姉、投稿する
視線を逸らしつつもチラリと
ディランの様子を伺うと、ジッと
自分を見ており、
「たくさん寝たから大丈夫よ」
視線を外したまま、ディランの視線に
耐えられず言葉を溢すと
「マルチダ」
自分の言葉を確認する様に、マルチダの
名を呼ぶと
「深夜に一度お目覚めになり、食事の有無
を尋ねましたところ、
朝食を食べるので今は良い。とのお答えでした」
さらりと昨日の会話をディランに話すマルチダに
目が覚めたのは深夜だった事をと記憶が曖昧で
マルチダと会話をした記憶はあったものの
内容までは覚えておらず、そうだったのかと
頷いていると、
「その後、明日に備え下がって良いとお言葉を
いただきましたので、その指示に従い部屋に
戻りました」
ぼんやりとマルチダの背中を見送った記憶も
あり、マルチダの言葉を借りて、ディランから
学園へ行く許可を貰えるようにしないと。
そう意気込み、
「ね。沢山寝てるでしょ?だから大丈夫よ」
逸らしていた目を合わせ伝えるも、
強い視線に負けてしまい、そっと視線を外せば
「姉様」
今度は自分が呼ばれ
「はい」
素直に返事をすると
「ご気分が悪い、どこかが痛い、体調不良と
言う症状は無いのですね?」
改めて自分の体調を聞かれ
「無いです。体が重く感じるだけです」
「頭が痛いとかはありませんか?」
「無いです」
「食欲はありますか?」
「あまり無いけど、スープぐらいなら」
次々とくる質問に答えつつディランの
様子を伺うために逸らしていた目を
向けると、悲しげに眉を下げ、全身で
心配をしていますと表に出しており、
休んで家にいて欲しいという気持ちは
分かるけれど、
「今日行けば、明日明後日が休みなので
部屋でゆっくりする予定です」
絶対に学園に行くと主張し伝えると、
すっごく重めの息が吐き出された後
「分かりました。ルイにしっかり
見るように伝えます」
投稿の許可が出たので、安堵の息を
溢し、差し出してくれたディランの
手に自分の手を乗せ、数歩だけの
エスコートを受け、椅子に座れば
朝食のスープとパンが乗せられ、
「食べれる範囲で大丈夫です」
正面に座るディランの言葉に頷き
食への感謝を告げたのち、スプーンに
手を伸ばした。
体が受け付けないかもと思っていた
スープは柔らかく煮込まれており、
味も程良く薄味で、パンを半分
食べる事もでき、安堵の息を漏らす
ディランに
申し訳なさで心苦しく思いつつ、
食後の紅茶はハーブティーに代えられ
フレディの心遣いに感謝し飲み干し
馬車までディランのエスコートも
あったがしっかり自分の足で歩き
乗り込み、
いつもの場所でルイと教室へ行く為に
馬車から下り、先に下りたディランと
ルイの様子を見ていると、ルイの視線が
足元から頭の先まで走り
ディランから体調の話を聞いているのだと
分かり、申し訳ない気持ちはあるが、
なんとなく登校をしなければいけない。
そう思い皆の気持ちを知りながらも
我儘を押して登校をしたからには
最後まで講義を受けて、淑女教育も
終えて戻るぞ。
意気込みを自分自身に伝え、体に喝を
入れ、背筋を伸ばし、微笑みを作り
こちらむ向かってくるルイへ
「ルイ、おはよう」
いつもの様に挨拶をすると
「なるほどな。ディラン、任せておけ」
挨拶は貰えず、ディランが何かを伝えた
言葉に納得した様に深々と頷いた姿と
「すまないが、任せた」
自分の横で小さく頷き返事を返している
ディランに、なんとなく交わされた会話が
想像できるが、敢えて気づかないフリをし
ルイの横に移動し
「ディラン、フレディ、行ってきます」
いつもの様に挨拶をすると
「行ってらっしゃいませ、姉様」
「エスメ様ご無理は禁物ですよ」
心配げに見送ってくれる2人に背を向け
ルイと共に教室へと歩き出した。




