姉、提案をする
久しぶりにディランを抱きしめ
体格の成長を実感できた。
身長は自分より頭一つ大きいし、
細身に見えてしっかりと筋肉も
ついている。
ルイは体全体に筋肉のつきが
見て分かるけれど、ディランは
筋肉がつきにくいののか、見た目
は細身のままだけど、必要な筋肉は
しっかりついているようで、
腹筋は割れてると思う。
それ程に固かった。
暫くコミニケーションを取らない
だけでこんなに変わるのね。
時の流れの速さに重い息を落としつつ
でも、気づけて良かった。
学園に入ってたし、
ディランにそろそろ婚約者が、
そんな事を思い控えていたけれど、
これからは幼かった時に様に
めいいっぱいかまっていこう。
両手を握りしめ、大きく頷き、
「マルチダ。ディランに今日の
晩餐だけど一緒に食堂で取ろう。
そう伝えてく欲しいの」
部屋着に着替え、結い上げていた
髪を解いてくれているマルチダに
鏡越しにお願いをすると、
「かしこまりました」
手早く髪を解き、櫛まで通し終え
るとマルチダは部屋を出て、隣の
部屋にいるディランの元を尋ね
お願いの返事を貰ってくるはず。
ディランが拒否しようにも
フレディに言いくるめられるん
だろうなぁ。
本当ならば前の様に、着替え
終わったらディランの部屋に行き
お茶をいただきながらそれぞれが
教室で何をし、講義の内容を話たり
とするのだけど、
まずは、晩餐から再会させる。
食堂を指定したのは気分を変える
ため。
少しでも部屋が違えば気分も
落ち着きゆっくりと話ができる
かもしれないし。
心の隅で、昨日のディランの
視線に冷たい声と態度が過ぎる。
「また、その態度を取られたら」
溢れた言葉が耳に届き、両手で
口を塞ぎ慌て部屋を見渡すも
自分以外はおらず、
体の奥底から息を吐き出し
重くなった気持ちと考えを
息と主に出し、
「今日の晩餐は何かな?」
ディランの育ち盛りだから
お肉かも。
落ちていた気分を上げる為に
楽しい事を思い浮かべながら
ソファに座り、
久しぶりにお菓子を作っても
良いかも。
なんだったら晩餐につくじゃが芋
の料理を作っても良いかも。
「マッシュポテト食べたくなってきた」
近くクック長にお願いして作らせて
貰おう。
そう言えば、最近生活魔法道具の
開発をしてない気がする。
一つ思いつくと次々にやりたい事が
思い付き、
「試験までまだ時間もあるし、
思いつくままに行動しよう」
アレコレ思い浮かんだ事に
心躍らせていると、ノック音が
聞こえ
「はーい」
入室の許可を出すと、マルチダが
部屋に入ってきて、ソファに座る
自分の近くまで来ると、
「ディラン様より、晩餐の時間を
楽しみにしている。と、お言葉を
いただきました」
「ありがとう。私も楽しみだわ」
断れなかった事に心の中で安堵の
息をこぼし、晩餐の時間まで
自室で読書をしたり魔法石に
魔術を込めたりし過ごした。




