姉、元気になる
結局、意識がはっきりする事は
無く一日をぼんやりとしながら
本を読み、未読の本はあるものの
マルチダに新しい本が欲しいので
領にある本屋の店主さんにお願い
する事を頼み、
動きの鈍い中でも読んだ本は
とても面白く
「本屋の店主さんの新刊が欲しい」
無意識に溢した言葉に、
「あると良いですね」
隣に座るディランの言葉に頷き
「店主さん。子供達の世話もあるから
どうだろうなぁ」
ルイの言葉に、領を去る前にお願いを
してきた事を思い出し
「子供達と楽しく過ごしていると
良いなぁ」
顔合わせ時の事を思い出し小さく笑い
ながらルイの言葉に続けるも、
3人で食後の紅茶を飲んでいるのに
関わらず、朝よりは意識がハッキリしてきた
が、まだ気怠さは抜けきれておらず、
普段よりゆっくりとした会話の流れを
楽しんでいたが、早々に終わり
入浴も手早く済ませ、ベットに入れば
あっという間に眠りに付き、
翌日は普段と変わらぬ時間と体調で
目覚め、起き上がりサイドテーブルにある
果実水を飲み、ベットから離れ、
厚手のカーテンを開け、
「今日も天気が良さそうね」
少し日が上る姿を眺めた後、机に向かい
届いた報告書や手紙を読んでゆく。
小さな変化はあるものの通常通りの
2つ工房の報告書に、ミランダからの
手紙には春を訪れの手紙と、
ミラが私達が通う王都の学園に入学
できる学力がある事を領主である
お祖父様とお祖母様に報告をした事が
書かれており
歳が来たら入学の許可が下りた。
との文字に
「即答の返事とはお祖父様らしいわ」
答えの速さに驚いたであろうミランダと
その2人の反応を見て微笑んでいる
お祖母様が想像でき、小さく笑いながら
返事を返す為に、羽ペンにインクを浸す。
ミラの後にも続けた学園に入学できる
子供達がいると良いな。
ただ授業料に学園の寮での生活。
お金の事はどの時代も悩ましく、
補助、もしくはある程度の学力が
あれば半分以上の補助で入学できる制度
を作っても良いかもしれない。
無料にしても良いけれど、
勉学に集中しすぎて友達や街にでる事が
なくなるのは良くない。
せっかくならば王都でしかできない体験を
して貰いたい。
「ディランとルイに話してみよう」
浮かん案を別紙に書き留め、ミランダと
お祝いの言葉を含むお伺いの言葉でミラへ
の手紙を書き終えると、聞こえてきた3回
のノック音に返事をしてマルチダを向い入れ
着替えと身支度を手伝ってもらい、
「今日はいつも通りよ」
体調を伺う雰囲気のマルチダに言葉で返事を
すると
「それは、ようございました」
目尻がほんの少し柔らかくなり、頷いて
返してくれたので
「昨日見られなかったディランとルイの
剣の稽古も見たいな。後は」
指を折り予定を話していると、ノック音が
聞こえ、入室の許可を出すとフレディが
姿を見せ、いつも通り挨拶の後朝食への
お誘いを貰い、3人で隣にるディランと
ルイの元へ行き
「ディラン、ルイ、おはよう」
いつも通り挨拶をすると、
「おはようございます」
ディランの微笑みながらの挨拶と
「おはよう」
ルイの片手を上げた挨拶を貰い、
それぞれがテーブルに付き湯気の立つ
焼きたての白パンと温かいスープに
川魚のムニエルをいただく。
昨日、ディランとルイは何をしていたのか
と聞きつつ、食事を終え紅茶をソファで
飲んでいると
「魔力の色?」
ディランの質問が理解出来ずに首を傾げ
聞き返すと、
「ええ、数年前に姉様が魔力の色が見える。
と、おっしゃっていたので、今も見える
のかと思いまして」
その言葉に、記憶を掘り起こしてみると
箒に彫り始めた頃や領で過ごす頃までは
見えていた記憶があり、
今も見えるのかとジッと横に座るディラン
を見つめるも、
「見えないわ」
何も見えず、続いてルイを見つめるも
何も見えず、
ゆるりと首を振り、見えない事を伝えると
「そうですか。一時的だったのですね」
納得したとディランは返事をくれたが、
多分、必要になったんだよね。
言葉に出せなくなった自分の考えを
心の中で呟き
少し練習?してみようかな。
ディランの役に立てるならと隙間の
時間がある時に練習する事に決め
紅茶を一口飲んだ。




