姉、様々な感情を持つ
新年度に入り早1ヶ月がすぎ、
新しい場所の教室の雰囲気にもなれてきた。
下位貴族の対応も職を手に持っているクラスメイトは
難なくこなし、大きな問題が起こる事なく日々を
過ごせ、
ボーイックの行動も皆、呆れつつも感情の持って
生き方や整え方を身につけたからか、感情を表情や
態度に出す事はないが、好奇心は抑えられないようで、
「で、その姫とはどうなんだよ?」
昼食を取りながらの男子生徒の質問に、
「どうって、君が思っているような下世話な事は
してないよ」
呆れと少しの怒りを込められて返ってきた言葉に、
「いやいや、そういうのじゃなくて一緒に街へ
出かけてるんだろ?流行りとか女性の好きな商品
とか聞きたいんだよ」
「そんな事かよ?流行りなら」
全員が食事の手を進めつつ、ボーイックの話に耳を
傾ける。
皆、流行り物やこれから流行る物に珍しい商品など
興味がある様で
どこに売っているのか?
どれぐらいの値段なのか?
様々な質問をボーイックへ投げ掛けつつ、時折口に
出される姫と呼ばれる女子生徒の話に、曖昧に笑い
ながら流しつつ会話を続けており、
ボーイックの中での神聖化が凄まじく、
この関係を続けさせて本当に大丈夫なのか?
というより、女子生徒さん周りにいる男子生徒全員を
お付き合いしてるの?
「姫が、悲しげに私を取り遭わないで。と、言うんでね、
表だっては仲良くしているよ」
苦虫を噛み潰した様な表情と共に告げられた言葉に
動かしていた手を止めボーイックを見つめる。
そんな前の人生で漫画の中でしか読んだ事の無い
セリフを言っちゃうんだぁ。
驚きの中にいると、ボーイックと目が合い
「何かな?」
突然、敵意と表現しても良い感情と言葉を向けられ、
「えっと、皆、仲が良いんだなぁて思って」
戸惑いつつも返事を返せば
「まぁね。皆、姫にはいつも笑顔で喜んで欲しいからね」
交戦的に微笑まれ、内の中でボーイックの態度に
首を傾げると、
「仲良くねぇ」
隣に座り食事をしていたルイが呆れた様に溢した言葉に
ボーイックが怒りの表情を出し内を開いたが
「ボーイックさんはその女子生徒さんの事が
お好きなのですね」
マリーの穏やかでのんびりとした口調の言葉に
ボーイックは紳士として怒りを止めるしかなく
「そうだよ。姫の側に居られるのならば、僕は
なんだってするよ」
胸を張り自信ありげに告げた後
「そう。僕が下位貴族の財力に負ける訳は無い。
伝だって持っている。1番姫を喜ばせる事ができるのは
僕なはずなんだ。なのに、なぜ」
マリーと合っていた視線が宙を彷徨い、独り言の様に
溢され続ける言葉にマリーと顔を合わせどうするべきか
と視線で話合うが、
昼食休憩が終わる鐘の音に、全員が慌て席を立ち
自分達が使っていた食器を返却口に返し、
食事が美味しかった事と礼を言葉にし、教室へ戻る。
自分達も置いていかれない様に、流れに乗り、
同じ様に食事が美味しかった事とお礼を伝え教室へ
足早に向かう中、
「マリー、ごめん。助かった」
ルイが声を顰めマリーへ伝えると、
「お助けできて良かったです。アメリア様の教えを
実行しただけです」
微笑みながらの言葉に、貴族としての行動も言葉も
身についているのだと分かり、
マリーの努力の結果ね。
嬉しい様な、なぜか寂しい様な気持ちになりつつも
教室に入り席に座り次の授業の準備を整え教授の
入室を待った。




