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弟は後悔に飲まれる


大勢の生徒がいる場では話せない。


そう言った僕の言葉にルーク殿下を

初め側近の方々と生徒会室へと移動。


1番奥にある1人用のソファに殿下が

腰を下ろし、それぞれが対面する様に

腰を下ろす。


この位置も初めて生徒会室に入り

言われるままに腰を下ろした場所と

同じルカ様の隣。


正面にはアーロ様がおり


慣れるまでは恐れ多いと思っていた

が、1年座っても慣れずにいる。


「さて、」


ルーク殿下の声は自分に話す様に

との促しで、


「その、体調が芳しく無い様で」


名前を出さずに告げた人物にルーク殿下

を初め皆様は姉様事だと判断できた様で


「それは心配ですね」


ルカ様の自分と姉様を気遣う言葉に


「はい。本当は休んで欲しいかったのですが」


「押し負けたと」


ザッカリーの言葉に深く頷き、


やはり姉様を悲しませてでも休んで貰う

べきだった。


太腿の上に置いた手を握り締める。


平民である姉様とは立場が違うので教室が

違う為に現状が分からず、不安ばかりを

募らせ、時に最悪の想像が頭を過り、

それを否定する為に深呼吸をし気持ちを

切り替える事を何度も繰り返している。


唯一、連絡を取れるルイも日中は姉様の

行動を共にしている為に報告に来る事は

無い。


あるとすれば緊急性の時のみ。


その報告が無いという事は、姉様は

講義を受けているという事だが、


今朝の姉様の顔色と食欲。


あの時、僕が嫌われてでも

休む判断を下す必要があったのに。


己の判断力と覚悟の無さを苦々しく

思っていると、


「今日の仕事状況はどうだったかな?」


ルーク殿下の声が聞こえ、


「提出する書類は終えており、

来年度の予算案の確認及び見直しを

行う予定です」


ルカ様の返答の言葉に耳を傾けていると


「なら、今日は早めに終わりそうだな」


レジー様の言葉に


「そうですね。ただ気になる事が」


アーロ様は殿下に向けていた顔を僕に向け


「報告書を読んでいると、この数日

濃厚で甘い匂いの記入が多い。ディラン

は匂わないと書かれていたが本当か?」


予想外の問いかけに、自分の書いた報告書の

記憶を思い起こす。


「はい。報告通り、この数日は匂いの話が

ありましたが、僕や従者には匂いを感じた

事はありません」


そう。姉様がこの数日良く言葉にしている

匂いは姉様以外感じた事はな無い。


マルチダにも尋ねたが否定の言葉が返って

いる。


報告に嘘偽りなく記入をしているので自信を

持って返答もできる。


が、アーロ様は自分の答えが気になるのか

考え込み、


「香水ならばディランに移り香がしても

良いはず」


隣に座るルカ様の言葉に、頷き返すと


「なぜ、独りしか匂わない?」


レジー様の言葉に嫌な予感がし、アーロ様を

見れば先程と変わらない表情で考え込んでおり


「状況を整理した方がいいな」


ルーク殿下の言葉に全員で頷き、放課後の

時間を使い報告書の見直しと現状把握となった。




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