表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

650/750

弟は狼狽える


全員でここ数日の姉様の行動を記入

された報告書を当たらめて目を通すと

頻繁に出てくる濃厚な甘い匂いの

記入に


「なぜ、当人しか匂わないんだ?」


ザッカリーの言葉に不安が膨らむ。


匂いを言葉にしているの大半が姉様。


「魔力と関係があるのか?」


自分達と姉様の違いは魔力の量。


この世界にただ1人


姉様は莫大な魔術の量を持っている。


数百年前の戦争を終わらせた王女と

ほぼ同じの量を。


姉様は最も簡単に2つの魔術を発動させ

操作させているが、


誰にでもできるものではなく、


魔術省でもアーロ様の父である魔術師長

を含め数人のみ。


繊細かつ大量の魔力を使用する為に

長時間の発動は命の危険もあるので

多重の魔術発動は推奨されていない。


最も簡単に成し遂げてしまう姉様に

しか匂わない匂い。


誰もが魔術では無いかと頭を掠める。


「だが、匂いのある魔術だなんて初めて

聞く」


ルカ様の言葉に誰もが頷き、困惑する中


「マリー嬢が光の魔術を発動させた。

ならば、闇の魔術を持つものが学園内に

いると判断してもいいかのかもしれない」


誰よりも魔術に詳しいアーロ様の言葉に

息を飲み、瞬間否定的な考えが浮かんだが


「光があるからこそ闇ができる。

そういう事か?」


ルカ様の疑問の言葉に冷静さを取り戻し

アーロ様を見つめると、小さく頷いた。


この場にいる全員に緊張が走り、


「マリー嬢の状態はどうなっている?」


ルーク殿下の問いかけに


「問題はないとアメリア嬢から報告を

貰っている」


レジー様の返答に、ルーク殿下は

そうかと頷き、


「なぜ、光の魔術を持つマリー嬢では

ない人物が反応を示したのでしょう?」


不安ともの言えぬ恐怖に押し潰されそうに

なる中、なぜ、どうして、の疑問が湧き

止める事ができず、声に出すと


「持っているからだろうな」


ザッカリーの言葉に、自分の不甲斐なさを

感じ下を向いた。


そうだった。

姉様も光の魔術を発動させる事ができる。


なぜ、忘れていた。


ぐるぐる回る思考と落ちて行く感情に

背中を丸めていると、ルカ様が気遣う様に

ゆっくりと背中を撫ぜて撫ぜてくれ、


「気づかない内に闇の魔術を感じ取った、

もしくは魔力が共鳴をしたのかもしれない」


アーロ様の僕を気遣う言葉にノロノロと

顔を上げ、


「すみません」


紳士として、姉様の弟として、責任者の

1人として、自分がしっかり対応しなければ

ならないのに、対応ができていない事へ

謝罪をすれば、


「いい。ディランの気持ちは分かる」


辺境伯の子息でルーク殿下の次の地位である

ザッカリーの言葉に、ルーク殿下は微笑み頷き


「大切な人が原因不明で体調不良になっている

んだ、誰もディラン攻める事はしないよ」


許しの意味を含めた言葉に


「ありがとうございます」


深々と頭を下げ、礼と感謝を伝え


「アーロ様、先程魔術の共鳴という言葉が

ありましたが、ご説明いただいても

よろしいですか?」


気持ちを立て直す為に、正面に座るアーロ様

を見つめ尋ねると、


「これは、証明された話ではないし確証がある

話でも無い。ただ僕が予想を立てて話した。

その事を前提に置いて話を聞いて欲しい」


前振りの後、ソファに座る全員の顔を見渡し

理解が得られた事を確認した様で、


「僕は同じ魔術は共鳴し合うのではないと

考えている」


目に見えない魔術の話なので確証される事は

無いかもしれないが、そうだとしたら


「だから、マリー嬢は惹かれた?」


レジー様の言葉に姉様とマリー嬢との出会い

を思い出す。


確か、こけてしまった姉様をマリー嬢が

気遣って声をかけた。


そこからの始まった関係。


仲が良くなるきっかけとしては疑問に

思わない。


僕の中で冷静さを保ち理解しようとする

中、


姉様の人徳だと言いたい僕もおり、

唇が勝手に動かない様に力を入れた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ