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姉、やり遂げる


いきなり出たボーイックの話題に


そう言えば新学期に入ってから

挨拶を交わしていないわ。


新学期からの今日までを思い返し

ルイに視線を向けると、同じ事を

思っていた様で、


互いに令嬢達に気づかれない様に

小さく重い息を落とし、


明日からきちんと挨拶をしよう。


そう心の中で決めたものの、


「噂に聞けば、ご両親から跡取り候補

を外されそうだとか」


聞こえてきた誰かの言葉に、

内心驚き、小さく体を揺らして

待ったが誤魔化す様にポットへ手を

伸ばす。


「聞けばお店のお金に手を

つけたとか、聞くに耐えない噂も多く

出ておりますものね」


友人をよく知らない令嬢達からの言葉に

思うことはあるが、表情にも態度に

出す訳にはいかず、少し呼吸を深くし

乱れた心を落ち着かせ


マリー大丈夫かしら?


会話の中心にいるマリーに視線を

向けると少し顔色を悪くしつつも、

淑女の微笑みを讃え口を閉ざしていた。


そうね。

今の話題は口を開かない方が良いわ。


マリーの判断に安堵の息を溢しつつ

甘いケーキを食べる前に気分転換に

なりそうな、バラの香りがする紅茶を

選び淹れてゆく。


部屋に広がるバラの香りに気がついた

様で令嬢達の会話が止まったのを

紅茶の提供の時と判断し、


招待客である令嬢達から配り、

マリーの前に置いた後、

アメリアに提供をすると

視線でお礼を伝えられた。


どうやら紅茶での話題転換は

アメリアにとっても良い事だった

様で嬉しく思いつつ壁側へ歩き

ルイの隣で控える。


「良い香りですわね」


「ええ。本物の薔薇を飲んでいる

気分になりますわ」


「この、ほんのりとした甘さ

香りと引き立てますわね」


頬を染めながらの言葉に、

嬉しくなりつつも


練習に付き合ってくれたディランを

初めマルチダとフレディに帰ったら

報告をしようと心に刻み、


マリーに視線を向ければ、顔色は

戻っており


私、良い仕事したなぁ。


1人満足感と達成感に浸っていると

アメリアの住んでる屋敷にある

バラ園の話になっており、


「殿下と毎年楽しまれていると

お聞きしましたわ」


憧れの色を混じりつつ尋ねる令嬢に


「ええ。今年もご覧いただきましたわ」


淡々と返すアメリアの言葉に、


「噂にたがわぬ、仲の良さですわね」


羨ましさを混ぜた言葉に、


「良くていただいておりますわ」


変わらず淡々と返すのは要らぬ誤解を

招かない為。


立場が立場なので小さな誤解が

大きな事になり、よくない出来事へと

発展させない為。


淑女教育でアメリアがマリーへと、

何度も何度も繰り返し、言葉を変え

ながら伝えていた事が、


目の前で行われている。


知識だけでは得られ無い。


体験してこそ解る。


今まさしく行われており、


アメリアはどこまで大人で、

人の心理を把握するだけの技術や経験

があるのだろう。


少し心配に思いつつも、そんな事を

伝えれば、勝ち気に微笑み


「わたくしですのよ。

できて当たり前ですわ」


苦労や習得までの辛さなど見せず

いうのだろう。


そう、想像できつつも、


いつか機会があれば言おう。


そんな事を思いつつも、次の紅茶を

淹れすべき魔法石に魔術を発動させ

お湯を沸かし、新しいティーポットに

茶葉を入れる。


甘いケーキに合う、渋みが少ない

ストレートで飲める茶葉を選び、

淹れてゆく。


令嬢達は殿下とアメリアのの関係を

羨ましいそうに、時に頬を染めながら

控えにはしゃぐ話し声と態度を


微笑ましく思いつつ、

そろそろ一息と話題の転換の意味を

込め、淹れたばかりの紅茶と、薔薇の

紅茶が入ったカップを変える。


この意味が分からない令嬢はおらず、

アメリアの前に紅茶が置くと、

そのままペストリーに手を伸ばした事で

マリーも令嬢もその動きにならい

ペストリーを食べ始めた。


ティーフードの感想にどこかの

カフェのお菓子が美味しいや、

新しいデザインと話。


甘いお菓子を食べると、

お洒落の話に花が咲き、オススメの

カフェやドレスの布に形。


様々な話題の中


「今季の紙刺繍を購入いたしましたの」


「あら、どちらの柄にしましたの?」


「迷いましたが、真紅の薔薇に

しましたわ」


「黄色の薔薇も可愛いいから

迷いますわよね」


毎年、社交シーズンのは薔薇の

刺繍を販売しているが、糸の色を

変えているので毎年この時期を

楽しみにしている人は多いと聞いて

いたけれど、


いざ、聞くと嬉しくなり、


ミランダの手紙に書こう。

今日のお茶会の感想と共に書く事を

決めつつ、最後の紅茶を淹れるべく

ポットに魔術を流し新しい紅茶を

素早く提供し、


気がつけば話題は戻り、女性生徒の

話で、


「どうも、狙いは高位貴族の様で

みなさま気をつけてくださいな」


どうも、仲の良い男女を裂いた様で

声を顰めながらの言葉に嫌悪感が

溢れており、


「このまま婚約、結婚を勧めるはず

だったとも聞いております」


「ええ。かなり塞ぎ込んでおり

両家の両親もどうするべきか話合って

いると聞いております」


貴族同士の結婚は本人の意思に

関わらず家や領の利益で決められる。


その中でも両人は寄り添おうと、

時間を使い互いを知り合ってきた。


が、瞬間にその関係が崩れた。


女性生徒が何かした。


そう思われるのはした無い。

かもしれないが、


「当人は一目惚れで運命を感じた。

と言った様で」


呆れたと言わんばかり言葉に、

皆が賛同する。


「わたくし達は見守るしか、

できませんが、できるだけ心を砕き

相談や悩み事などを聞き、

手助けを行いましょう」


これ以上関係が拗れないように、

上に立つ者をしてできる事をする。


アメリアの言葉に令嬢達頷き、

お茶会は終わった。


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