姉、講義を受ける
いつものようにディランとフレディと馬車に乗り、
マルチダに見送られ学園に登校をする。
街を歩く人々を眺め時にその事に触れ会話をしたり
今日の授業の予定と習う内容を話したり、ディランの
大まかなスケジュールを聞いたりしていると
ルイとの待ち合わせ場所に到着し、フレディがまず
馬車から下りて、フレディが下りて、そして
自分がフレディの手を借りて馬車から下り
今日もディランとルイが話している姿を眺める。
自分が毎日話したい事が、聞いて欲しい事がある様に
ルイもディランも笑い合う事もあれば、深刻な表情を
し話をしている事もあるが、
最近は深刻な表情ばかりね。
話し声は聞こえないが、2人の表情を見れば
真剣な表情にどこか近寄りがたい雰囲気、
よくよく見ればディランの眉間に皺が寄っている。
何を考え込み、悩んでいるのか分からないし、
話してもくれないから、勝手に心配する事しか
できないのが心苦しくもあるが、
ルイにしか話せない事や相談なのだろうから
自分が訊ねてはいけないわね。
話してくれない寂しさに目を逸らし、
それだけディランとルイは信用し信頼し
合っているのね。
微笑ましく思い、先程の感情を消し去り
見守っていると、
「おはよう」
ディランと共にこちらに向かい歩いて来たルイ
から挨拶を貰い
「おはよう」
同じ様に挨拶を返し、
「ディラン、フレディ。行ってくるわね」
違う校舎に行く為に別れる2人に挨拶をすると
「いってらっしゃいませ」
「お気をつけて」
ディランとフレディから返事を貰い、ルイと
共に冷たい空気を切りながら歩いていく。
「今日も寒いわねぇ」
「早く暖かっくなって欲しいよな」
そんな話をしながら校舎へと入り教室に向かう
途中で出会う人達に挨拶を交わし合い進み、
今日も居るわね。
自分を見ていると解る程に強い視線と複数の
視線を、気付かないふりをし、悟られない様に
表情に態度を変えないように注意し通りすぎる。
毎日の事ながら1番緊張をするわ。
重い息を体の中に落としつつ、教室まで進み
1歩室内に入った瞬間に強張っていた体から
力が抜け、安堵の息を小さく吐き出しつつ
「おはよう」
扉の近くに居たクラスメイトに挨拶をし、
自分の机に向かいつつ、
「マリー、おはよう」
「おはようございます」
斜め後ろに座るマリーに挨拶をすると
自分の席に荷物を置き、椅子に座れば
毎日同じでも違うのは、話す話題。
新作のティーフードや新しいお店の話
流行りの商品やちょっとした愚痴
楽しく話に花を咲かせていると、あっという
間に教授がくる時間になり、そして講義が
始まった。
教授の話を聞き、黒板に書かれた文字と
重要だと言う言葉をノートに書いてゆく。
ふっと今朝の女子生徒からの視線を思い出し
日に日に強くなる念の様な視線に、気付かれ
無いように息を吐き出し、ゆっくり息を吸うと
重く甘い匂いがあることに気付く。
香水かしら?
自分はつけてい無い、ルイもマリーも香水は
着けていない。
なら、ボーイックかしら?
男性ならスパイシーな匂いを身に纏う気が
すけれど、大商会の跡取りとしてこれから
流行るであろう物を先取り、身につけるのは
当たり前の事。
この匂いが流行るのかしら?
魅惑と言うか
妖艶と言うか
教授の話に集中をしていても、ふっと
匂いが頭をよぎり集中が途切れる。
いつまでも残り、記憶を乗っ取るほどの
強く鼻の奥に残る。
できれば、程々にして欲しいなぁ。
誰に願うわけでもないが、そう願いつつ
教授の話に意識を向けた。




