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姉、体調を崩す


寝過ぎが原因なのか、


体が重くて、頭の動くが遅い。


いつもならば工房の報告書を読み終え

個人宛の手紙を書いている時間になっても

工房の書類が読み終わらず、


一向に書かれている文字が頭に

入ってこない。


重めの息を吐き出し、瞼を閉じ

一度視界を真っ暗にして気持ちを落ち着かせ

たのち、ゆっくりと瞼を開け


もう一度、書類に目を通す。


いつもの倍に近い時間を掛け読み終え

疲れを感じ椅子の背凭れに身を預けていると

3回のノックが聞こえたので姿勢を正し


「はい」


起きている事を知らせると、ゆっくりと

扉が開き、寸分の乱れの無いメイド服を

着こなしているマルチダが姿を見せ


「エスメ様、おはようございます」


お手本の様な綺麗な礼と共にもらった

朝の挨拶に


「おはよう。マルチダ」


いつも通り挨拶をしたつもりだったが、

普段変わらないマルチダの表情がスッと

変わり、ゆっくりと近づいてきたかと

思うと、そっと掌が額に当てられ、


「熱はない様ですが、体調がよくない様に

見受けられます」


顔色を伺う様に見つめられ、


「体が重くて。寝過ぎちゃったからかな?」


隠す事なく体調と自分の考えを伝えると


「学園をお休みされてはいかがですか?」


自分を思っての提案にゆるりと首を振り


「明日、休みだし今日は行くわ」


元気とは言えないながらも、明日と明後日は

休みな事を考えると、今日は学園に行った方が

良いと思い伝えれ椅子から立ち上がり

着替える為にナイトウェアに手をかけると、

マルチダも着替えの自分の負担が少ない

様に配慮しながら手伝いをしてくれ、


2回のノックが聞こえ


「はい」


返事で入室許可をすると従者の制服を着こなした

フレディが姿を見せ


「おはようございます。顔色が良くありませんね」


挨拶の後に告げられたフレディの言葉に


「そんなに分かりやすい?」


自分の頬に手を当てつつ尋ねると


「ええ。一目見て分かるほどに」


真剣な表情のまま深々と頷かれてしまい


「化粧で誤魔化すのは無理かしら?」


助けを求めるようにマルチダへ視線を向けるも


「これ以上は無理です」


ハッキリと断られてしまい、仕方ないと

覚悟を決め


「ディランの元へ行きます」


心配そうに見つめるマルチダとフレディを

振り切り隣の部屋にいるディランへ会う為に

フレディに扉を挙げてもらうと


「おはようございます。

体調が優れないのですか?」


いつもなら可愛く姉様と呼んでくれるはずの

ディランの声が低く、そっと目を逸らした。



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