姉、己が感情を叫びたい
ネタバレを含みますが短編に本編終盤のディランの心境と日々を書いております。よろしければお読みください。
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ディランとソファに座り少しガサつく手にクリームを塗って貰い怒られてしまったものの改めてディラン
の姿を見ると、生成り色のワンピースに女性物のヒールの無い靴。
そして自分は洗濯をしていたので濡れても汚れても良い様に黒のワンピースに白のエプロン。
カチューシャはしてないものの一般的なメイド服を着ている。
「ねぇ、ディラン」
お互い向かい合ったままだったけど名前を呼びかけるとどこか居心地悪そうにしながらも聞く体制に入ってくれ、
「洋服はどうしたの?」
思ったままを言葉にすればため息の後、
「お祖母様から風習と伝統なので身に付ける様に告げられ、昨日贈り物としていただきました」
どこか諦めた感じの雰囲気にディランの気持ちが手に取るように分かるが、
「伝統と風習?書物には書いてなかったよね?」
どうしても気になる言葉があり聞き返すと
「本来は生まれてから成人の7歳まで邪気払いと魔物の目を欺くものとして女性のドレスを着て過ごすのだと」
告げられる事は初めて知る知識で真剣に聴きる。
「ですが僕は生まれてから最近まで王都で過ごしました。自領に来たらなこの風習をするべきだと言われまし」
納得仕切れない気持ちを抑え込むように両手を握るディランに励ませる言葉が見つからず、
「そうなんだ。という事はお父様も子供の頃はドレスを着ていたと言う事ね」
少しだけ茶化す様に笑いながら告げれば、数度瞬きをした後、少し笑い
「そうですね。お父様も幼少の頃はドレスを着て過ごしたと聴いております」
「お父様がドレスを着ていたなんて想像できないけど絵とか描いて残ってないのかな」
2人してクスクスと忍び笑いをしながら話を続けていく。
「今度イルに聞いてみましょう。彼はお祖父様の幼少時代から当家に仕えていましたから絵は残っていなくても思い出話はしてくれると思います」
「そうね。今のお父様から想像できない可愛い少女だったかも知れないわね」
笑った事でディランの雰囲気も柔らかくなり、改めてディランの姿を見るとなんだか見た事のある形のドレスに
「私がお祖母様にいただいたドレスとお揃い?」
ポツリと言葉を溢すと
「ええ。街に買い物へ行った際に姉様が着ていたドレスと同じだと聞いております」
頷き帰ってきた言葉に一気に気分が上がり
「今度、日にちを合わせてお揃いで着て過ごしましょう」
軽く両手を合わせ発案すると無言でにっこり笑い返されるも
「今日のディラン本当に可愛いしこれから毎日違う姿が見れるのすっごく楽しみ」
気にも留めず勢いを増し話続ける。
「本当なら街の中心部でディランの可愛さについて叫びたいぐらい可愛い」
意気揚々と話を告げれば
「やめて下さい」
冷静に告げるも
「そうよね!街は狭いわよね。王都の中心でディランについて語り尽くしたい!」
頬を染め興奮しながら弾けんばかりの笑顔での言葉に
「お気持ちだけいただきます」
表情を無くし冷淡な一言を告げるも、
「世界で1番可愛いんだから遠慮なんてしないで!」
勢い良く手を握り力強く言うと、口物をむずりと動かすものの
「ドレスを身に纏っていますが僕は成人した男です。その、可愛いは嬉しくありません」
視線を反らせながらの言葉に
私の弟本当に可愛いな
情動的な感情が抑えられずチラリとフレディに視線を向ければ微笑ましそうに見ており答えを求める様に視線で告げるも微笑みを強めるだけで返されてしまい
「うん。そうだね。ディランは世界で1番かっこいいし可愛いよ」
にやける顔を隠すため真顔気味で告げてしまうもため息を落とし
「ありがとうございます」
紳士の笑顔で微笑んでくれたので弾んでいた心を落ち着け
「朝から騒いでしまってごめんなさい。これから剣術の稽古よね」
「はい。姉様はどのように過ごすご予定ですか?」
毎日と変わらない会話に戻り、
「洗濯は終わったからディランと一緒に行こうかな」
見学をする旨を伝えるとディランもフレディも頷き返してくれ、いつものようにディランの本棚から1冊本を選び取り3人で練習場へと向かってたわいもない話をしながら歩いて行く。
第70話
句読点が少なくて読みにくいのではないかと思っております。急に増え出した申し訳ありません。
日の長さが段々短くなってきました。夜長に安心してつい睡眠時間を増やしてしまいます。
ブックマークや評価をいただき誠にありがとうございます。
とても嬉しいです。




