姉、謝罪とお礼を伝える
満足はとはいかないが
体力の限界まで剣を振るい
肩を荒々しく上下に動かし
呼吸を整えて、ふらつく
体を無理をして立っている
いるディランと
まだまだ余裕をがあり、
息一つ見乱だす事なく背筋を
伸ばしているルイ
と、その2人を前にして
立っている騎士団長の
威圧と怒っているのだと
表した雰囲気に
自分の事ではないが小さな
悲鳴を上げそうになり
喉に力を入れたが、
隣にいたフレディのジャケットの
袖を掴んでしまった。
「大丈夫だ」
ポンと頭に置かれた大きな手に
感じていた怖さは薄れたが、
袖からは手が離せず、
遠くからディランとルイが
騎士団長から注意を受けるのを
見守る。
距離がある為に途切れ途切れで
聞こえてくる騎士団長の言葉を
繋ぎ合わせると
私闘へと発展した原因を尋ね、
話し合いだけで収まらなかった
事への理解。
誰にも許可を取らなかった事への
注意。
時折、ふらつくディランに
支えたくて動き出しそうになる
体を足に力を入れ耐え、
騎士団長、ルイにお願いしたのは
私なんです。
後程、謝ります。
お気持ちは分かりますが
程々、程々にお願いします。
今にも倒れそうなディランに
心配しすぎて声を上げそうに
なると、フレディに口を覆われ
言うに言えず、
心の中で叫んでいると、
こちらの雰囲気を察してくれた
のか顔を動かした騎士団長と目が
合い、フレディの手が口から離れ
るたので
大きく頷くと、こちらの意図を
察してくれた様で2人を解放し
3人でこちらに歩いてくる。
多分、ふらつくディランを支えて
くれているのだろう。
騎士団長の優しさと気遣いに
ありがたく思いつつ、
「ディラン、大丈夫?」
心配で声をかけると顔を横に向け
視線すら合わせてくれず、
問いかけの答えも貰えず、
「フレディ」
横に居たフレディを名前だけ呼び
騎士団長から離れたかと思うと、
フレディだけを連れ屋敷へと
歩いて行った。
動く機会を逃してしまい、
なんとも表現しにくい雰囲気を
誤魔化す様に微笑み
「騎士団長にはご迷惑をおかし、
申し訳ありません。
実は、ルイにディランと
手合わせをし欲しいとお願いを
したのは、私なのです」
謝罪をすると、
「謝罪は必要ありません。
ディラン様の状態は聞いて
おりましたので、近々自分が
手合わせを。と、
考えておりましたので」
先程とは違い優しく雰囲気と
柔かな声の言葉に、
「気にかけていただき、
ありがとうございます」
お礼を伝えたものの、
今のディランとどう接すれば
良いのか分からず、お礼以外に
言葉が紡げないでいると
「そのまま見守るのが良いかと」
騎士団長の言葉に頷き
お礼を伝えると
「エスメ様、そろそろお戻りに
なりませんとお体に障ります」
マルチダの言葉に、
「そうね。ルイも戻りましょう」
頷き返事を返せば、騎士団長は
胸に手を当て腰を折り礼をしてくれ、
見送りをしてくれ、
ルイと共に屋敷に戻り、
自分は自室へ、ルイは着替える為に
別れた。
隣の部屋ではフレディからお小言を
貰っているのか、
それとも主であるディランに
抑えられ何も言えずに見守って居る
のか、
自室では隣の部屋の出来事は
分からず、
マルチダに促されるまま制服を
脱ぎ、髪を解かれ、そのまま
入浴を済ませ、
ソファに座りぼんやりとしていると
ノックの音が聞こえ入室の許可を
出し扉へと視線を向けると
お茶道具を乗せたワゴンと共に
ルイが入ってきたので、驚き
慌てソファから立ち上がると、
「暇なら、持っていけって
通りすがりのメイド言われた」
確かに年頃と言える自分の部屋に
ルイが入るにはそれなりの理由が
必要で、
通りすがりで出会ったという
メイドさんに感謝しつつ、
「せっかくだしいただきましょう」
少し隙間の空いた扉を視界に
入れてから、そう伝えると
マルチダが素早く動き、
2人分の紅茶とティーフードを
ローテーブルへ整えてくれ
対面するようにルイと座り
紅茶をいただいた。




