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姉、謝る


ディランのエスコートで部屋に戻り、

マルチダに手伝って貰い紺色の

ワンピースの制服から生成り色の

部屋できあるワンピースに着替える。


同じ洋服名称であるけれど、

メイド服を模して作った制服は自身の

体にそう様にして造られており動き

ずらいと言う事は無いが、部屋着は

ストレートに作られている為に制服の

様な締め付けがない分


息がしやすい


そんな風に思ってしまう。


開放感を感じつつも、


「今日は心配をかけてごめんなさい」


表情は大きくは変わらないが、馬車から

下りた時、マルチダの目の奥が心配の色

から安堵した様に柔らかな色に変わった

のを見て自分がどれだけ心配をかけたのか

を知り、謝らなければ


そう思い、告げた言葉に


「お元気になられ本当に良かったです」


普段と変わらない声と表情で返事か

返ってきた。


自分はメイドとして手伝いをしてくれる

マルチダしか知らない。


部屋に帰れば、さっきの自分の様に

ほっと息を吐き、疲れた体でベットに

横になっているのかも知れない。


だけど、それを知っては域を越えて

いる気がして聞く事はしない。


互いに域を越えない様に自然と向き

合ってきた。


体調が悪い日もあるのは当たり前なのかも

知れないけれど、仕事を増やしてしまった

事への申し訳なさは重く、一度の謝罪で

足りない様に感じたものの、


マルチダの返事にこれ以上は謝罪する事は

許されず、


「マルチダ、お茶の準備をお願い。

後、クックにお願いしてサンドイッチか

何か軽食を作って欲しいわ」


「かしこまりました」


部屋に入る前にディランとの約束を

思い出し、ルイの3人分を頼みと

頷いた後、一礼して部屋から出て行った。


1人残った部屋で座り慣れたソファに腰を

下、今日の事を改めて思い出してみるが


朝起きたことからルイと共に教室へ

向い、朝一の講義を受けた事は覚えている


2回目以降が曖昧で昼食前は記憶に無い。


「どう言う事なの?」


怠く、体の重さを感じてはいた。


食欲が無かったからと言ってルイも

マリーもいるのに抜く行動をし身勝手

に庭に行くのもいただけない。


この間の記憶が本当に無い。


思い出す事もできない。


これをどうディラン話そう?


ソファの背もられに身を預け天井を

見ながら重めの息を吐き出す。


記憶のない時の行動を知っているのは

ルイとマリーのみ。


マリーには休み明けに尋ねるとして


馬車の中で話してくれたけれど、

実感が無いので納得はしにくく、


ただただ自分の不可解な行動に

疑問しかなかった。


マリーのお陰で元気になったけれど

記憶に無いと言うのは怖さもあり


「変な行動をしてクラスメイトに

迷惑かけていないと言いけれど」


思い浮かぶ事は不安を膨らむ事ばかりで


「ルイ、何か誤魔化してる感じするし」


言えない様な事をした、と言う事かしら?


不安ばかりが募り頭を抱えたくなってきた

頃、3回のノックの音が聞こえ返事をすると

開いた扉からフレディが姿を見せ


「失礼いたします。エスメ様、ディラン様

よりお伺いしたいととの言伝をいただいて

おります」


従者としての言葉に


「すぐ、来て貰って大丈夫よ」


姿勢を正し返事をするも、部屋から出行く

気配はなく首を傾げると近くまで寄ってきた

かと思うと、膝を降り見上げていた顔を下に

下、視線を合わせると


「体調は?」


ディランの前では出す事の無い兄の様な

優しい声を表情に申し訳なさが膨らみつつも


「ごめんなさい。大丈夫」


返事を返すと、大きなため息を落とされた

のち、


「無茶をしないでくれ」


怒りと心配が混じった声


「ごめんなさい」


改めて謝罪をすると数度頭を撫ぜられ

鼻の奥がツンと痛み目が潤んできた。


「心配かけてごめんなさい」


謝罪の声は震えてしまい、涙が溢れ

そうになり慌て瞬きで誤魔化す。


自分が悪いのに泣くのは駄目。


ぐっと堪えていると、フレディの手が

離れ、立ち上がる動きを目で追うと


「では、ディラン様にその様に伝えて

まいります」


胸に手を当て一礼をしたので


「お願いね」


声が震えない様に力を入れ返事を返し

部屋から出ている背中を見送り、

溜まった涙を指で拭い、深呼吸をし

気持ちを切り替えた。



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