姉、日常を楽しむ
王都に来る前。
ディランとフレディか先に
王都へ行き、1人だった時に
思い付きで生活魔法工房を
取り仕切る親方さんにお願いし
無理をし作って貰った、
自分が使える魔術を全て入れた
魔法石で作ったアクセサリー
火、水、風、木、土
そして光
小粒でかけら寄せ集めただけの
魔法石も、親方の手にかかると
王都の宝石店で商品として、
並んでいても見劣りしない作りと
ディランの優しくて凛と背伸びした
雰囲気に馴染み、
直接会った時にお礼を伝えなきゃ。
1人心の中で、何度も頷いていると
「そろそろ、お時間です」
の言葉に、ディランだ左手を差し
伸べくれたので、
「ありがとう」
お礼の言葉と共に右手を伸ばし
ディランの左手にのせ、外で
待っていく馬車までエスコートに
身を任せた。
途中、すれ違ったメイドさんや
ボーイさん達に、微笑ましそうに
見送られ、
ディランの手を借り馬車へ乗り
込み、ディランが正面に座り
フレディがディランの隣に腰を
下したのち、
壁をノックし出発の合図を出せば
ゆっくりと動き出す。
「そうだわ。フレディ」
昨夜、思い出した事をを実行
すべきフレディに声をかけると、
微笑みながら返事をくれたので
「いつでもいいから、フレディに
あげたアクセサリーを見せて
欲しいの」
突然の言葉にフレディは驚きは
したものの瞬間に平常心を取り
戻した様で、
スボンの袖の中に手を入れたのち
手渡された。
従者として腕につけるのは、
仕事に差し支えるのね。
そんな事を考えつつ、手渡された
アクセサリーについてる、魔法石は
少しくすんでおり、
魔法石を掌にのせ、握り込み
石に集中し光の魔術を入れ、
これぐらいかな。
魔法石の耐久を超えない様に
勘を頼りに止め手のひらを開けると
透明な魔法石になっており
「ありがとう」
上手くできた事に満足し、フレディに
返すと、困ったように眉を下げつつ
「ありがとうございます。
確認不足でした」
お礼の言葉と主に告げられた言葉に
首を振り、
「薔薇のこともあったから、
もしかしたら、と、思っただけよ」
気づけて良かったわ。
そう返事を返すとディランは神妙な
表情をしており、
その顔も可愛いけれど、
「どうかしたの?」
憂いを取り除いていつもの様に
笑って欲しいな。
そんな事を考え声を変えると、
「いえ」
言葉を濁した返事に首を傾げ
さらに尋ねても良いのかディランの
顔を眺めながら探るも、
ルイとの待ち合わせ場所が近い
様で馬車の速さがゆっくりとなり
完全に停止しので、
ルイと話すべく先に馬車から下りた
ディランに尋ねる事ができず、
「フレディ、なんだと思う?」
主語が無いが隣に立つフレディなら
分かってくれるだろうと、言葉短めに
尋ねると
「なんとなくですが」
フレディにはディランが考えている事が
わかる様で、視線はディランとルイに
向けられたまま、
「ただ、確証が無いので言葉に出すことが
憚れます」
告げられた言葉に、頷く事と
「分かったら教えてね」
そう返す事しかできず、
ちょうど話が終わったディランとルイが
こちらに向かってくるので
「ルイ、おはよう」
いつもの様に挨拶をすると、
「おはよう」
挨拶が返り、
「そろそろ行くか」
ルイの言葉に頷き
「ディラン、フレディ。行ってきます」
教室へ移動する為に別れの挨拶を
すると
「行ってらっしゃいませ、姉様」
「行ってらっしゃいませ」
ディランとフレディからも挨拶が
返り、ルイと共に教室に向かって
歩き出した。




