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姉、見守る


教授の講義も詰まる事なく理解ができ

クラス全員で昼食をいただきながら他愛の無い

話に盛り上がり、皆より早めに食堂を出て庭へ

足を運び、身を切るような寒さの中気分転換の

散歩をする。


以前、ボーイックと女子生徒と出会って以来

誰にも会わず散歩を楽しみ、身体中の酸素を

入れ替え教室に戻り、先に席についていた

マリーに挨拶をし午後の講義を受け終え、


マリーの淑女教育の為にルイとマリーと共に

教室を出てアメリアの待つ教室へと廊下を歩く。


放課後の廊下は講義の終えた生徒が多くおり、

時折立ち止まり話に花を咲かせている生徒も

いて賑やかな話し声と笑い声が聞こえる中、


フッと視線を感じ動かしていた足を止め

かけるも、いつもの事なので


多分、ボーイックのお姫様だろうなぁ。


視線の先にいる人物を視界の端で捉えると、

予想通りで、様々な感情が混じった視線に


挨拶もした事も無ければ、紹介をもらった

記憶も無い。


相手は貴族籍を持つ人物。


下である平民の自分が声をかけるのはマナー

違反に当たる。


そうなれな、女子生徒から声をかけてくるのを

待つしか無い。


毎日だから慣れてきたとは言え、

いい気分では無いわね。


そっと体の中に息を吐き、気づいていない

フリをし通りすぎる。


勿論、視線にはルイもマリーも気付いており、

最初は何か言いたげであったが、平民と言う

立場を理解しており


自分の事よりマリーの事が大切で、早々に来て

準備をして待ってくれているアメリアに申し訳ない。


その気持ちを伝えると、2人は理解を示してくれ

全員、足を止める事無くアメリアの元へ歩き目的の

教室の扉前で、マリーは深呼吸をしたのを確認した

後、


3回ノックし


「エスメです。マリーを連れてきました」


目の前の扉を潜れば、マリーは光の魔術を持つ王族

関係者の立場となり自分とルイはマリーのメイドと

護衛という立場に変わる。


本当ならば敬称を付けるべきなのだが、本人の強い

拒否とアメリアの理解と許可もあり敬称は省かれた。


「どうぞ。お入りになって」


扉ごしに聞こえてきたアメリアの入室許可の声に

今朝のフレディの行動を思い出し真似をして開け

数歩前に進んだら道を譲る様に横に擦れ、壁へと

近ずきルイと並び立ち待機をする。


「お久しぶりです。ご指導よろしくお願いいたします」


完璧なカーテシーと挨拶をするマリーを淑女の

微笑みと共に


「顔をお上げになって。こちらこそよろしく

お願いしますわ」


穏やかで優しく慈悲深い雰囲気の淑女の微笑みと

マリーへの挨拶への返事を返すアメリアを見つつ、

糸が張った様な緊張感が部屋中に広がる中、


淑女教育が始まった。


アメリアの柔らかく聞き取りやすい声に理解し

やすい言葉作りは、見守っている自分にも勉強になる。


今日の講義は先日行われたアメリア主催のお茶会に

参加していた高位貴族の家の歴史と現当主とご夫人の

実家の関係やそれぞれの領の話を中心に行われており


復習と言ったところかしら?


聞いていた時と実際に会い話をしたので理解しやすい

のかマリーも自分の意見や感想を伝えている姿に

アメリアは満足そうに頷き返答をしてる。


マリーも一歩一歩、貴族社会へと進んでいるのを

見つめ、


卒業後には会う事はむずかしのだろうなぁ。


王城か教会へ移住を移すマリーと、

領へ帰る自分とルイ。


距離もあるが、平民が高位貴族や教会の上位職に

会う事はほぼ無い。


後、1年と少し。


沢山、楽しく嬉しい思い出を作らないとね。


浮かんだ考えに心の中で深く深く頷き、

マリーとミランダのやりとりを見守った。


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