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姉、自分なりの気持ちの伝え方


初回の晩餐会を終え、

社交の季節も半分を終えた頃


2回目のお父様お母様主催の晩餐会が

開催された。


初回の様に新しい料理を作るという

事は無く、初回に出した料理と同じ物を

作り出して、取りに来たメイドさんに

料理を渡してゆく。


クック長にクック、キッチンメイドが

それぞれの仕事をきっちりこなし、

1回目よりスムーズに料理の提供ができ

招待客が食後の紅茶を手に歓談の時間と

なった頃、


「エスメ様、ありがとうございました」


クック長からお礼の言葉を貰い、


「良いのよ。なんでも今日はディランの

お友達が来ると聞いて無理にお願いした

のは私の方だもの」


どうしてもディランの友達に、


ディランと仲良くしてくれてありがとう


そうお礼を言いたかった。


学園から帰ると互いにどんな授業だったか、

休憩時間は何をしていたか、

友達同士こんな話をした。


など、話す中に名前は知らないけれど

5人程の友達が話に出てくる事に気がついた。


名前は教えてくれないけれど、話を聞く内に

特定の人物がいる事に気が付き、よくよく

聞けば5人程いる様で、


昔、屋敷でお茶会をした時に来てくれた

子達かな?


領に行く前、月に1度か2度

ディランと同じ歳の子が変わる代わり

来てくれた時があった。


多分、その子達だと思う。


朧げな記憶だけれどディランが緊張し

ている姿やそれを心配そうに見守る

フレディだけは昨日の様に覚えているが、


お友達がはっきりと思い出せないけど


学園から帰る時、遠目で見た子達だと

思う。


昔も今もディランと仲良くしてくれ、

ありがとう。


その気持ちをどうしても伝えたかった。


いくら学園内が皆が平等に。

と、していても越えてはいけない線は

ある。


そんな中、貴族籍を持つディランの

お友達に気軽に話しかける事など

できず、


「結局は自己満足よね」


重い目の息と共にこぼした言葉と共に

廊下を歩き自室へと入った。


室内帽を取り背中で結んでいたエプロンの

ひもを解く。


その間にマルチダはお風呂の準備をして

くれている。


先程こぼした言葉もマルチダは聞こえ

なかったフリをいてくれた様で、

尋ねてくる事も、自分の気持ちを言葉に

出すこともなく、メイドとして仕事を

してくれている。


有難いな。


働く女性として尊敬し憧れてもいる。


「エスメ様、入浴の準備が整いました」


「ありがとう」


だから感謝の気持ちは言葉でしっかり

伝える。


見れば分かるだろう。とか、当たり前

だとかは思わない。


思っていても伝わない。


恥ずかしくても、1回言葉に出して

伝えると次が言いやすいし、


マルチダもこの屋敷で働いている人達も

お礼を伝えると嬉しそうの微笑んでくれたり

照れや恥ずかしさからくる、否定の言葉も

あったけれど、


言い続ければ皆慣れてくれた。


今では微笑んでくる。


そんな事を思い出し、マルチダに髪を

洗って貰いつつ湯船に浸かっていると

隣の部屋から何かが落ちる音がし


マルチダの手が一瞬止まったが、

すぐに動き出した。


聞き間違いかと思ったものの、

マルチダにも聞こえた様で、


大丈夫かしら?


ディランの性格を考えれば、出した物、

使った物はすぐに片付けるはず。


何かを出しっぱなしにしている姿は

見たことがない。


気になるなぁ。


「エスメ様、そろそろ」


湯船から出るように促され、ゆっくりと

立ち上がりお風呂から出た。






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