姉、嬉しい事が起こる
ルイからの話を聞いた後もどこか
喉に骨が刺さっている様な違和感と
もどかしさを感じつつ、ディランと
フレディと共に屋敷に戻りマルチダの
出迎えを受け、共に自室に入り着替えを
手伝って貰う。
毎日来ている紺色のメイドに良く似せた
ワンピース。
この格好に髪を結い上げ室内帽を被れば
屋敷で働いてくれているメイドさん達と
同じ格好になる。
違う点と言えば、白い丸襟にと袖、時に
スカート裾に刺繍が刺されている事。
季節の花だったり、リーフだったり。
紙刺繍工房で働く女性達が指してくれ
毎月数着贈ってくれる。
有り難くて飛び跳ねる程に嬉しくて、
毎月届くのを楽しみにしており、
「エスメ様、お届け物です」
マルチダの声に顔を向けると長方形の
箱を手に持っており、
「工房から届いたのね。ありがとう」
重く動きが鈍かった心が、軽さを取り戻し
楽しみで少し乱暴に箱を開けてしまった。
マルチダから注意があるかと思ったものの
何も無い事に心の中で首を傾げつつ、
畳まれている制服を取り出し広げると、
「素敵」
思わずこぼれた刺繍は淡いピンクやブルーを
基調とし所々に白や黄色が加わり刺されている
刺繍は花に木の葉っぱ。
「あら、鳥がいるわ」
淡い糸で刺された鳥に目が行き
前の人生で子供達に読み聞かせた青い鳥を
思いだわすね。
懐かしさに微笑み、丸襟を見終え袖に視線を
移せば、襟と同様に花や葉っぱに花束に
なぜか壺まであり、首を傾げるも
「そう言えば隣国の刺繍の腕を持つ人を雇った
とか書かれていた様な記憶が」
毎日読んでいる報告書の一文を思い出し、
「皆、その技術を習得したと言う事かしら?」
日々、家事をこなし子供を育てながら働いている
人達で中々自分の時間を持つ事も難しい中、
時間を上手く管理し新しい事への挑戦も楽しそうに
してくれるらしく、
「お礼を送らなきゃね」
工房の休憩中に食べれる菓子を見繕って、全員分
送る事を決め、
「明日から着ていいのかしら?」
紙工房との新作販売の都合もあるので、尋ねると
「来週からなら着用しても良いと伺っております」
マルチダの返事に、
「なら、来週から着て学園に行くわ」
数日待ては着られると知り、学園に行く楽しみが増え
指を降り日にちを数えているとノックの音が聞こえ
入室許可を出すと、フレディが姿を見せ
「エスメ様、ディラン様がお茶をご一緒にしませんか?
との事です」
ディランのお誘いを伝えてくれたので
「喜んでご一緒させていただくわ」
ソファから立ち上がり、フレディとマルチダと共に
隣にあるディランの部屋へ向かい、
「来ていただきありがとうございます」
立って出迎えてくれたディランに
「お誘いありがとう」
お礼を伝え、エスコートされるまま椅子に座り
紅茶が置かれたので、一口いただいた所で
「姉様、今週末に共に街へ行きませんか?」
願っていたお誘いに
「是非」
即答で返事を返すと、ディランから当日の
出発時間などの話を聞き中がらお茶をいただいた。
台風が近づいており横断する聞きました。対策をとって過ごしたいと思います。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
お時間ありましたらお読みください。
https://ncode.syosetu.com/n4082hc/
フッと思い付き新しい話も書きました。お手隙の時間ありましたらお読みいただけると嬉しいです。
お兄様、隣に居る令嬢は誰です?婚約者のお義姉様はどうなさったの?大変!廃嫡とざまぁを回避しなければ!
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