姉、特訓する
右手の握力と腕の重みに初日して心が折れてしまいぼんやりとディランの剣術の練習を眺めていると肩に何かが掛けたれた感覚に視線を左斜め上げると、
「寒くはありませんか?」
フレディが心配そうに訪ねてくれるので、肩にかけてもらったチェック柄のストールを撫ぜながら
「ありがとう。ディランに夢中で気付かなかったわ」
微笑みながら返事を返すと同時に先のお茶会で使用した風魔法と火魔法を合わせた魔法を発動させた。
風魔法で壁を作り自分達の周りに作り火魔法の熱を流動させる為に少しだけ動くように想像し体感で調整する。
ゆっくりと周りの空気が暖かくなるのを感じ風の量と動きを微調整をしていると
「ありがとうございます」
ホッと息を抜いたのか少しだけ柔らかい声の礼に
「どういたしまして。いつも助けて貰ってるので少しでも返せたら嬉しいわ」
小さく笑いながら返事を返すと少し複雑そうなフレディの表情に首を傾げるもすぐにいつのも表情に戻ってしまい聞くに聞けなくなり視線をディランに戻し、模擬戦をしてる様子をぼんやりと眺め続けた。
王都にいた時より剣術の時間を多くとっており、昼食後から始まると途中、休憩を挟みながらも陽が落ちかけるまで剣をふる続けている。
跡取りとして獣害退治に率先して出て行きたい。
先のお茶会でお祖父様にお願いしていた姿を思い出し心の中でため息を落とす。
攻撃に特化した魔法を考えようかな。
前世の時に流行っていたゲームみたいに火を放ったり押し流せるような水圧高めの水とかできたら良いよね。
後は風で鎌鼬みたいなのもいいだろうし他は土だと落とし穴かな?
氷は塊を落とすだけでいいだろうし、今みたいに違う魔法を組み合わせて発動してもいいよね。
頭の片隅でぼんやりと考えていると休憩に入ったのか相手役の方に一礼をし、こちらに向かって歩いてくる。
「お帰りなさい」
先程まで発動していた魔法を消しディランを迎えると、肩で息をしながら頬には汗が伝い落ちている。
フレディが布を渡すと交換すかのように模造刀をフレディに手渡した後、汗を拭きながら横に腰を下ろしてくれ、
「姉様、寒くないですか?」
その場に動かずに居る事に心配してくれたのか声をかけてくれるディランに
「心配してくれてありがとう。風と火魔法を発動してるから大丈夫よ」
微笑みながら返事を変えすと納得できたのか
「先のお茶会で発動していた魔法ですね」
頷きながらの言葉
「そうよ。だからディランは好きなだけ練習をしていいからね」
笑いながら告げれば
「お気遣いありがとうございます」
口端を少しだけ上げ小さく笑ってくれたので嬉しくなりながらフレディに振り向けば用意していたカップを渡され氷魔法を少しだけ発動させ飲み物を冷やしディランに手渡す。
1杯目は氷魔法で少しだけ冷やして熱った体を冷やし、
2杯目からは常温で飲んでゆく。
「ありがとうございます」
2杯飲み切って空になったカップをフレディに渡すと交換するように模造刀を手に取り再び稽古場へ歩いて行った。
「お願いします」
礼と同時にディランの言葉は聞こえ再び模造刀の撃ち合う音が聞こえ始め出す。
後、数時間は模造刀で打ち合うのだろう。
目標に向かって頑張っている弟に負けない様に思い直し
「フレディ」
真剣な雰囲気と低く硬くなった声に
「はい」
雰囲気を感じ取ってくれたフレディが同じ様に返事を返してくれる。
「カップを持ってきて」
先程片付けカップを要望すればすぐさま手渡してくれ
深呼吸をし、右手に持ちゆっくりと握り締め上下に動かした。
「エスメ様。何をなさっているのですか?」
真剣な表情と雰囲気に戸惑いながら訪ねてくるフレディに
「右手の鍛錬よ」
無意識に決め顔をしながらの言葉に押されたのか
「そうですか」
困惑しながらの返事を聞き流し、心を無にしてカップを上下に動かし時にカップを右手で握り締めたりもしディランの訓練が終わるまで過ごした。
第63話
知識があるから想像ができ現実化できます。
寒いですね。SMSで初雪の写真を見ました。本格的に冬がやってきますね。
ブックマークに評価をいただきありがとうございます。とても嬉しいです。
ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
よろしけれお読みください。
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