姉、街へ想いを馳せる
「すまない。その日は予定があって
行けないんだ」
いつでも空いていると話してくれたルイに
ディランと街へ行く事が決まったと話をし、
一緒に行こうと誘ったが、
先程の言葉で謝罪とお断りを貰ってしまい、
「良いの。急な事だったし。
マリーと一緒に行ける日に行きましょう」
次もある。
無ければ作れば良い。
街が無理でも我が家でお茶会でも良い。
色々考え、週末までの授業と淑女マナーに
マルチダからのメイド教育をこなし、
「明日は楽しみね」
学園から帰り、互いのスケジュールをこなし
いつの様にディランと晩餐を取りつつ明日の
話をすると、
「学園に向かう時間より遅めの出発になりますので
朝は少しゆっくりできるかと」
いつもの時間に朝食と食後の紅茶を楽しんだ後に
メイド服に着替える手順を頭の中で整理ながら、
「休憩はカフェに予約を入れてありますので、
そちらで休憩をいたしましょう」
ディランが初めて街へ行く自分の為に考えてくれた
計画を聞き、
「楽しみだわ」
楽しみが膨らんでゆく。
「姉様。本当にメイドとして街へ行くのですか?」
伺う様に聞いて来るディランに頷き
「ええ。ディランのメイドとして着いて行くわ」
ディランと街に行きたいけれど、領内の様に気軽に
並んで歩けないのは分かっている。
でも、どうしてもディランと行きたい。
考えに考えて出した答えを改めて伝えると、
「そうですか。わかりました」
頷きと共に理解を示してくれた。
食事も終わり食後の紅茶をいただく為にソファに
移動し、隣同士で腰をかけ、
「では、約束をしてください。
絶対に私はフレディから離れないと」
ディランの力強い声に体ごとディランに向け
「勿論、約束するわ」
真剣な表情で頷き返すと、
「見たい物、欲しい物がありましたらフレディに
伝えてください」
街の商業施設が多い場所へも行く。
まだ何が欲しいか分からないけれど、気になる物が
あれば必ず言い、
1人で興味が引かれたや気になるなどの行動を
しない事と。
も、ディランの言葉には無いが意味が含まれており
「勿論。メイドですもの、主であるディランを
困らせる事はしないわ」
マルチダの教えの中で主には従うが時に意を
唱える事も必要だと。教えて貰ったがディラン
だし、フレディも一緒行く。
自分が注意する事は無いと思っている。
ただ、ディランは複雑そうな表情をしたが
小さく息を吐いた後、
「ありがとうございます。姉様もメイドとしての
立場もあるかと思いますが、気になった店や
商品があれば遠慮なくおっしゃってください」
気遣いのある言葉に
「お心使いありがとう。街に何があるか分からない
けれどあったら言うね」
必ず伝えることを約束し、その後は
「生活魔法道具と紙刺繍のお店にも行きけるし、
ディランが選んでくれたカフェも楽しみ」
馬車の窓からしか見た事の無い場所へ行ける事が
楽しみにはやる気持ちを抑えつつも、言葉に出せば
「エスメ様、あまり気持ちを昂らせると寝れなく
なってしまいますよ」
お代わりの紅茶ではなくハーブティーを持って来た
フレディの言葉に、
「ありがとう。でも、本当に楽しみなの」
気持ちを落ち着くハーブが入っているが、効果は
薄そうな気もしつつ、
「でも、前みたいに皆を心配させるのはもう嫌だもの。
きちんと寝る努力はするわね」
お母様にお父様、屋敷の皆だけではなくクラスの皆に
アメリアにフレディの知り合いの従者さん達まで心配を
させてしまった。
あんな事は2度と無い様にないと。
心の中で力強く頷き、
「そろそろお暇するわ」
いつまでも話していたいがその分高揚し眠れなく
なりそうなので、ディランとフレディに見送られ
「おやすみなさい」
互いに就寝の挨拶を済ませ自室に戻りそのまま
ベットへ入り瞼を閉じた。




