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姉姉、腕を奮う


数日しかなかったが、沢山の

じゃが芋料理を作り、試食し

味を変え作り方を変えたりなどを

繰り返し、


「蒸したじゃが芋にバターが1番

美味しい気がしてきた」


昼と夜の食事が試作品で溢れ

じゃが芋のどんな料理にも合う適応力

を見せつけられ、どれも美味しくて

甲乙告げがたく、クック長とキッチンで

働く皆の意見を聞きいて出した


自分の答えに、皆が真剣な表情で頷いたが


「同意ではありますが、流石にそれは」


晩餐会に出すのはいかがなものかと。


クック長の言葉に、


「そうね。美味しいといえども見た目が

と言うことよね?」


皮付きで蒸しているので見た目が

よく無いのではというクック長の意見を

確認したのち、


「なら蒸す時は皮つきでして、出す時に

皮を剥いて出してはどうかしら?」


出した答えに、クック長は何かを考えて

いる様で、


「メインではなくてサイドでお出しするのは

いかがかしら?」


浮かんだ事を伝えると


「それならば、魚料理の時に合いそうですね」


クック長の考えていた事と噛み合った様で

問題が解決したので次のじゃが芋の料理の

話を進める。


じゃが芋で作ったガレットは前の人生から

作り続けてきた料理なので、作り慣れている


新しく考えたのはじゃが芋を使ったお菓子で

ティーフードになる様な物をとクック長と

話し合い、試作し、作ったのは


潰したじゃが芋を砂糖と小麦粉と牛乳で

揚げた物。


前の人生でよく食べたドーナツを試作した

所、満場一致で採用となったので、早々に

お母様の元へ届けられ、試食して貰い合格

を貰ったので、ハーブを入れたりし種類を

増やしているが、晩餐会に出すのは

ハーブなしのドーナツのみに決まった。


後は他国から入ってきたワッフルをじゃが芋

を混ぜて作ってみたり、じゃが芋ばかり

だったのでお肉を荒微塵切りにし、練り、

小判型に作り焼いて食べてみたり、


と、じゃが芋だけではなく肉料理も試作し

たりと数日の間早朝から日が暮れるまでで

両手では足りないぐらいの料理を作り続け

ようやく出す料理が決まり、


当日。


昼すぎにメイド服に着替え、室内帽に髪を

入れ、鏡の前に立ち身なりを確認したのち、

頬を力強く両手で叩き、


「よし」


気合いの入れ、マルチダを連れ部屋を出て

キッチンへと向かった。


晩餐会は夜から始まるが、客人が来て

ゲストルームで楽しんで貰うワインに軽食

の準備に料理の下拵えをし、出来立てが出せる

様にと皆が動くのを邪魔にならない様に動き

つつ、


「まずはじゃが芋のお肉とチーズが入った

マフィンの下拵えに、薄切りをしたじゃが芋を

揚げて、味付けは塩と黒胡椒の2種類」


自分が主となり作る料理を言葉に出して

整理してゆく。


なるべくお待たせしないようにしつつ、

冷めて食べて貰うものから作ってゆく。


忙しなく動いていると、最初の来客が到着

した知らせが入り、ゲストルームにワインと

紅茶と軽食を運んでもらう。


次から次に届く客人の到着の知らせに、

キッチンも本格的に忙しくなり、クック長の

大きな声での指示が飛び、皆が手早く作り

皿に盛り、綺麗にソースを飾りつけてゆく。


5家族を迎えての晩餐の部屋は優雅に

楽しんでいる様で、時折料理の説明を詳しく

聞きたいと、メイドさんが小走りにやって

くるので、解りやすいように言葉を砕き

専門用語を使わない様に気をつけ説明と


「お母様が許してくれるならレシピを書くと

伝えてくれる?」


屋敷を取り仕切る女主人であるお母様の

許可がおりではとしっかり伝えると、

相手のメイドさんも深く頷いてくれた。


そうこうしている間にメインが終わり、

デザートの配膳に入り、揚げたての

じゃが芋ドーナツを配膳のメイドさんへ

渡すと、後は食後の紅茶にティーフードの

配膳となるので、


「エスメ様、ありがとうございました」


クック長の言葉に、


「お役に立てて良かったです。

後はお願いします」


後片付けがあったがクック長に

そう言われてしまうと残る訳にはいかず

マルチダと共にキッチンを出て自室へ

向かう途中、楽しそうな笑い声や話す声

が聞こえ、


楽しそうな雰囲気に晩餐会が成功して

いるのだと分かり嬉しくなりつつ

自室に向かって歩く途中、前から見知らぬ

人が歩いてくる事に気付き、


招待客の人よね?


素早くかつ品良く端に移動し頭を下げ、

通り過ぎるのを待ったが、なぜか自分の

前で立ち止まった為、


どうするべきが迷ったものの、

相手は貴族籍の方で自分は籍を持たない。


そうなれば、動きも考えもこの屋敷で

働いてくれているメイドさんと同じ礼儀

作法で良いはず。


「顔を上げてくれ」


低く何処か圧を感じつ声に、ゆっくりと

腰を上げ、相手の顔を見ない様に喉辺り

に視線を向けると、


「今日の料理、美味しかった。礼を言うぞ」


降ってきた言葉に、


「身に余る光栄でございます」


少し頭を下げ返事をするも、どこかで

聞いたことがある声だと気付き、

ゆっくりと顔を上げ視線を合わせると


「お父様のお友達の」


思わずこぼした言葉に、にっこりと

笑ってくれた。



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