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姉、不満に思う


街に買い物に行ったあの日からお祖母様の提案で2週間に1回淑女の日を行う事が決められた。


王都にいた時と同じくメイドさん達のお世話になり髪を結いドレスと着てアクセサリーを着け貴族の家の子供としてマナーに沿ってお茶会へ参加する。


勿論、周りの貴族の御息女を招待してでは無くお祖母様とのお茶会である。


お祖母様の提案に驚きと窮屈な思いややりたい事への時間が削られる為にお断りしたかったが


「先にも言いました通りマナーは身を守る盾であり剣でもあるのです」


女主人として館を取り仕切るお祖母様の言葉に逆らえる事などできず、返事が返せないでいると


「独り立ちをし生計を立てるのに生活魔法道具を売り込みに行く時など挨拶もできない者など信頼も信用も得られません」


解りましたか?


付け加えられた語尾には反論は許さないとばかりの圧があり渋々頷き部屋を出た後すぐさまディランの部屋へ駆け込み、お祖母様の言葉を全て告げると


「僕もお祖母様と同意見です」


お互いソファに座りフレディの入れてくれた紅茶を一口飲み言われた言葉に思わず口を開きかけるも


「初対面の印象3秒で決まると書かれていました。貴族がなぜ微笑んだ表情なのかお考え下さい」


淡々と問われた言葉に、お母様やお祖母様が微笑んでいる姿を思い浮かべ


「微笑んでいると優しそうに見えるから?」


思ったままを言葉に出すと、


「正解です。優しい表情で相手の警戒心を和らげ親しみを感じやすくする為です」


少し口端を上げ笑ってくれた事にホッと息を吐き出すと


「姉様は独り立ちをした後に生活が楽なる手札が1つでも多い方が良いかと思われます。お祖母様もそのお考えあっての提案だと思います」


「手札?」


思いも寄らない言葉に思わず鸚鵡返しをすると


「選択肢と言えば良いでしょうか?」


「選択肢?選び取るの?」


話の方向性が分からず首を傾げると


「1つしか選べないより2つから1つを選ぶ。3つから1つもしくは2つを選ぶと言う選択肢ですね」


言葉と共に両手を動かしながらの説明に


「確かにそうね。1つの事しか知らなかったら選ぶ事もできないし、選択肢の全部をやってみると言うのもできない事よね」


言葉が理解でき納得しながら返事を返すと、


「選択肢を全部ですか。さすがと言うしかないですね」


瞬間の驚き顔の後の困った様に笑った顔にディランの反応が理解できず


「どうしても、本当にどうしても選ばないと駄目だったら選ぶけど、必要が無いなら全部選んで1つ失敗したら残りを進めれば良いと思うの」


首を傾げながら告げると、目を大きく見開いた後に微笑み


「今後の参考にさせていただきます」


ソーサーを持ち上げ紅茶を飲みディランと一緒に一息をつく。


香りが口から鼻を通り心を落ち着けてくれ


「お祖母様とのお茶会、頑張ってみるわ。また話を聞いてくれる?」


小さく笑ながら聞くと、


「ええ。楽しみに待っております」


ディランに話した事で心が解れ落とし所が分かり納得できたの軽くなった心でお茶請けに出されたクグロフの乗った皿を手に取りフォークで一口分分け食べていく。


買い物に行った日に寄ったカフェで置いてあったクグロフの持ち帰りができるかと聞いた所、焼いて屋敷まで持ってくれ、そこからクックが作ってくれる様になった。


ありがたいなぁ


紅茶にバターたっぷりのお菓子。


暖炉の火の暖かさに大好きな弟がいて兄の様なフレディもいる。


間も無くイルが来て勉強の時間になるので読みたい本も近くにある。


楽しくて嬉しくて幸せ。



第68話


お鍋料理が美味しい季節になってきましたね。さっそく食べて幸せになりました。


ブックマークに評価をいただきありがとうございます。とても嬉しいです。


ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。

よろしければお読みください。

https://ncode.syosetu.com/n4082hc/

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