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姉、夢を見る


ゴトゴト揺れる音にウマの歩く音

が耳に届き、深くまで沈んでいた意識が

ゆっくりと浮上してくると、


体が横になっており頭の下には固い何かが

ある事にうっすらと瞼を開けると、


「エスメ様」


正面から聞こえたフレディの声に小さく

頷き返し、


「まだ、寝ていても大丈夫ですよ」


瞼を覆われながら上から降ってきたディランの

声に、起きなければど思うも瞼がいう事を聞かず

ゆっくりと閉じてしまい、意識が落ちていった。



たどり着いた場所は懐かしくて思わず泣きそうに

なる前の人生で母親として過ごしていた部屋の

一室。


背中側にあるリビングからは男女の話し声が聞こえ、

手元を見ればフライパンで何かを炒めており、


夕食、作らなきゃ。


そう思い付くと自然と体が動き、ひき肉を炒め

終え、まな板で切られて待機している豆腐を

入れて崩さないように炒める。


楽しそうに話す内容は互いに読んでいる小説の

話の様で、


「だから、悪役令嬢はさ幼い頃から努力に努力を重ね

勉強にマナーに勤しんでき、憧れの的なのよ。

そこに転生の意識が入るなんて勝ち組だし、

コネクションも強いからなんでもできて

夢に見ていた事ができて最高なのよ」


どうやら流行りの転生の内容の話らしく

確かにと心の中で同意していると


「確かに、お金もあるコネもある権力も最強

魔法ありの世界なら魔法も最高レベルだもんな。

確かに憧れの存在だよな」


納得してますと言わんばかりの言葉と声に


「それに、自分の足で立って生活の不安もない。

最高だよね」


嬉しさと憧れの色を強く出した言葉に、


憧れるわね。


力強く頷き、フライパンの中にスーパで購入した

麻婆豆腐のタレを入れ味を染み込ませる為に

煮ている間に


その間に副菜となるトマトをくし切り、小鉢に入れ

塩昆布としろ胡麻を入れ味を馴染ませる。


煮ていたフライパンの火を止め、卵とわかめの

中華スープを作り、付属していた片栗粉を水で解き

フライパンに回し入れ、少しかき混ぜたのち、火を付け


「2人共、ご飯できたわよ」


少し早めに声をかけると、2人の足音と共に、


「今日のご飯は何?」


「麻婆豆腐なら丼にしたい」


2人の声がいっぺんに聞こえ、


「分かったからまずは自分が食べる量のご飯を

茶碗に入れてちょうだい」


返事もなく各自動き出し、茶碗と丼にご飯を

よそう姿を見つつ、副菜のトマトとスープを

準備すれば、自分達の分は勿論、


「母さんのも持ってくね」


「ありがとう」


「箸、全員分持ったから」


「ありがとう」


それぞれが相手を気遣う行動とその行動への

お礼の言葉が飛び交い、リビングの一角にある

テーブルに3人腰を下ろし、手を合わせ


「いただきます」


軽くお辞儀をしたのち、箸を手に取り

まずはスープに手を伸ばし一口、わかめを

箸で掴み口に入れ、その後メインである

麻婆豆腐へと手を伸ばす。


「悪役令嬢はいいわよね。読んでいてい

気持ち良いもん」


どうやら話は続いているようで


「男の転生物も普通のサラリーマンが

異性界行ってチートで冒険とか憧れるよな」


物語には叶えたい夢や願望を文字にし擬似体験が

でき、時に知識を得ることもできる。


「良いわね。オススメの話はあるの?」


楽しそうに話す2人に混ぜて貰おうと話しかけると

嬉しそうに本の題名と軽く本の内容を教えてくれ


「ヒロインではなくて悪役令嬢が多いのね?」


不思議に思い尋ねると


「ヒロインになりたければゲームをすれば

良いじゃん。悪役から正義へ回って成敗

スッキリするよ」


意外な言葉に、なるほど頷くと続きがあるようで


「ゲームのヒロインもさ努力するけど、悪役令嬢

みたいに幼い頃から教育を受けてないじゃん。

言葉は悪いけど、何もしないでチヤホヤされるより

努力を認めて貰って、互いに尊重し合える相手と

一緒にいるのが幸せだよね」


熱弁する姿を微笑ましくも頼もしく思いつつ


「一理あるかも。トップアスリートーも

どの世界のトップも練習に練習を重ねての結果

だもんな」


「そうそう、だからと行ってゲームのヒロインが

悪いとか言っているんじゃなくて、臨機応変に

その日の気分で甘えたいときはヒロイン、

頑張りたい時は悪役令嬢て私は使い分けてるの」


それぞれの良さがあり、その日の気分で、か。


我が子ながらしっかりした考え持っているのね。


しみじみ思いつつ、


「なるほどね。とりあえずオススメの悪役令嬢の

本と転生の冒険の本を読みたいので貸して欲しいな」


子供が興味に持つ物を一緒に楽しみたくて

お願いをすると2人共快くい頷いてくれ、


「後でオススメの話のアドレスをラインで送るから」


とびきりの笑顔で告げられ、頷き返した。



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