姉、息をのんだ
淑女教育を終え、3人から
マリーとは途中で別れ、
ルイと共にフレディの待つ馬車へ
歩く中、
「最近、ディランの様子が変だよな」
突然のルイの言葉に足を止め
そうになったが歩幅を狭め、
馬車への到着を遅らせる様に
歩けば、
ルイも察してくれ同じ歩幅で歩き
出す。
「良くない前兆か?」
何を思ったのか真剣な表情と
硬い声の質問に、ふるりを首を振り
「多分、大人になる準備をしてのだと
思う」
第二次反抗期
乱暴な言葉言われた訳ではない。
ただ、行動がそれではないか?
と思うだけで確信もない。
本当は自分も大人になるディランを
見守り、時に愛情を伝え、叱るなど
しなければならないのだけど
私が耐えきれず、光の魔術に
頼ってしまう。
フレディを通してお母様、お父様にも
報告が入っているはず。
何も反応がないと言う事は、ディランや
自分を信じて見守ってくれている。
そう言う事なのだろう。
前の人生で親と言う立場になり、
子供を育ててきたのでその気持ちは
理解でき納得もできる。
けど、ディランはどうだろうか?
お母様、お父様に相手にして欲しくて、
自分を気にして欲しいと思っていれば、
悪手にしかならない。
自分が知らないだけで、もしかすると
お母様もお父様も動いているのかも
しれない。
それならそれで良い。
「大人になる準備ねぇ」
不思議そうに首を傾げるルイの言葉に
自分の考えに沈んでいた事に気が付き
「ほら、ルイもおじ様やおば様に、
口を挟まれたりすると、きつい言葉で
返したり、反抗的な態度を取ったり
してしまった事があるでしょ?」
曖昧に反抗期の説明をすると、
思い当たる記憶がある様で、
気まずそうに頷いたのを見て、
「それだと思っているの」
気づかないふりをし自分の考えを
伝えるとルイも納得できた
「なら、良い。のか?」
様で納得できな部分もあるらしく
難しい顔をしていたので、
「ルイの時間があるときに
剣の稽古相手になってあげて」
体を動かすと、頭も心も軽く
なるしね。
話は終わりだと、歩幅を元の幅より
大きくし、急ぎ馬車に向かうと、
いつも並んでいる馬車がおらず
フレディが困った様に眉を下げて
自分達を待っており、
ルイを顔を見合わせた後、小走りに
フレディに近づけば、
「お帰りなさいませ。
何かございましたか?」
全身にさらりと視線を流しつつ
の挨拶と言葉に
「心配をかけてごめんなさい。
何もないわ」
「遅くなりすみませんでした」
ルイと共に返事を返すと、安堵の
表情をしたフレディは、馬車の
扉を開け、乗る様に手を差し伸べて
くれたが、
「姉様」
聞こえてきた声は、不機嫌で
不愉快の色が濃く、初めて聞く
ディランの声に驚き動きを止めて
しまうと
「早く乗ってください」
刃物の様に鋭い言葉に、戸惑いと
困惑で足が動かせないでいると、
優しく労わる様にフレディが背中に
触れてくれ、馬車に乗り込むと、
勢い良くルイも乗り込み、器用に
自分のy子をすり抜け、ディランを
対面するように座り
驚いていると、
「エスメ様、お座りください」
後ろから聞こえたフレディの声に
「ええ。ごめんなさい」
慌てルイの隣に座り、フレディが
座り、合図のノックをすると
馬車はゆっくりと動き出した。




