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弟は嬉しくもあり恥ずかしくもある


用意された晩餐を美味しそうに頬を緩め食べる

姉様に様子を見つつ、流れを崩さない様に同じ

速さで食べる中、


「今日はね、ルイが淹れてくれた紅茶を飲んだの。

とても美味しかったわ」


心から嬉しいと表情が表し、声が優しく弾んでおり

考える事もなく姉様の心からの正直な感想で、


「良かったですね」


自分も心から浮かんだ感想を伝えれば


「ディランもルイも勉強に剣術に体術と忙しい

のに、いつ紅茶を淹れる練習をしているの?」


多忙の自分達への心配と純粋な好奇心


「僕は自然と覚えてしまった。という感じですね」


心配される嬉しさを静かに受け取り、好奇心への

返事を返すと


「確かに、フレディの淹れる紅茶やハーブティーは

美味しいものね」


頷きと共に返ってきた言葉に頷きつつ、フレディを

視界の端に入れれば胸に手を当て少しお辞儀をし

視線に込めた意味の返事を返され、


「そうですね。領で過ごした時に姉様がイルに

習っていたのも見ておりましたので」


なんとなく素直に認める事ができず、イルの名を

出せば姉様は花が咲いた様に笑い


「聞いただけで淹れれるだなんて凄いわ」


まるで自分の事の様に喜び、


「機会があったら淹れてね」


いつでも叶えられる小さなお願いをしてくれ


「勿論です。よければ食後に淹れますね」


「嬉しい。ありがとう」


叶える事を伝えれば、嬉しさを全面に出して

喜び、笑ってくれる。


自分の地位と立場


言葉の意味と重み


自分の失態が姉様へ向くのでは無いという


恐怖感


それを思うと動く事も喋る事も怖くなるが

殿下を始め周りにいる皆様はおおらかで優しい

方々


勿論、ご自身の立場を十分の理解し振る舞う

事ができ、それすら使いこなす器用さがある。


尊敬


羨ましさ


日々見習う事が多い。


時に迷い首を左右に振り方向を見失いかけても

サッと手を差し伸べてくれる。


僕は恵まれているのだろう。


楽しそうに笑う姉様の話に耳を傾け、従者として

慕い時に兄の様にからかってくるフレディを視界

に入れ、今を楽しみこれからも変わらない生活が

できる様にと願い食事を終え、


姉様へ食後の紅茶を淹れ、ゆっくりとした時間を

楽しんだ後、


「言えませんよね、好みはエスメ様です。とは」


やれやれと息を吐き、わざとらしく息を吐き出した

フレディに


視線と強めると


「エスメ様の様な淑女を探すのは骨が折れます。

どうか妥協も視野に入れてくださいね」


兄の立場と従者の立場を混ぜ話してくるフレディに


「婚約の話を聞いた事もなければ、僕は拒否をした

事は1度も無いぞ」


不快だと感情を表に出し伝えれば、


「現時点で婚約者が決まっているのは殿下のみ。

ですが、方々には表に出てしませんが候補者が

おります」


返ってきた言葉は自分も含まれている気がし

息を詰まらせると、


「まぁ、ディラン様には候補者すらいませんが」


ニヤリと笑いながらの言葉に瞬間に頭に血が上り

言い返そうにも言葉が浮かばす、悔しい気持ちで

奥歯を噛み締める。


「旦那様も奥様を始め皆様が慎重に選び審議している

状態です」


エスメ様の事もありますので。


含まれた意味を汲み取れば、怒りに取られていた

思考と感情が冷静さを取り戻し、


間も無く、婚約者候補の知らせが来るのだろう。


「分かっている」


一言で話題の終了を終わらせる用に告げると


「エスメ様の表情も明るくなるようございました」


返ってきた言葉の返事に瞬間悩んだものの


「ああ、そうだね。憂いが晴れたようで良かった」


馬車の前で立っていた時と車内での表情を

思い出し、今までに見た事のない苦しそうに悩む

表情は見ている僕も辛く、


「悩んでいた原因は言っているのだろう?」


報告を


と求めると、先ほどまでの揶揄う雰囲気を消し去り

真剣な表情と共に頷き語ってくれたが、


姉様の気持ちはとても嬉しい。


愛されているのだと十二分に実感する。


だが、それを上回る恥ずかしさに頭を抱え込むと


「愛されておりまね。ディラン様」


無邪気を装ったフレディの言葉に返事をする事が

できず、さらに頭を抱えた。




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