの様に
習ってきたのね。
尊敬と
この教育を3年で習得をしなけれは
ならないマリーは大変だわ。
心配が心に溢れるも、
自分ができるのは2人を癒す為の
紅茶へティーフードの提供のみ。
もっと何かできたら。
そう考えつつも、今日も2人の為に
蜂蜜とミルクがたっぷりの紅茶を
淹れる準備をする。




