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姉姉、限界を超える


初めはふんわりとした甘い

匂いだったが、

段々匂いが濃くなるにつれ

鼻を摘みたくたく程に強く感じ、


甘さとどろりとした匂いは


気分さえ悪くし、


胃から競り上がる物を我慢し

なるべく臭いを吸わない様に

息を細くしたり、浅くしたものの


まとわりつく様な臭い以外

考えられなくなり、嫌悪感すら

感じ、


「もう、だめ」


我慢が限界をこえ溢れた言葉と

共に拒否を強くし、


まとわりついてくる甘さと粘着

を振り払うように意識した瞬間


複数の男性の短い悲鳴じみた言葉

に鈍い体を動かし顔を上げると、


ディランとお友達が水浸しに

なっており、


理解ができすに見ていると


「エスメ様?」


フレディの声に顔を向けると、


突然、何を!?


驚きの視線と青ざめた表情い

原因を作ったのが自分だと悟り


「ご、ごめんなさい!

あまりにもひどい匂いがして」


慌て、火の魔術と風の魔術を

発動させ少し風圧の強めの熱風を

作り濡れた体や制服を乾かす。


突然の水を浴びせられ、

理もなく熱風を浴びせられ、


誰もが驚きと怒りを見せても

良いはずなのに、


「姉様」


眉を下げ心配の表情で早足で

近づいてきたディランに、


「ディラン。本当にごめんなさい。

臭いを消したかっただけで、

魔術を発動させたった訳じゃないの」


早口で謝罪と言い訳をすると、


「分かっております。

先程、顔色を悪く口を手で覆って

おりましたが、匂いが原因なのですね」


自分とは反対にゆっくりと言葉を紡ぎ

聞き返してくれたディランに頷き返し


「言い方は悪いのだけど、

その、ひどく甘くて、粘着がある

どろりとした感じで、気分が悪く

なって、その、臭いを消したくて」


ごめんなさい。


ディランの超えて後ろにいる、

ディランの友達に謝ると、微笑み

大丈夫だとそれぞれで表してくれたが


無意識だったとは言え、魔術をぶつけて

しまった罪悪感は拭えず、顔を伏せて

いると


「エスメさん」


聞き慣れた優しく柔らかな声に

顔を上げると、アメリアが立っており


「いきなりの事で驚きはしましたが、

悪意が合っての事では無いのでしょう」


猫の様な目は柔らかく優しげな色を

やどしており、


「はい」


頷きと短い返事を返すと、


「それに、濡れた服も元に戻して

いただきましたわ」


ご覧なさい。


そう、意味を込め告げられた言葉に

まじまじとアメリアを見つめると、


淑女教育の時に会ったアメリアより

表情も明るくなり、髪も艶めいており


「貴重な体験をいたしましたわ。

感謝しましてよ」


なんだから良い方向に向かったようで

アメリアの言葉に腰を折り礼を返事と

して返すと、


「また、明日。

マリーさんとご一緒に会えるのを楽しみに

しておりますわ」


そう言い終わると身を翻し、アメリアが

のる馬車へと歩いて行く背中を見つめて

いると


「姉様、僕達も馬車へ」


ディランの声に頷きフレディの手を借り

馬車へ乗り込み、ディランと対面で座り


「エスメ、明日な」


ルイの言葉に窓越しに頷き返し、

ルイが数歩馬車から離れるとフレディが

出発の合図をだし、屋敷へ向かい

動き出した。


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