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弟は気持ちに気付く


半日近くかけて街へと出かけ

帰宅予定よりは遅れたものの

無事に屋敷に帰ることができ、


「マルチダ。ただいま」


馬車から降りる姉様へ手を差し出し

ていると笑顔と共に紡がれた言葉に


姉様にとって今日がどう言う日だったか

を表しており


楽しかった。


表情と声に体の全てを使い表現しており

出迎えたマルチダも心の中で安心した様で


「お帰りなさいませ」


ほんの少し口元を上げ勢いよく馬車から

降りた姉様を出迎え


「お疲れでしょう。まずはお召しがえをし

てから一息入れましょう」


そう提案を受けると姉様は笑顔で頷く

姿を見て自分達も着替え入浴する事へと

決め、まずは姉様を部屋へ送り、

隣である自室へ入ると、


「お帰りなさいませ、ディラン様」


今まで一緒だったフレディの言葉に


「ただいま。今日はありがとう、助かった」


帰宅の挨拶と共に協力の礼を伝えると


「お役に立てて光栄です」


胸に手を当てゆっくりと腰を折ったが

どこかワザとらしさを出した礼に


揶揄われたのかと頭によぎり次に来る

言葉に身構える。


フレディがゆっくりと腰を上げれば、

とても良い笑顔をしており


「久しぶりのエスメ様のディラン様大好き

行動が見れて、ここ最近どこか寂しそうに

されていたディラン様が微笑んでくださったのを

拝見でき私は安心いたしました」


1番触れて欲しく無かった部分を言葉に出され

身構えてはいたものの、恥ずかしさを感じ

無言でいると、


「ディラン様の身長がエスメ様を抜いてから

無意識でしょうが、エスメ様もディラン様に

触れるのを遠慮し時に寂しそうにしているのを

見て私を始め屋敷の者達が心配しておりましたが、

良い報告ができ安心しております」


吟遊詩人が歌うかの様に告げられた言葉に

恥ずかしさが増すが、フレディの言う通りで

自分の中でも、理解ができず突然姉様と距離が

できてしまい、思い悩みもし寂しさも感じたが


これが正当の距離間で関係なのだと。


そう自分に言い聞かせてきた。


のだが、心の奥底で気付かなかったのは


寂しい、という感情。


姉様に抱きしめられた時に気付き

それを超える嬉しさを感じたときに消え去った。


身長が伸びれば姉様との関係が遠のくのなら

これ以上は


そんな事も頭に過ったものの、お祖父様と

お父様の身長を考えればここで止まる事は

考えにくく


姉様も僕も大人になるのだ。


姉様との関係に寂しいなど言っていては

いけない。


姉様に沢山抱きしめてもらい愛情貰った

小さく幼い自分が嫌だと泣き出すも、


幼い頃と今では立場が違う。


変わらなければ姉様を守る事ができなくなる。


心の中で泣く幼い自分を説得し、気持ちを

切り替えるために、着ていた服に手を伸ばせば

察したフレディが上着を脱がせてくれ、


首につけていたブラウンダイヤモンドを指先で

撫ぜた後、落とさない様に身長に首から外し

フレディに託し、


「風呂へ行ってくる」


フレディも僕の心情を察してか何も言わず

見送ってくれた



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