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姉、弟に救われる


ディランに手を繋がれ1歩半後ろを歩くフレディ気配を感じ、寒く感じる廊下を歩くと飴色の大きな扉の前に立つと、するりと前に出て扉をノックし相手に来た事を知らせる。


ゆっくりと深呼吸し、部屋の中から対応に出てくれたメイドとフレディの話ているのに耳を傾ける。


ディランとお見舞い来た事を告げ、メイドを通して中に入る許可をいただきディランに少し引っ張られるように足を踏み入れ、


「お祖母様、お祖父様。突然の訪問お許しください」


ディランの言葉に繋いでいた手を離し腰を折り挨拶をする横で片足を後ろに引きスカートを両手で摘みカーテシーをし挨拶する。


「気にしないで。忙しい中、来てくれてありがとう」


ベッドで寝ているお祖母様の声に強く目を閉じる。


昨日、お祖父様、お祖母様を初めて屋敷の人達に空を飛ぶ魔法のお披露目だった。


アレコレあり、久し振りだった事もあり少しの緊張と空を飛べる楽しみにと嬉しさで箒に跨り少したった頃、お祖母様が倒れられた。


私の魔法を見て驚き倒れた。


お祖母様は安静にしていれば時期に治る。


ディランから告げられても、倒れた経過と医者の診察結果を聞いて呆然なりその日をどう過ごしたのか覚えておらず、朝様子を見に来たディランに連れられお祖母様の部屋へ見舞いに来いた。


ベットに横たわり少し顔色が悪く見えながらも微笑みながら挨拶の返事とお礼を告げてくれてたお祖母様と目を合わすことができず、


「お加減はいかがですか?」


本来なら自分から切り出さなければならないのにディランに任せしまっている事にも情けなくて更に視線を下げてしまう。


「お陰様で。もう元気なのだけど医者や皆が休む様に言うのよ」


困った様な、でもどこか嬉しく笑うお祖母様の声に釣られ少し顔を上げお祖母様の顔を見ると目が合い、


「エスメ。せっかくのお披露目だったのに、貴女には申し訳ない事をしてしまったわ」


柳の様に細い眉を告げられた言葉に無言で首を振り返すと


「病気でもなんでもないのよ。ただの貧血だからそんなに深刻ならないで」


先程よりも優しく柔らかい音の声と言葉に


「貧血、ですか?」


ディランの言葉が挟まり


「ええ。普段、座り仕事ばかりで運動という運動をしていなかったのも原因ね。急に動いてしまったから血の動きが悪くなってしまったの」


ため息をつきながらの言葉に瞬きを数回繰り返しお祖母様の言葉を頭の中で繰り返す。


貧血と立ち眩み。


女性なら良くある症状に、自分の魔法が原因ではなかった事や大きな病気ではない事が理解でき心の中で安堵の息を零す。


良かった。


本当に良かった。


勿論、貧血も立ち眩みも気を付けないと行けない症状だけど。


硬っていた心が急激にほくれていくのを戒めつつディランとお祖母様の会話に耳を傾ける。


「何か気を付ける事など、僕達にできることはありますか?」


ディランの心使いの言葉に、お祖母様は少し困った様に微笑み


「そうね、もしエスメや御令嬢の様子が少しでも違和感を感じたら休ませてあげると良いわ」


ディランへと言葉を返しすと


「ディラン、お前なら普段からできているから大丈夫だ」


お祖母様の枕元に置いてある椅子に座っていたお祖父様が会話に加わり、


「そうですね。貴方と違って聡い子ですもの」


どこかちくりと刺す様な雰囲気の言葉にもお祖父様は気にしていないのか


「それはすまんな」


笑いながらの謝りにお祖母様が呆れながらも微笑んでおり、


仲が良いんだなぁ。


ぼんやりと眺めているとお祖父様の目が合い、


「エスメ。魔法のお披露目は日を改めて設けたい。協力してくれるか?」


先程の穏やかな雰囲気の言葉に


「はい」


頷き返事を返すと、にっこり笑い


「その時は、俺も箒に乗せて空を飛んでくれないか」


思いがけない言葉に驚くよりも先に嬉しくなり


「はい。ご一緒に空を飛んでください」


お祖父様の笑顔に釣られ笑顔で頷きながら返すと


「早々に日にち調整をせんとな」


お祖父様の言葉にお祖母様とディランが困った様にため息を落としたが、それからも少し会話をしお祖母様の負担にならない様に早々に部屋を後にした。


先程まで沈んでいた気分が一転、嬉しくてこれからが楽しみで心が弾みだす。


行きはディランと手を繋いで歩いた廊下をエスコートして貰い歩き、ディランの部屋へ入りソファへ腰を下ろすと、ディランは剣術の練習の為、着替えにと別室へと入る後ろ姿を見送り、


「良かった」


ぽつりと言葉を安堵の息と共に溢し両手で顔を覆った。


考えれば考える程、悪い方向へ考えが進み不の感情に囚われてしまい、今の状態で考えも悪い事しか思いつかないと分かっていたに止められなかった。


ディランには気を遣わせ申し訳ない事をしてしまった。


謝らなくては。


深呼吸を数度繰り返し顔をから手を離し、着替え終わるのを待つ。


そう言えば今日のディランの姿も可愛かったなぁ。


カーキ色のシンプルな飾り気の無いワンピースは確か私の衣装部屋にもあった気がするわ。


今度お揃いで合わせて貰おう。


ディランのワンピース姿にも見慣れてきたのか初日程、心が騒めき叫びたい衝動も少なくはなってきたが


可愛いものは可愛いしディランが不貞腐れる程似合っている。


さすがお祖母様の目利きというべきか、ディランの青年へと変わる年頃がなせる技か


「双方ね」


1人導き出した答えに納得していると着替えが終わったのかディランが姿を見せたので立ち上がり、フレディを連れ自分に向かって歩いてくディランに抱きつき、


「ありがとう」


先程の気遣いの事に礼を告げると、背中に手が回り抱きしめてくれ


「お礼を言われる様なことはしておりません」


胸元から聞こえる言葉に、姉なのに弟で気を遣わせてしまった、もどかしさと悔しさに情けなさ。


それよりも、嬉しさが上回り


「うん。でも、ありがとう」


下を向き、ディランのつむじにキスをすると驚いたのか少し身白くも好きな様にさせてくれるのか背中に回された腕は解かれる事はなかった。



第72話


日々楽しみにしていた柊の花が終わってしまいました。少し寂しく思います。


ブッマークや評価をいただき誠にありがとうございます。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

お時間ありましたらお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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