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姉、言葉を飲み込んだ


まもなく開かれる


貴族籍を持つ同学年とのお茶会


もてされるのではなく、


平民の自分達がもてなす側。


冷静に考えれば首を捻り、

異議を申し立てたくなるが、


爵位と籍が最も重要とされる


この世界。


自分が不平不満を言っても現状は

変わらないし、悪化するよりかは

言葉と意見を飲み込み


必死に真剣に取り組んでいる

クラスメイトの邪魔をしないように


現状に流された方が良い。


そう判断し、緊張でおぼつかない

手つきで紅茶を淹れる男性生徒の

手元を微笑みながら見つめた。


誰もが期待をしていないと

言いつつも、


心のどこかで貴族籍の同級生と

繋ぎができ後ろ盾を担ってもらえた。


と、願っている。


ならば自分はその一手が打てる様に

フレディとマルチダから習った作法を


ディランから教えて貰った最新の

貴族世界の情報を提供する。


男性生徒も女性生徒は紅茶を

淹れた事はあるが作法に従い

淹れたことは無く、


一手一手確認をしながら淹れるので

飲む頃には色は濃く渋みが出ている

紅茶を眉間に皺を寄せつつ飲み干し、


次は美味しく淹れる。


と決意を新たに2杯目に進む。


講義と講義の間に情報交換が行われ

紅茶を淹れるまではしないが、

何度もからのティーポットとカップを

使い練習をしてゆく。


給餌をする名前も公表され、


互いに顔合わせは当日のみなので

緊張が高まる中、


「マリーはアメリアの担当なのね」


皆の邪魔をしない様に声を顰め、

隣に座るマリーに確認をすると、


「はい、そのようで」


知っている方ですが緊張しますね。


少し困ったように小さく笑ったマリー

に頷きつつ、


ルイに視線を向ければ


「騎士団長のご子息がいるテーブルだな」


返ってきた言葉に、


「私と一緒?」


確かそのテーブルにディランが居たはず

なんだけど?


改めて手元にある配られた紙を見れば、


「私もルイと同じテーブル担当だわ」


この配役を決めてくれた生徒会の

誰かに感謝を捧げつつ、


やった。

学生生活をしているディランの姿が見れる。


内心小躍りしていると、


「隣の席がルーク殿下とアメリア嬢だと

気づいては、ないか」


ルイと呆れた視線とマリーに見守る

視線に気が付かず当日を楽しみする

理由を見つけた。


講義にお茶会の練習を日々繰り返せば


あっという間に当日になり、


クラスメイト誰もが緊張し、全員が制服に

洗濯を入念にしアイロンをかけ、

最終的に身なりの確認をしあう声が

緊張をはらんできる。


制服を何度も見直す子も居れば、

ティーポットを持ち、何度も練習と

確認をする子、

担当する貴族の領の情報をおさらい

する子もいて、


賑やかな会場の裏で、


「マリー、大丈夫よ」


緊張で手を振るわせているマリーの

手を握り励ますと


「悪い考えが浮かぶのは分かるが、

それに囚われると、緊張で体が強張り

動けなくなるぞ」


ルイの言葉にマリーは息を飲み、

さらに顔色が悪くなったので、


「もう。確かにそうだけど言い方が

あるでしょ」


注意する声に少しだけ怒りを入れた後


「マリー、逆を想像するの。

成功をする事だけを思い浮かべるのよ」


震えが止まればと握った手に力を入れ

視線を合わせ伝えれば


表情は固いながらも、微笑みながら

頷いてくれたが、


「そろそろ、招待客がやってきます」


講師の声に皆が口を閉ざした。



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