姉、寂しく思う
食間のサンドイッチを摘み、紅茶を
いただきマリーへのお礼が決まり、
「ルイ、今日は泊まっていくでしょ?」
晩餐の都合で尋ねると、
「そうだなぁ。門限に間に合わないし」
帰ってきた返事に
「だったら、明日も泊まって明後日
一緒に学園に行きましょ」
そう提案すると、
「良いですね。明日明後日に時間を空け
るから稽古の相手をしてくれないか?」
ディランからのお誘いに、
「まぁ、2人がそう言うなら」
ルイは頷いてくれたので、マルチダに
視線を向けると、言いたい事を言葉に
せずとも理解してくれた様で、
小さな頷きの後、そっと部屋から出て
行く背中を見送り、
「晩餐は私の部屋でいいかしら?」
マルチダに視線でお願いをした一つを
ディランとルイに尋ねると
「お邪魔で無ければ」
ディランの返事に
「ディランとルイを邪魔だなんて一度も
思ったことは無いわ。お泊まりだって
歓迎よ」
思うままに告げると、
「ありがとうございます。
お気持ちだけいただきます」
さらりと交わされ、その後は
貴族クラスと平民クラスでの授業の違い
や科目の違いなと他愛のない話をしつつ
晩餐もそのまま楽しみ、
「そろそろお暇しますね」
食後の紅茶をいただき話に夢中になる中、
会話が終わり次の話題に切り替わる瞬間
のディランの言葉に、
「そうだな。そろそろ戻るか」
ルイが賛同を示した為に、解散となり
「ディラン、フレディ、ルイ、
おやすみなさい」
自分の部屋である自分はマルチダと共に
見送り、その後使っていたティーセット
の片付けをし始めると、
「あんなに賑やかだったのに」
急にやってきた寂しい気持ちを言葉に出すと
「そうですね。ですが明日も明後日もルイは
おります。昼食が晩餐をお誘いしては
いかがでしょうか?」
マルチダの言葉に
「そうね。明日の朝にでもお伺いを
してみるわ」
マルチダが持ってきたワゴンに、先程
まで使っていたカップやソーサーを乗せ
「こちらを片付けてまいります」
キッチンに持っていく為に部屋から
出ていくマルチダを見送りつつ
「ありがとう。お願いします」
お礼と共に見送り、帰ってくるマルチダを
待ちつつ入浴の準備をしつつ、歩いていると
机の上に置かれた封筒が目に入り
「そういえば、読んだ記憶が無いわ」
毎日行っている書類確認や手紙を読む
事すら出来ていなかった事に驚きつつ
椅子に座り封が切られた手紙を封筒から出し
読んでみると
ミランダからで季節の挨拶からミモザの祭り
中の街の様子が綴られており、
「もう、そんな時期なのね」
こぼれ落ちた言葉に気付かず、読み続けると
暖かい日が続いているようで、街の市も賑やか
で他の国からやってくる商人が増え、治安の
問題が出始めてきている。
その言葉に、重めの息を落とし
「お祖父様にご迷惑がかかってるわよね」
治安を守るののは領主の勤め。
大好きなお祖父様に迷惑をかけているのは
いただけないが、今は案が浮かぶばず、
「明日、ディランに相談してみようかしら」
考える人が多ければ良い案も浮かぶし、
良い案を複数まとめれば、更に良くなる上に
見逃してしまいそうな小さなミスも見つけ
やすくなる。
そんな事を考えていると、マルチダが戻って
来たのかノックの音が聞こえ返事をし、
椅子から立って出迎え、そのまま入浴へ
向かい、暖かく熱った体のままベットに
入り瞼を閉じた。




