姉、嬉しさと反省と後悔
美味しい紅茶に美味しいティーフード
ディランとフレディとの楽しい時間は
あっという間に過ぎてしまい、
「とても美味しかったです」
本来ディランが代表として伝える言葉を
我慢ができず、部屋を出る直前に見送りにと
再び姿を見せてくれたオーナーさんへ伝え、
「楽しい時間が過ごせました。お気遣いいただき
ありがとうございました」
メイド姿で現れた者を偏見を表に出さず
心良く向かい入れ、椅子に座らせ接客をして
貰えた。
その事が嬉しくてお礼を伝えると、瞬間驚いた表情を
したが直ぐに優しげな微笑みに戻り、
「お褒めの言葉ありがとうございます」
返事をいただき、その後はディランとオーナーさんが
会話をしなが玄関へと向かい馬車に乗り込み店を後に
した。
「ティーフードも美味しかったし教えて貰った
キャロットケーキもスパイスが効いてとても
美味しかったわ」
試着後の体と心の重さと疲れが消え去り、
軽くなった体と心は馬車から降りて走り出せる程に
元気になった。
次はどこに行くのかな?
走る馬車の中、対面に座ったディランの顔を見つめると
「元気ななられて良かったです」
安堵の表情と共に伝えてくれた言葉に、申し訳ない気持ち
と共に可愛いとともう感情を内に隠し
「ご心配をおかけしました」
誤魔化すようにヘラリと笑い伝えると、
「お疲れの中、公園へお誘いするのは申し訳ないと
思っていましたが」
ディランの言葉の中に気になる単語が聞こえ、思わず
「公園! ぜひ行きたいわ」
日も傾き出しており空も間も無く茜色になろうとする
時間。
午前中は賑わう公園も遅い時間ならば人も少なく
歩きやすいそう。
「楽しみね」
思ったままを伝えると、
「推し時間なで長いはできませんし、1周する事も
無理ですが入り口付近ならば問題ないかと思います」
あまりにはしゃぐ自分に申し訳なさそうに伝える
ディランに
「私があれこれと時間を押したのが原因でしょ。
気にしないわ」
「いいえ、予定内の事です」
申し訳ないと謝ろうとするとすかさずディランから
すぐさま返事か返り、でも、と言いかけるが
「公園は僕の我儘も含まれているのです」
聞こえてきた言葉に動かしていた唇を止め、
ディランを見つめると
「その、姉様が以前、クラスの皆で行かれた
公園話を聞き楽しそうでしたので、
僕も姉様と一緒に行けたらと」
段々小さくなっていく声と赤くなる顔にいても
立っても居られず
腰を浮かせそのままの勢いでディランに抱きつき
「行きましょう! 今すぐ一緒に行きましょう」
勢いのまま喋ると、
「今、向かっている最中ですよ」
フレディの声だ聞こえ、顔を向け
「私のディランがこんなに可愛い」
思わず本音を溢すとディランは体を揺らしたが
「ええ。左様でございますね」
さらりと流されたがいつもの事なのでこちらも
気にせず
「大きくなって、少し身長も抜かされたけれど
まだまだ可愛いディランだったわ。知ってたし
分かっていたはずなのに私ってダメね」
身長が多くなり、大人へと変わっていくディランを
嬉しくもあったらそれ以上に寂しく思っていて、
目を背けていたのかもしれない。
反省と共に見ていた様で見ていなかった時間を
深く後悔しつつ、
「公園、楽しみましょうね」
気持ちを切り替えそう告げると
「はい」
聞き慣れたディランの落ち着いた声を背中に
大きな手が触れた。




