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弟は考えず尽くす


「そうそう、本を借りることになった

からよろしく頼むよ」


ルーク殿下の言葉に思わず額に手を

当てた。


高位貴族籍以外のクラスメイトを

返し、それぞれが客間の長ソファや

1人用のソファに座り談笑をしている

中での発言に


その約束を発案したのは姉様で

ルーク殿下は笑顔で頷きルカ様は

今後のことを考え頷いたのだと


その場にいなくても想像でき


「その、大変申し訳ございません」


どう反応しなんと言えば分からず

とりあえず謝罪をすると


「気にしないでくれ、彼の書籍に

興味があって読めるのならばと

願っていたんだ」


ルーク殿下の言葉に頷きつつ


「他国の状況を知れると同時に、

彼女の発案と発明の原点がある本

だ、彼女の発案には感謝しているよ」


ルカ様の言葉に頷き返しなんとか

納得をし


「かしこまりました」


本の受け渡しの中間役を了承した。


交流を深める晩餐会ではあるが

本当の目的は姉様への接触と対応の

観察。


お父様は心配で胃を痛め、お母様は

大丈夫だと微笑んでいたが、


僕はお父様と同じ考えで、


本当に姉様と対面させて良いのか?


何か失礼な事をしてしまったら、


王も殿下も平民を大切に慈しんで

いるのは近くに居れば分かる。


だた、姉様は違う。


穏やかに過ごし生活をしている

平民ではない。


誰もが知るこの国を再建した国王と

同一もしくはそれ以上の魔力を

持っているとされており


自国も他国も最も警戒をする存在。


姉様の行動、言葉一つで


自分が手の届かない場所で今の対応

がわかるかもしれない。


今日まで何度も考え、想像し

何か対策をと思うも、


自分達は何もしない、


対面を悟らせない


との王命に心が何度も潰されそうに

なり


姉様にも幾度と心配をされた。


後は王家からの判定待ちでは

あるが


一先ず今日で終わる。


もし、

想像もしたくない程の最悪な判断が

くだされたのなら、


そう考えて頭の中の考えを振り払った。


考えた所で本当に起こる事はほぼ無い。


姉様の言葉を借りて乱れた心と頭を

切り替え、談笑している殿下とアメリア嬢

を見ると、


楽しそうに笑い合う姿に両親を彷彿させ

なんとも言えない心情になりつつも


仲の良い事は良い事だからと考えを改め

2人の話を聞き時に頷き返し

談笑の時間を無事に乗りきり、


見送りをしたのち、フレディを連れ自室の

ソファに重い体を沈めていると、


「お疲れ様でした」


フレディの気遣いの言葉と共に出された

ハーブティーに


「ありがとう」


重く動きたくない程に過労を感じる体を

無理矢理動かし、ハーブティーを一口

飲むと、口の中く酸味が広がり


「疲労が取れるように調合をしてみました」


フレディの言葉通り、重く感じた体が

軽く感じ、数度口をつけ飲んでいると


「2人程ならこの知識で養っていけますよ」


突然のディランの言葉に驚き顔を上げれば


「そうならない事が最善です。が、

何があっても良いように対応するのも

私の勤めです」


自信ありがげに微笑んでおり、


自分がどれほどに心を知られていたのかを

理解し主人としての情けなさを感じつつも


「そう、ならない様に動くのは

僕の仕事だ」


自分を奮い立たせ、表情を作り返事を

返すと


「はい。心いております」


嬉しそうに微笑んだ姿に


自分の未熟さを実感しつつフレディが

求めた返事が返せた事に安堵し


「休む。準備を」


これ以上フレディと働かせるのもと

寝る支度をお願いした。





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