姉。準備に入る
「おはよございます」
昨日とは違うメイドの声で目が覚め、
「おはようございます」
少し枯れた声で挨拶を返すとすぐさま果実水を手渡してくれ半分ほど一気に飲み残りは一口一口ゆっくり飲み干す。
この後は顔を拭いて貰いドレッサーに移動し髪を漉いて貰い髪型を決めるのだが、
「本日は奥様とお茶会と聞き及んでおります。編み込みなどを取り入れて少し華やかにしてはいかがでしょうか?」
串を片手に持ちながらも鏡越しに目を合わせ問いかけに自分の中で想像して見たものの全く想い浮かばず
「そうですね。よろしくお願いします」
微笑みながら返事を返すと
「お任せください」
にっこり笑いながら返事をくれたので、独り立ちの参考に為に鏡から目を離さない様にしたものの、後ろ側が頭なっているのか分からない上に手の動きが複雑すぎて早々に覚える事を諦めた。
右や左と髪が編み込まれ、満足そうに微笑んだメイドが
「いかがでしょうか?」
合わせ鏡で後ろ側も見せてくれ、あまりの複雑な編み込みに
「ありがとうございます。手が器用なのですね」
唖然としながらお礼を言うも、
「お茶会前のお着替えの時間後にもう少し髪型を変える予定をしております」
どこか嬉しそうな雰囲気を出しているメイドを不思議そうに眺め、朝食を食べた後はいつものようにディランの部屋にお邪魔し家令のルイ話を聴きながら本を読んで過ごす。
数十年通しての気候変化に応じた作物の取れた量
獣害被害の対応とかかった金額と復興時間
作物が取れない冬をどう過ごしているのか。
辺境伯の先祖代々名前と性格。
現辺境伯の性格と御子息のなどの関係性。
止まる事なく話続けるルイも凄いと思うしそれについて行けるディランも凄いと思う。
読んでいた文字を目に追う事なくルイの話を聞いていると時折ルイと視線が合い微笑まれる。
最初は聞かない方がいいのかと思ったけど、よくよく聞いていると時折ほんの少しだけ大きな声だけと少し話す速度が遅くなる時がある。
多分、私にも覚えて欲しい話だと思い本を読んでいるフリをしながら耳か傾ける様にした。
「今日はここまでに致しましょう」
ルイの終わりを告げる言葉に息を吐き膝の上に乗せていた本を閉じた。
フレディが手際良くお茶の準備が始まりディランがソファへ腰を下ろすと雑談が始まる。
勉強で頭を使ったので少し甘い紅茶を楽しみ雑談に花を咲かせているとノックの音が聞こえディランと顔を見合わせていると、朝お世話になったメイドさんが入って来て
「エスメ様、お茶会の準備のお時間になりましのでお迎えに参りました」
微笑み告げられた言葉に驚き
「準備ですか?」
着ているワンピースを見下ろした後に思わず聞き返すと
「はい、部屋へお戻りいただけますか?」
先程より力強い声に頷き
「ディラン途中になってしまったけどごめんね」
話を途中で終わらせてしまった事へ謝りを入れ自室へ足を向けた。
「お帰りなさいませ」
何故か自室に数名のメイドが居り驚き戸惑う中、
「エスメ様、まずは湯浴みをして体を温めて解しましょう」
テキパキと指示を出し戸惑う中連れて行かれたお風呂で体と髪を洗われ、硬めのベットに寝かされオイルマッサージで体の凝りと血流を流された。
お尻が痛い
痛みで思わず声を上げかけるもなんとか堪えていると
「先程まで座っていたので下半身のこりが凄い事になっていますね」
腕全体で太ももや内腿にお尻をほぐしているメイドの言葉に
「そうなのですね」
痛みに堪えながら返事を返す。
痛みを感じつつも体が温まってきいる事に気づきほぐれて来ているのだと自覚すると段々気持ち良くなり眠気に意識が流されるも
「お疲れ様でした。あちらで飲み物を用意しておりますのでお飲みください」
告げられた言葉に頷き眠気に負けそうな体を動かすと今度は違うメイドに促され飲み物を口に入れると酸っぱい味に一気に目が覚めた。
「肌に良いハーブティですので沢山お飲みくださいね」
にっこり笑いながら継ぎ足されたコップを受け取り1口1口ゆっくり飲んでゆく。
「お待たせいたしました」
大変良い笑顔で移動を告げられ柱の前に指定された場所へ立つと
「では始めさせていただきます」
後ろからお腹に何か回され、何をしているの解らずに居れば
「エスメ様。私の合図で息を大きく吐き出して下さい。では行きます」
お腹部分に何か硬い布が付けられたかと思えばよく解らない指示に従い息を大きく吐き出すとグッとお腹を詰めつけられ思わず柱にしがみ付くも息が詰まった。
「後、数回繰り返しますので頑張ってくださいませ」
力の篭ったメイドの声に流されるまま返事をし数回息を吐き出すと苦しいぐらい締められ終わると再び移動させられ、今度は沢山の布で作られた服を着付けされていく。
「お母様がこんな格好していたわ」
ウエストしたからパニエでふんわりと膨らませたスカートの部分を見下ろすと、
「奥様がエスメ様の為に作らせたドレスなのです」
スカートの裾を直していたメイドの言葉に
「そうなのですね」
じっくりと自分の着ているドレスを見下ろすと
「奥様はエスメ様がお生まれになったことを大変喜ばれ、こちらに来た際は一緒にお買い物にも行きたいと大変楽しみにされたおりました」
右腕の固定器具とドレスの袖が邪魔にならないように調整してくれているメイドの言葉に
「買い物ですか?ご一緒できたら嬉しいです」
街を歩けることを思い浮かべ返事を返すと
「是非」
結い終わった髪に何かを刺していたメイドの言葉に
「お茶会の時に話してみます」
返事を返すとメイド達が嬉しそうに微笑み作業を手早く終わらせるとソファに腰掛けるように案内され
ホッと息をこぼすと
「エスメ様。アクセサリーをご準備致しましたので付けていきますね」
失礼いたします。
言葉をきっかけに耳に何かを付けられ、首にも細長い物が付けられひんやりとした感覚に首をすくめてしまう。
「冷たかったですか?」
不思議そうに聞かれれた言葉に頷き返すと、用意された大きな鏡に自分が映し出されており驚きのあまり目を大きく開け、口を開けてしまう。
毎朝見ている自分とは違う人物が写っているも同じ動きをするので嫌でも自分なのだだと解った。
「皆さん魔法使いですね」
未だ鏡に売っている姿が自分なのだと信じ難く、無意識にこぼれ落ちた言葉に
「ありがとうございます」
メイド全員がスカートを摘み腰を折った。
そこからはお茶会の準備が整うまでソファで待つように告げられぼんやりしているとノックの音が聞こえ
対応に出てくれたメイドから
「ディラン様がお迎えに参りました」
何故か開けたドアを閉めてしまい、来客を告げてくれたメイドを不思議に思うも了解の意味も込め頷く立ち上がり部屋の真ん中で待つようにメイドに言われ立ち止まった。
第56話
王都の屋敷ではやらなかった着飾る事になりました。
陽が落ちるのが早くなり寒くなってまいりました。冬本番がまじかにで待っておりますね。
風邪がひきやすくもなる時期ですのでみなさ、お体はご自愛くださいませ。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤のディランの心境と日々を書いております。
よろしけれお読みください。
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