姉、ドレスを着てお茶会に行く
ネタバレを含みますが短編に本編終盤のディランの心境と日々を書いております。よろしけれお読みください。
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自分の部屋の真ん中に立たされ弟が案内されるのを待っているだけなのに普段着なれないドレスにピンヒールの為か妙に緊張しついドレスを見下ろしてしまう。
どこか変じゃないかな?
ディランの事だから失笑とかはしないと思うけど。
視界の端に入った鏡を見直し体を左右に振っていると
「エスメ様、大丈夫ですよ」
朝からお世話をしてくれているメイドの言葉に曖昧に笑い返すも、
「王都に見えるマルチダさんにも助言を貰い整えておりますのでご安心下さい」
マッサージをしてくれたメイドの言葉に驚きながらも
「そうだったのですね」
改めて自分の姿を鏡で見直すとほんの少しだけ自信が持てた様な気がし、改めてドアに向き直し姿勢を正すとドア付近に待機してくれていたメイドが扉を少し開けフレディを少しやり取りをしたのち、大きく開けディランとフレディの姿が見えた。
「ディラン、フレディお待たせ」
にっこり笑向かい入れると、ディランもフレディも驚きに口を開け目を大きく見開き固まったが直ぐに立て直し
「姉様、綺麗ですね」
微笑みながらくれた言葉に嬉しくなりながら
「びっくりしたでしょう?私も知らなかったから姿見の鏡を見た時にすっごく驚いたのよ」
少し恥ずかしくなり照れ隠しの為に話を振ると、
「王都では着飾る事をしませんでしたから、少し驚きましたかが良く似合ってますよ」
恥ずかしがっているのを分かっていてあえて話を続けるディランに
「ありがとう」
誤魔化す言葉が見つからず素直にお礼を言うとエスコートをしてくれるらしく手をさ出してくれた。
「今はヒール付きだからゆっくりでお願いね」
ディランの手をとり慎重に足を動かしながらお願いをすれば、
「畏まりました」
頷きと共にいつもより少し小さな歩幅で歩き出す。
1歩1歩恐る恐るスカートに裾を踏まないように爪先で蹴り上げながら足を出し着地時にバランスを崩さないように気をつけ歩く。
普段ならあっという間に着くはずの庭も遠く感じ
「ディラン、遅くなってごめんね。約束の時間に遅れそうなら置いて先に行ってね」
一緒の歩幅で歩いてくれているディランに申し訳なく思い声をかけると
「大丈夫ですよ。早めに移動するようにルイに言われて動いていますのでお祖母様もご存じかと思います」
普段より支える腕に力を入れてくれているのか転けそうにりディランの腕を持つ左手に力を入れるも動く事なくしっかり支えてくれ安心して歩く事ができ少し歩き方が分かって来たので歩幅を大きくし歩き進める。
バルコニーから庭に出ると冷たい風が体に当たり、
「ディラン、寒くない?」
足を止める事の無いディランが心配になり声をかけるも
「ご心配ありがとうございます。姉様は寒くありませんか?」
逆に心配されるも
「大丈夫よ。ただお祖母様とお祖父様が寒そうだわ」
ようやく視界に入った2人の姿を見ながら言葉を溢すとフッと思い付き
「ねぇ、ディラン」
声を顰めて呼びかけると、こちらの考えが分かったのか
「ええ。大丈夫ですよ」
視線を合わせ小さく笑ってくれたので頷き返すだけに止め、ようやく到着し背筋を伸ばし
「ご招待いただき誠にありがとうございます」
ディランの言葉の後、息を合わせたように2人同士に礼をすると
「よく来てくれました。楽しんでくれると嬉しいわ」
形式にそいお祖母様の言葉が返ってくるも
「さ、硬い挨拶はここまでよ。顔を上げて頂戴」
嬉しそうにはしゃぐお祖母様に案内され、ディランに椅子を引いてもらい腰掛けるとディランはフレディに椅子をひいてもらうの見つつ、お祖母様の椅子はお祖父様が引きエスコートをしていた。
テーブルクロスに手を隠し魔法を発動させる。
お茶会会場を包み込む程の風の壁と空気が温まる程の火魔法を発動させた。
全員が椅子に座ればメイド達から紅茶にティーフードも整い本来ある主賓の挨拶は無く自然と始り、冷えた体に紅茶を飲み、サンドイッチを一口食べる。
魔法を発動させたことに気が付いたのかディランから視線を送られると微笑み返しす。
「エスメ。そのドレスとても似合っているわ」
嬉しそうに微笑みながらのお祖母様の言葉に
「ドレスを見立てていただきありがとうございます」
笑いながら礼を告げると
「いいのよ。私が若い時に来ていたドレスを作り直しただけだもの気にしないで」
頬を赤らめながら教えてくれるお祖母様を見つめていると
「スカイブルーはエスメと瞳と同じ色だ似合わない訳ないさ」
紅茶とサンドイッチを楽しんでいたお祖父様の言葉に恥ずかしくなるが嬉しくなり
「ありがとうございます。このブラウンダイヤモンドはディランの瞳の色ですよね」
ドレスが瞳と同じ色ならとネックレスとイヤリングについている茶色の宝石の話を振ると
「ええそうよ。宮殿の晩餐会や舞踏会でも付けてた物よ」
懐かしいわ
頬手にを当て笑うお祖母様の言葉にとても高価な物なのだと分か気を引き締めた。
紅茶も2杯目に入りティーフードも甘い食べ物に進むもお腹を抑えられており中々ケーキに手を伸ばすことができず好物のレモンケーキ一口を小さくし食べていると
「王都ではどういった暮らしをしていたの?」
微笑ましそうに見つめられながらの言葉に
「ディランと新しい魔法の練習と生活魔法道具の開発をしておりました」
今と同様ディランの部屋に行き過ごしていた事を話すと
「空を飛んだらしいな」
お祖父様のどこか悪戯めいた笑みに
「はい。空を飛びました」
頷き返すと
「ここでも飛んでいいぞ。ただし国境と領地の境には気をつけてもらうがな」
更ににやりと笑ったお祖父様の言葉に
「ありがとうございます」
釣られるように笑って頷き返すと
「ま、腕が完全に治ってからの話だぞ」
付け加えられた言葉にも頷き返し紅茶を1口飲み心の中で息を吐いた。
良かった。
早く空を飛びたい。
視線を上げ少し曇っている空を見上げ直ぐに視線を下げスコーンに手を伸ばしす。
「ディラン、領の勉強はどうだ?」
「はい。やはり実地が1番勉強になります」
話題はディランに移りお祖父様とディランが会話を進んでいくのをお祖母様が楽しそうに笑いながら聞いている。
お祖母様はお話をするより聞く方が得意なのね。
暖かい紅茶を飲みながら進んでいく会話に耳を傾けていると道中に聞いていた獣害の話になっており機会をみて一緒に行くという話まで進んでいた。
ひっそり着いて行こうかなぁ
少し嬉しそうにしているディランを横目で見ながらひっそり心に決めると
「もう、男の人は直ぐに剣の話になってしまうのねぇ」
ため息をついながら少し呆れの言葉にお祖父様が慌て
「すまなかった。ついな」
苦笑しながら
「お前だってエスメと服や宝石の話ができたら嬉しいだろう。それと一緒さ」
言い訳のような言葉にお祖母様が呆れた視線を向け
「そうね。楽しくて貴方を置いて盛り上がってしまうけれど場に合わない話はしないわ」
少し拗ねたような素振りにお祖父様はさらに慌て
「確かにそうだな。すまなかった。エスメも聴きたくない話だったな」
困った様に笑いながら入れてくれた詫びの言葉に首を振り
「ディランから少し話は聞いていましたので大丈夫です」
微笑みながら気にしないでくれと言葉を返すと
「お前達は本当に勤勉だな。遊ぶ事も経験として大事たぞ」
関心しつつ呆れも滲ませた言葉に
「では、今度、街へ連れて行ってください」
淑女の微笑みを外しながら伝えると、
「まぁ、それは良いわね。是非行きましょう」
ころりと表情を変え嬉しそうに頷き返事を返してくれるので
「ディランも一緒に行こう」
ついいつもの様に横にいるディランに話を振ると
「ええ。僕も1度見てみたいと思っておりましたので是非ご一緒させてください」
紳士を外した笑みで頷いてくれるので期待を込めてお祖父様を見つめると意味を汲み取ってくれたのか
「分かった。行けるようにしよう」
皆んなで行ける様にしてくれるというお祖父様の言葉に楽しみが増えた事が嬉しく思っていると、お祖母様から街のお店の話が始りディランと頷き返し、お茶会があっという間に終わってしまった。
「また、ご一緒してね」
お祖母様の締めの言葉に是非と返し立ち上がりディランの腕を取り歩き出すも足の痛みを感じ立ち止まってしまうと
「姉様?いかがないさいましたか?」
不思議そうに見上げてくるディランの声に
「ごめんね。なんでも無いの大丈夫よ」
笑い誤魔化すも
「靴が足が痛いのだろう」
お祖父様の言葉と同時に体が浮く感覚に慌て振り向くと、お祖父様の顔が近くに見え
「部屋まで送ろう」
しっかり抱き上げられ慌て
「大丈夫ですので」
体を揺らし下ろしてもらう様にお願いをするも
「慣れないドレスに履き慣れないピンヒールと同時の魔法発動は疲れただろう」
カラカラ笑にながら言葉にどう返事を返そうか考えていると
「若い者のは負けられんからな」
大股で歩いていくお祖父様の言葉に意味がつかみ取れず助けを求めるようにディランと見るも複雑そうな表情をし目が合わず、フレディに視線を向けると困った様に笑っているだけだった。
第57話
目や髪の色を見に纏うのも愛情表現の一つだとか。洋服文化奥深い。
寒いですね。とっくに夜が。風邪ひかないようにお気をつけください。
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