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姉、限界を迎える


1人の女性生徒が中庭で泣いている

を見つけてから、昼食後の散歩にで

中庭を歩くと、


木々や花々に隠れ1人で居るのを

見ることが多くなった。


自分達平民クラスとは違うブレザーの

制服は貴族クラスだと一目で分かり、


どうするべきか考えつつ、マリーや

ルイに視線で問いかけると


ゆるりと首を振る時もあれば、

マリーが声をかけに行く時もある。


皆、悲しそうに俯き、時に涙を目尻に

為ている時もあり、


「貴族クラスで何が起こっているんだ?」


ルイの言葉にマリーが真剣な表情で


「分かりません、ですが」


よく無いことは確かです。


眉を下げ悲しげにこぼした言葉に、

どうするべきか視線を空に向け考える。


平民の自分では直接声をかける訳には

いかない。


いくら学園内は平等であると謳って

いても、言葉通りである訳ではない。


学園の平等は同じ敷地内で講義を受け

て、時に行事を身分を超えて行う。


以前、行われたお茶会がそれで。


貴族籍を持ったマリーが声をかけるのは

問題がないので、


ついマリー頼りにしてしまうが、


これではマリーの負担が大きい。

だからと言って泣いている女性生徒を

見て見ぬふりはできない。


ディランに聞けたら1番いいのだけど。


今のディランに聞いて答えが返って

くるとは思えない。


けど、機嫌が良さそうな時に聞けば

少しでも答えが貰えるかしら?


最近は以前程にツンケンしておらず

機嫌が良い日が多い。


今日あたりに聞けた聞いてみよう。


自分の中で答えを出し、午後の講義を

受ける為に3人で教室に戻った。


休憩中に聞こえてくのは貴族クラスの

不穏な雰囲気を纏っている話で、

マリーとルイと視線を合わせ、

他愛のない話をしつつ耳を傾ければ、


どうも、男女の関係にすれ違いが

起こっているのか、


正式な婚約はしていないが、いずれ

するのだろうと思っていた生徒達の

間でいざこざが起こっている。


聞こえてきた話題に、


噂の女性生徒を思い浮かんだ。


そういえはボーイックとはどうなって

いるのかしら?


新学期になり姿を見なくなった

知人を思い出す。


学園に来ない理由は、


家業の勉強をする為。


そう聞いてはいるが、


多分、女性生徒から距離を取る様に

対処されたのだと勝手に思っている。


女性生徒もお茶会での印象を言えば

平民のクラスをしていたのを、突然

貴族なんのだと言われ


戸惑いと困惑に悲しみや怒り。


様々な感情が生まれ、対処できずに

いるのだろし、生活面が一気に

変われば戸惑いと精神面に負荷が

かかり、


上手く感情が制御できないのは


誰にでもある事。


毎朝廊下で見つめられていた時と

違い、そう思い直した。


「いったい、どうしたのでしょう」


小さな声の中に心配の色しかない

マリーの言葉に、ルイと共に

小さく頷き返すと休憩の時間は

終わりを告げた。


本日最後の講義を終え、

淑女教育を受ける為に移動をし

出迎えてくれたアメリアから

指導をもらうマリーを見守り、


ルイと共のフレディの待つ馬車

へ足早に戻り、ディランの様子を

伺う為に外で待つと


どこからともなく甘い匂いがし、

段々、濃くなる匂いに我慢できず

手で鼻と口を覆う。


「エスメ?どうした?」


ルイの言葉とフレディの様子を伺う

視線に


「臭いが」


呼吸に気をつけつつ返事を返すと


「匂い? 何もしませんよ」


フレディの言葉に慌て顔をあげると

不思議そうにこちらを見ており、

周りを見ても馬車の前に立つ従者さん

達も不思議そうに自分を見ており、


「甘すぎる匂い、しないの?」


こんなに濃い臭いなのに?


視線を合っているフレディに尋ねると


「はい。香りません」


いっぱりと言われ、驚くもさらに

濃くなった臭いに限界が近く、


呼吸もしづらく、苦しくなる中

聞こえてきた声に視線を向けると


一段と濃くてどろりとした甘い臭いに

我慢ができず、


「もうむり」


その一言と共に無意識に水の魔術を

発動させてしまい、


馬車に向かって歩いてきた、

ディランとそのお友達の頭上から

大量の水を浴びせてしまった。



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