姉、落ち込む
「おはよう」
教室に入りクラスメイトに自分の
気持ちを悟られない様に気をつけつつ
笑いながら挨拶すると
「おはようございます」
普段通りに挨拶が返り、マリーの背中に
「マリー、おはよう」
挨拶と共に声をかけると
「おはようございます、エスメさん」
挨拶と共に椅子から立ち上がり、
振り向いてくれたので視線が合うと
驚いた様に目を見開いたものの、
すぐさま表情を戻し
「昨日のお茶会はありがとう
ございました」
気づかないふりをしてくれ事に
申し訳なさと、感謝をしつつ
「こちらこそ。ありがとう」
同じテーブルの担当をしていたものの、
ほぼマリーに任せてしまっていたので
お礼を言わなければいけないのは
自分であってマリーではないものの
お礼の言葉を貰えるのは
嬉しくもあり
否定や謙遜をせずそのまま頂戴し
自分の机に鞄を置き、椅子を引き
腰を下ろす。
ルイの気遣う視線を貰いつつ、
ディランの態度と言葉に荒れ狂う
心を見ないふりをし、
ミランダとお祖母様から習った
淑女の微笑みを作り、
アメリアから習った心情を悟らせ
無い様に言葉と対応に最新の注意を
払い、午前中の講義を乗り切り
昼食も早々に済ませ、
中庭まで足を運び、大きく深呼吸を
する。
まだ半日しか経っていないのに
泣きそうになる心を叱咤し
薔薇の花の数も少なくっていきた
庭園を歩く。
「エスメさん」
眉を下げ心配げに声をかけてくれた
マリーに
「お心遣いありがとう。
ごめんね」
申し訳なさと罪悪感で心が枯れ果て
そうになりつつも、意地で泣かない
様に耐えていると、
ルイの大きなため息が聞こえ、
何か話すのではと身構ると、
「反抗期なんだとよ」
誰が。
とは名前は出さなかったものの
聡いマリーは誰の話なのか察した
ようで、困ったように微笑んだ後
「急に言葉使いや態度が変わるので
戸惑いますよね」
言葉の重みと、少しだけ遠くを見た
視線に
「施設の子供達か?」
ルイが問いかけると、
「はい。今も何人かが反抗期で
神父様と対応をしている最中なのです」
困った様にでも愛おしいのだと、
柔らかな表情と声に涙腺が緩みそうに
なり慌て数度瞬きをしていると
「いつ終わるのか分からないので
疲れてしまう事も、苛立ちはぶつけて
しまう事もあります」
マリーは自分の心情が手に取るように
分かるのか、
「神父様と話し合って、見守る時は
見守る、悪い事をした時は注意
もしくは叱る」
そう決めて対応しています。
優しくや包み込むような言葉に声と
表情に、頷くしかできず、
「まぁ、あまりにも酷かったら
俺がまた発散させてやるから」
そんな自分の心情を悟ったルイの
優しさに
「ありがとう」
なんとかお礼を言うことができ、
止めてしまった足を動かし、庭園から
校舎に戻り、教室へ戻った。
午後の講義もなんとかこなし、
淑女教育の為にアメリアにあった早々
「何がりましたの?」
挨拶もそこそこに眉間に皺を寄せた
アメリアの問いかけに、
申し訳に気持ちと、
私、そんに分かりやすいのか。
落ち込む気持ち
混ざり合わない気持ちがぐるぐると
し気分の悪さを感じつつ、
どう、誤魔化そうか。
頭の片隅で考えるも、
「言い訳は聞きませんわ。
ルイ、マリーさん準備を。
エスメは座りなさい」
五指で指された普段マリーが座る椅子
渋々座りルイが人数分の椅子を準備し
その間にマリーは紅茶とティーフード
の準備を済ませ、
いつもとは違い、アメリアの対面に
座らせられ、横にはルイが座り
甘い蜂蜜たっぷりのロイヤルミルクティー
を一口飲み、
話す事を待っているアメリアの視線に
白旗を上げ、
「実は」
ディランと自分の現状を話出した。




