表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

719/751

従者は安堵の息を溢す


エスメがディラン様や殿下に

水の魔術を発動させてから、


ディラン様は明らかに態度が

変わった。


付き物が落ちた。


そう言いたくなる程に、

反抗期特有の、イライラとした

雰囲気と苛立ちを表に出した表情。


声と言葉に出てくる、苛立ちは

すっかりなりを顰め、


昔のエスメを敬愛し尊敬している

姿と態度に戻った。


学園内で水の魔術を発動させた

帰宅後、それぞれに別室で聞き取り

が行われ、


ディラン様、エスメ、そして自分の

聞き取りに違いは無いかを確かめられ

その答えを持って、


旦那様は国王様達の元へ謝罪と報告へ


奥様も宰相夫人の主催するお茶会へ

謝罪と報告を済ませ、


各所で出たエスメの処分を隣国へ

報告された。


隣国も国益を考え、


要観察


と返事を返してきた。


現状維持


で良いらしく、旦那様も奥様も

一応に安堵に聞いを落とし、

報告を受けたディラン様とエスメを

初め、屋敷で働いている者も


安堵の息をこぼした。


エスメに何かあれば付いて行く。


そう言葉に出す者も現れ、一時は

騒然としていた屋敷も落ち着きを

取り戻し、


ディラン様とエスメの仲が戻った

事に手を叩き、ある者は抱き合い

喜び合った。


1ヶ月ぶりに行われたディラン様の

部屋での朝食にその後のお茶の時間。


隣同士に座り、この1ヶ月間の事を話

している姿に、壁際で待機している

マルチダさんと視線を合わせ、

本人達に気づかれない様に安堵の息を

溢しあった。


本人達も特にエスメは嬉しそうに

過ごし、ディラン様はそのエスメの

姿を不思議そうにしつつも、


理由はわからないけれど、


楽しそうに幸せそうに笑って

くれるので。


と、遅れていた勉強を取り戻しつつも

極力エスメに付き合い、


学園の行き帰りも、


隙間のない程にお隣同士に座り、

楽しそうに話している姿に、


年頃を理由に注意するべき


ではあるものの、無理をして

笑い、ディラン様の反抗期に

耐えていたス姿を知っている為


まぁ、馬車の中だけならいいかと。


甘い判断をしてしまう。


そんな中、


主であるディラン様とエスメを

迎えに学園に行った所、


宰相様のご子息付きの従者に

声をかけられ、


「以前、お礼としていただいた硝子の

薔薇を覚えているか?」


突然の問いかけに、


「はい、初顔合わせのお茶会の時に

お渡しした物ですよね?」


内心戸惑いつつも頷き返事を返すと


「硝子の薔薇をいただいた時は、

透明だったと記憶しているが」


間違いは無いか?


話の先が見えず、どう返答するのが

正しいのか判断つかないまま


「間違いありません」


自分の記憶を元に頷くと、周囲に

居る従者の視線は自分に向けられ

ており、


何かあったのだろうか?


アレはエスメが足元にある土を

魔術で硝子にし作り上げた物。


限りなく透明に近い硝子の薔薇。


「送り主に聞いて欲しい」


真剣な表情と硬い声での言葉の後、


「黒い色に変わった理由を」


理解できない言葉に驚き、

何度も頭の中で聞こえた言葉を

繰り返す。


透明な硝子の薔薇が黒色に

変化した?


どういう事だ?


頭の中に浮かんが言葉に


「1ヶ月ほど前から変色し始め

隙間なく黒くなったと思えば、

突然、無色透明に戻っていた」


答えがもらえ、慌て目の前にいる

従者に顔を向けると、


「声に出ておりましたよ」


魔術師長のご子息付きの従者の

声に、自分の失態を知り


「それは」


言葉を濁すと、


「硝子の薔薇を持つ者が全員同じ

現象にあっております」


柔和な表情と声に、曖昧に返事を

返し


「その場で作られたのも、全員が見て

おります。ですから、不思議なのです」


透明な物が黒く変色した事が、


「そして、それは」


反する魔術が原因では無いかと。


声には出ていないが、口の動きのみで

伝えられた言葉に、


事の深刻さに気づき、


「製作者に尋ねます」


深く頷き返事を返した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ