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姉、彷徨う


重く感じる体といつもより遅く感じる

手足を動かし、校内へ入りいつもならば

すぐに聞こえるクラスメイトや平民クラスの

上級生や下級生の挨拶の言葉が小さく聞こえ


内心驚きつつも、顔へ視線を向けれは自分へ

向けられた視線と唇の動くのを見て挨拶を

貰っているのだと判断し


「おはようございます」


挨拶を返し、ルイと共に廊下を歩くと

甘い匂いがし視線を向ければ


ボーイックのお姫様が見知らぬ男性生徒

と楽しそうに話、微笑んでおり


ぼんやりとした意識の中


今日も可愛いなぁ。


女性生徒の微笑みを見ていると


「エスメ、どうした?」


耳の近くから聞こえた声に意識を向けると

ルイが険しい表情で見ており、


「大丈夫。なんでもないわ」


愛想笑いをし教室へ向かって歩き出す。


甘い甘い匂いを記憶に残し、教室に入れば

クラスメイトから挨拶を貰い、微笑みと共に

挨拶を返し自分の席へと近づくと、


「エスメさん、ルイさん。おはようございます」


先に自分の席に座っていたマリーが振り向き

挨拶をくれたが


「エスメさん」


自分やルイだけに聞こえる程の小さな声に


「お心遣いありがとう。大丈夫よ」


顔色から判断し体調の事を尋ねたいが、声に

出して良いのか判断が付かず名前だけに留めて

くれたマリーの心遣いに感謝しお礼を伝えると

心配げに見つめられるので、


「熱が出ている訳でも、どこか痛い訳でにないの

ただ、体が重くて」


自分の体調を言葉にして伝えると、気遣わしげな

視線と共に小さく頷いてくれ、


「何かあればすぐに保健室へ行くわ」


行く気は無いがマリーの心配が少しでも取れる

ならばと伝えると、


「分かりました。何かあればすぐにお声がけください」


真剣に頷いてくれたマリーに申し訳なく思いつつ、

自分の席に腰を下ろし授業の準備をしたのち、

ルイとマリーで少し話をしたものの、


やはり少し声が聞こえにくい様な気がし、


体調が悪いのが原因かなあ?


疲れが溜まると体が重く感じる事があるのは

前の人生で体験をしているし、そこそこの年齢で

長い時間、スマートフォンやパソコンなどを見て

いると霞んで見えたりボヤけて見えたりと、

さらに歳を取れば高い声が聞き取りにくくなり

何度も聞き直してしまったりとあったが、


今はまだ10代。


老いというにはほど遠いはず。


なんだろう?


遠くから聞こえるルイとマリーの話し声を

聞きつつ内心不思議に思っていると、講義の

時間となり、教授が教室に入ってくるのを

皆、自分の席に座り待つ。


時間通りに教室に入ってきた教授の開始の声で

教科書とノートを開きインクの蓋を開け羽ペンを

握り、教授の説明と黒板の解説文字を書き写す

も、フットした瞬間


意識が飛び、


女子生徒の頬炎が表情に楽しそうに笑う声を

思い出す。


いつもは見ないでいたけれど、毎日楽しそうに

笑っているのだろうか?


楽しそうに笑っていたけれど、どんな話を

していたのだろう?


声をかけたら、自分にも笑ってくれるかな?


次々に浮かぶ感情に


急に女性生徒の事が気になり出したのか不思議に

思いつつも、


なぜだか、自分にも女性生徒の視界に入り

認識し意識を向けて貰いたくなり、


不思議に思う気持ちとせめぎ合う気持ちの

まま最初の授業は終わりを迎え、


「エスメ、大丈夫か?」


ルイの声に我に返り、


「う、うん。大丈夫よ」


なんでも無い様に教科書とノートを片付け

次の講義の準備を行う。


自分の様子を伺いルイや心配そうに見てくる

マリーに笑顔で誤魔化し、次の授業も最初は

集中して講義を受けていたが、


やはり意識が女性生徒へと考え向いてしまい、


どうすれば意識してもらえるのかから始まり、

相手は貴族籍を持ち、自分は平民という立場で

果たして自分を見てくれるのか?


そう考える中でも


なぜ、急に女性生徒と仲良くなりたいと

思うのか?

なぜ、こんなに必死で考えているのか?


不思議でならず、


今で通りで良いのでは無いか。


その考えに行き着いきかけると、甘く芳醇な

香りがふんわりと匂い、意識がそちらへと

持っていかれ、考えが女性生徒の事に占められる。


休憩時間に入る度にルイに声をかけら、

昼食を取る気にはならないが、マリーの

心配そうな表情に負け、スープだけならと

食べたのち、いつもの様に散歩に出かけたが

肌を刺す様な寒さを感じつつも、風景を楽しむ

どころか


どうすれば、女性生徒と仲良くなれるのか?


その事ばかり考えており、


そうだわ。

ディランが居るわ。


ディランは貴族籍を持っているもの。

ディランにお願いをすれば良いんだわ。


名案が浮かんだと、渦巻いていた事への

解決策浮かび、落ちていた気持ちが浮上し

歌い出し踊り出す程に高揚する。


なん名案のかしら。

ディランと婚約をすればずっと仲の良い関係

になれるわ。


羽が生えたのではないと思う程に体が軽くなり、

浮かんだ答えが正解だと納得し


早速、ディランにお願いしないと


善は急げと動き出す。


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