姉、重々しい息を吐く
いつもはディランの部屋で取る
食事だけど
初めて食堂を使用しての取る。
初めて入った部屋に興味が惹かれ
ぐるりと部屋を見渡す。
自分の部屋より狭いが食事をする
だけの部屋だと考えれば、
部屋の中央に置かれた白いテーブル
クロスがかけられた机は、向かい合い
食器を並べても余裕があるが、
会話が聞こえない程に離れてはいない。
食事を運んでくれるメイドさん達の
動きも邪魔にならない広さに
まかさしく食事をするだけの部屋
だと理解ができた。
初めての部屋で食べ慣れた味の晩餐。
好奇心と未体験の楽しさは鬱々とした
気持ちを消し、ルイとの他愛のない話も、
時に笑い合い楽しい時間となった。
食堂でルイとは別れ、マルチダと共に
自室に戻り、入浴の準備に取り掛かる。
「ディランは?」
気にしないようにと思いつつも、
1人になるとどうしても気になってしまい
マルチダに尋ねると、
「自室にてお1人で晩餐を取られたと、
聞いております」
食事の途中でフレディと会ったか、
それとも他のメイドさんから聞いたのか
澱みなく返ってきた言葉に、
「そっかぁ、食べたなら大丈夫かな」
今まで知らなかったディランの態度と
言葉に見に纏う雰囲気に
食事を取らないのでは?
そう思ったが、よくよく考えれば
フレディがそんな事、許すわけないか。
何より、あれだけルイと剣を合わせあった
後だもの、成長期のあるから
いつもより多く食べてるわよね。
ルイとディランが剣を合わせている間に
お願いをした食事の量を増やす事が、
実行できた事を悟り、
少しだけモヤモヤした気持ちが晴れ、
心地よい温度のお湯と香りの良いハーブの
匂いにマルチダが体をほぐすマッサージを
してくれ、
うとうとと微睡の中にいると、
「エスメ様、そろそろ上がりませんと
湯当たりをしてしまいますよ」
普段より少し柔らかい声と言葉に
返事の言葉が紡げず、頷けたかも
怪しいが、どうにか体を動かし
湯船から出ると、
柔らかなタオルに包まれ、
そこから気がつけばベットに
横になっており
「おやすみなさいませ」
マルチダの挨拶に
「おやすみなさい」
挨拶を返したものの、
先程までの微睡はどこかへ消え去り
目だけではなく脳も体も目覚めて
しまい
「寝れそうにないなぁ」
誰もいない天井に向かって呟く。
起きてからのディランとのやり取り
から思い出し、
光の魔術をかけないと1日こんな
感じになるのね。
昨日まで馬車から降りる際に
ディランの手に光の魔術をかけていたが
今日は機会が無かった。
これからこんな毎日が続くのかな。
重くドロリとした気持ちを息と共に
吐き出し、
まだ今日も数時間だけだったのに
早く反抗期終わらないかぁ。
ゴロリと寝返りを打ち瞼を閉じた。




