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姉、動き出す


クラスメイトの話を聞いた次の日。


ディランとフレディに心配をかけ無い様に

振る舞いに気を付けながら朝食と食後の紅茶

を共にし、馬車に乗り込み学園に向かう。


日を追うごとに寒さで体を振るわせる、

互いにマフラーを着用し火と風の魔術で

馬車周辺を温めて入るが、


「今日は一段と寒いわね」


1分と満たない屋敷から馬車への移動時間

だったがそれでも寒さに身を強張らせていた

様で車内が暖まりを感じるとホッと体の奥から

息が溢れたと共に出た言葉に、


「そうですね」


同意の返事が返り、


「ここ最近は忙しくしております。姉様、

体調にお気を付けください」


続けて告げられた言葉に、心がじんわりと

暖かくなりつつ


「お心遣いありがとう。ディランも気をつけてね」


自分より忙しいディランへ同じ様に気持ちを込め

返事と共に伝えると


「ありがとうございます」


目尻をほんの少し下げ嬉しそうに微笑みながら

返してくれた表情が幼い頃のディランを思い出させ

叫びそうになる気持ちを


ディランももう大人のだと。


自分に言い聞かせ半分に抑えつつも


「今日もディランが可愛い」


抑えきれなかった感情を言葉に出して伝えると

困った様に眉を下げ微笑み返してくれた。


本当に可愛い。


生まれた時から近くにく居たのに、毎日毎時間

可愛いが増えてゆく。


あの女性生徒ともこの可愛さに気が付いたのかしら?


もしかしたら、ディラン可愛い同盟が組める?


淑女教育の後のお茶会で時々アメリアやマリーに

ディランの可愛いくかっこいい話は聞いて

貰っているが、


聞いて貰うのと同じ話題で話せるのとは

大きく違いがあり、


一緒に盛り上がれる存在ができるかもしれない。


そう思うと、緩みそうになる頬に力を入れつつ


お昼休みが楽しみになってきたわ。


急いで昼食を食べて庭へ行く事に心の中で決め

どの順番で庭を回るかを軽く計画を立てると

馬車は止まり、フレディが開けた扉から2人が

先に降り、ディランが差し出してくれた手を借り

馬車から降りると、


「姉様」


自分やフレディにしか聞こえな程の小さなで

呼ばれたので無言で頷き返し、ルイの元へ

行くディランを見送り、


「程々にお願いしますね」


隣に来たフレディお言葉に、


「ええ。気をつけるわ」


頷きと共に返事を返しながらも視線はディランと

ルイに向けられており、


2人とも何やら真剣な表情で話している姿に


「今日も可愛いわ」


感情が漏れ出た言葉に


「いつも通りで安心いたしました」


従者としてのフレディの言葉が耳を掠めたものの

何やら深刻な話をしているのが、今までに無い程に

張り詰めた雰囲気に手を握り込む。


何かあったのだろうと目を離さずに見ていると

ポンと肩に手を置かれ、


「心配無用です」


聞こえてきた言葉に顔を動かしフレディを

見上げると従者の微笑みの中で普段の

フレディの表情が混ざっており、


「ディラン様を信じてください」


先程と打って変わり真剣な表情の言葉に

戸惑いつつも


「ええ。勿論、信じているわ」


今まで一度たりともディランを疑った事も

信じなかった事も無い。


いきなりの言葉に頷き返せば、


「ありがとうございます」


フレディの微笑みに胸騒ぎを覚えつつ、


「エスメ、おはよう」


ルイの言葉にフレディから視線を外し、


「おはよう。もういいの?」


ルイへ挨拶を返しつつ尋ねると


「はい。お気遣いありがとうございます。

大丈夫です」


ディランの言葉に笑顔で頷き返し、


「では、行きましょう」


ルイへ共に教室へと促すと


「行ってらっしゃいませ」


ディランの言葉に


「行ってきます」


返事を返し、ルイと共に教室へと向かった。



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