弟は身を震わす
魔力の共鳴で惹かれ合い心を許し合う
ならば、他の魔術を保有する者達の
関係はどうなのだろうか?
この生徒会にいるルーク殿下をはじめ
側近候補の方々は、代々王家に忠誠を誓い
その身を捧げてきた方々。
魔力の共鳴は関係なく家や格式の関係が
強い。
「その、共鳴する魔力は光の魔術と闇の魔術
だけなのでしょうか?」
恐る恐る発言者のアーロ様へ尋ねると
「恐らく。どの魔力より関係性が強いと
考えている」
間を置かず返ってきた言葉に、
「そうですか」
適切な言葉が見つからず、曖昧な言葉で
返事を返してしまう。
紳士として貴族としてこの返答は許された
事では無いかもしれない。
が、冷静さを保つ余裕は無く、
ただ、姉様のこれからが心配が大きく
不安と恐怖が心を支配し始める。
「光と闇ねぇ。て、事は学園内に
闇の魔術が使える者が居るという事だが」
レジー様の言葉に一気に緊張感が膨らみ
「共鳴をすると言う事は、マリー嬢の近く
もしくはこの学園内に居るってことだろ?」
続けられた言葉に絶句をし
「あ、あね」
無意識に姉様は闇の魔術を持ってい
ないと言いかけたが、
「1番の可能性はマリー嬢の友人だか、
報告は受けていない以上は予想しか
できない」
ルイ様の言葉に血の気が引く音が聞こえ、
指先までもが冷えて震え出す。
姉様が闇の魔術を持っている。
可能性はゼロでは無い。
その考えに行きつき震える手を握りしめる。
「で、さっきから闇の魔術て言っているけど
詳しい魔術の特性は分かって無いんだろ?」
ザッカリーの言葉に顔を上げ縋る様に
アーロ様に視線を向けると、深く頷き
「光の魔術程に資料が残っておらず、
調べようにも手詰まりと言った所だ」
「なるほど。光の魔術の歴代の資料の
量を考えれば闇の魔術の資料も残っていても
おかしくは無いはずですが」
アーロ様の答えにルカ様が続けた言葉、
そして
「資料として残せない。もしくは隠蔽を
したおそれがある」
レジー様の言葉が続き、一気に不安が
膨らむ
魔力の量に加えほぼ全ての魔術が使える
姉様
闇の魔術も発動ができる、のでは?
この場にいる全員が同じ考えを持っている
のだと理解し、
なぜ姉様ばかり。
どうして姉様なのか。
この言葉がくるくると頭の中を周り続け
それしか考えらればなくなる。
「にしてもだ、何故、濃厚で甘い匂いを
他の人物は分からないのかが不思議だね」
考えの奥底にいたがルーク殿下の言葉に
意識を浮上し
「確かに、何故だ?」
ザッカリーの言葉に
そうだ。
もし姉様が闇の魔術を無意識に発動を
させていたとしても、匂いの反応が
姉様以外無いのはおかしい。
「発動させた者が、学園内に居る」
自分たち以外に聞こえない程に小さな
声でつぶやかれた言葉に、全員が
険しい顔をし、
「そして、反応ができたのが、
ただ、1人だけだとしたら?」
ルーク様の言葉に、不安と恐怖に囚われた
心を律し、冷静さを取り戻し出し
「尋ねてみます」
自分お役割を思い出し、屋敷に
戻り次第聞き取りをする事を告げれば、
「正解や答えが分からなくても良い。
現状と匂いを感じた時の事を詳しく
尋ねてくれ」
ルーク様の言葉に力強く頷き、
明日に必ず報告をする事を約束した。
何一つ解決した訳ではないが、
姉様が闇の魔術を発動させていた
可能性が少なくなった事に心の中で
安堵の息をこぼすと、
心配そうに自分を見つめる全員からの
視線に気付き、慌て表情引き締めと体を
正す。
「ディランの心配が解決できず、
謎ばかりが深まってしまったが、
ある意味『今、気がついて良かった』
かもな」
ザッカリーの言葉に
「そうだね」
ルーク殿下が困った様に微笑みながら
頷き、
「そうなる様に、今後も注意を払います」
ルカ様の言葉にレジー様にアーロ様と共に
頷き是と返事をする。
「後少し休憩時間はあるね」
その言葉に紅茶を淹れるべくソファから
たち上がった。
予約設定の間違いで22日の更新ができておらず、
申し訳ございませんでした。




