弟は帰る準備をする
紅茶と美味しいディーフードをいただき
ゆっくりとした雰囲気の中、
アーロ様が現在調べている魔術を話して
くれ、ルカ様を中心に始めそれぞれが思う
事や疑問に思った事を問いかけ、返答を
貰う。
「数年前の資料によると、魔力の色が見える
と、言った人物がいるらしく、どうにか
協力を得られないかと考えております」
その人物というのは姉様の事で、まだ幼い頃
1ヶ月に一度、新しく創った魔術や生活魔法
道具の案を報告に魔術省に通っていた頃に
魔術に色がある。
そう言ったと報告書で読んだ事がある。
「確か、連れ去られがあった時だっかか?」
レジー様の言葉に当時の記憶を掘り起こす。
あれは連れ去りと言うより、姉様が着いて行った
と言う表現が正しい。
が、世の中正しいだけで回るものではなく
王家と高位貴族のみ周知されている情報だが、
その話をから想像するに
「なるほど、色が見えれば誰がどの魔力を
持っているのか分かると言う事ですね」
ルカ様が僕と同じ考えが浮かんだ様で、
言葉にしたのち、顔をこちらに向けられた。
勿論、ルカ様だけではなくルーク殿下を
始め全員が僕を見ており
「最近はそう言った話は出ておらず、
聞いておりません」
ここ数年、魔力の色の話できていない。
ここにいる全員は目や自分の報告書で
姉様が何を話しどう言った行動を取って
いたか全てを知っているはずであっても
確認は必要で。
「帰り次第、尋ねてみます」
望まれている言葉を声に出し伝えると、
「よろしく頼む」
アーロ様、言葉を貰った。
確かに魔力色が分かれば探すと言う
時間が短縮でき、すぐさま行動に移す事が
できる。
忘れない様にしなければ。
頭の片隅に刻み、次の話題へと移るも
聞こえてきた3回のノックに立ち上がり
扉の前に立つと
「どうぞ」
ルーク殿下の入室許可の後、扉に手をかけ
開けるとアメリア嬢が立っており、入室の
為に体を横に一歩移動すると、
「ありがとう」
微笑みと共にお礼の言葉をいただき、
扉を閉めた後、アメリア嬢の為に紅茶を
淹れようと移動するが、
「お心遣いありがとう。紅茶は結構なので
こちらにお座りください」
アメリア嬢の言葉に引き止められ、座る様に
促されたので従い自分が座っていたソファに
腰を下ろす。
「お待たせました。先程本日の淑女教育は
終了致しましたので報告をさせて
いただきますわ」
その言葉か皮切りに、1時間程行われていた
マリー嬢の淑女教育の進退と共に
姉様の報告もされる。
メイド見習いとしてマリー嬢の淑女教育
の部屋に入っている姉様にはルイが一緒に
いる為、何かやらかすと言う事は無いが、
「どうも、メイド見習いの方が午前中、
体調が悪かったようで」
その話に表情を繕うもアメリア譲と
視線が合い、
「昼食は取らず、庭園に散歩を出た時
歩いていた足を急に止め、考え込んで
しまったそうですの」
アメリア嬢はその場にいた訳ではないので
マリー嬢との対話の中で聞いたのだろう。
「数分、下を向き立ち止まっていたと思うと
急にどこかへ向かって走り出そうと、
したらしいですわ」
何か思いついたのか、
突然の行動の意味を探るも、
「あまりの顔色だったので、止めようとし
勢い余りマリーがメイド見習いに抱きついて
しまったそうで」
確かに姉様の顔色は良くなかった。
が、昼食を抜く程に体調が悪かった事に
加え、突然の行動に思わず顔を顰めると
「抱きついた後、不思議そうな表情で
マリーと男性である友人を見つめたとの
こと。
午後からの講義は全て終え、淑女教育で
出したティーフードのスコーンも数個
食べておりました」
アメリア嬢から告げられる言葉に、
全員が同じ考えが浮かんだ様で、
じっとアメリア嬢の話の続きを待つ
「これは、わたくしの考えで本人に
問いてはおりませんが、魔術を発動させた
と考えております」
誰がとあえて言わないが、全員が
分かっておるので
「なるほど。報告ありがとう」
ルーク殿下の言葉にアメリア嬢は
頷きで返事を返せば
「リア、お疲れ様さま。いつもありがとう」
ルーク殿下のアメリア嬢への労りの言葉
に、
「ありがとうございます。ですが楽しく
させていただいておりますの」
生徒であるマリー嬢の頑張りが成果に
出ている様で、毎日楽しく過ごしていると
嬉しそうに微笑みながらの言葉に
ルーク殿下が愛おしそうに見つめる。
毎日の見慣れた光景。
なので僕達はお二人の邪魔にならない様に
気配を消しつつ、頃合いを見て使用した
カップを下げ洗い、帰る支度をととのえ
「では、帰ろうか」
ルーク殿下の一言で生徒会室を後にした。




