姉、計画を立てる
斜め後ろからの不機嫌な雰囲気と苛立ちを
ひしひしと感じつつ授業を受け、休み時間に
なりどう話しかけようかと悩みつつも座った
まま振り向くとボーイックの姿は無く
慌て視線を教室内に走らせると後方の扉から
出ていくボーイックの姿があり
ああ。女子生徒の元へ行ったのね。
浮かんだ言葉に、無意識に呼び止めようと
伸ばした手を引っ込める。
周辺に座る生徒だけではなく全体にボーイック
の不機嫌と苛立ちは伝わっていた様で、皆
体を強張らせていたり気を張っていた様で
息を吐き出しつつも、苦言を口々に出しており
止めるよりかは幾分か吐き出した方が良いかも。
口々に聞こえる言葉に、反応をする事はせず
マリーに視線を送ると、眉を下げ困った様に
微笑み返してくれ、次にルイに顔を向けると
呆れた表情をしており、
結果として目に見える形で出たでの受け入れ
られない事もある。
「みんな、頑張ったものね」
ポッリと零した言葉にマリーが頷いてくれ
「まぁ、街に行ってたらしい奴とは時間の使い
方は違うから当たり前の結果だな」
ルイの言葉に周りにいた生徒達が反応を示したが
「街と言えば、他にも行ってみたいお店があるの」
休み時間中は続きそうだったので早々に話題を
変えルイとマリーに話を振れば、
「先程話していた街歩きの事ですね」
マリーも話題に乗ってくれ、ルイも聞く体制に
入ってくれたので、
「魔法生活道具と紙刺繍を取り扱っているお店へ
行ってみたいの」
希望を伝えると、2人は考え込んだ後
「そうですね。お店はあるのですが私達だけで
入ることができるかどうか」
先程とは違い心から困った様で眉を下げてしまった
マリーに
「俺達、学生だから生活魔法道具という
高級品を扱う店には見るだけという理由で
は中々入りにくい」
ルイが言葉を足してくれ理由を教えてくれ、
前の人生なら買わないで見るだけでもお店は受け
入れてくれたけれど、今世は難しいのね。
納得したと頷き、無理に薦めたい話では無いし
通りすがりに外見だけでも見れた良しなので、
代案を伝えると、
「それならば、大通りを歩けば見られますね」
困った表情から一変、笑顔で話してくれた
マリーとルイに頷き、
「大通りね。歩けるのが楽しみだわ」
楽しみにしつつ簡単に計画を立ててゆくも
あっという間に休憩時間が終わり、不機嫌な
ままボーイックが席に戻り、次の授業へと入った。
結局ボーイックの不機嫌と苛立ちはそのままで
授業は終わり、最後の方はクラスの皆は呆れつつ
また明日。
そう別れの挨拶をし合い教室を出てそれぞれが
目的の場所へ向かう中、3人でアメリアの待つ
部屋へ向かう途中、不機嫌と聞くだけで分かる
声と必死に言い訳をし縋りついている男性の声に
3人共視線を送れば、ボーイックと姫と呼んでいる
女子生徒で、
「あいつ、何やってるんだよ」
ルイの呆れと苛立ちの言葉に
「ルイ」
あまり見ては失礼だと言葉にせず名前を呼んで
移動を促し、アメリアの待つ部屋に足早に向かい
ルイの2回のノックの後、アメリアからの入室許可
をいただき、自分が先に入り
「失礼いたします」
メイドとして腰を折り一礼をしたのち、マリーが
入室し最後のルイが入り扉を閉め
淑女教育の始まりを告げた。
と、言っても試験中はお休みだったが日頃と行われる
事は一緒で、立ち姿から歩き方などの所作の復習。
合格を貰えれば、教科書を使い勉強もしくは現重役の
貴族の家族構成から王家との関係などの復習もあり
試験開けで中々濃厚な時間を過ごしたので
「ミルクティーです」
ミルクと蜂蜜を多めに淹れたミルクティーを出すと
疲れの影が見えているマリーは嬉しそうに笑って
くれたが、
「マリーさん。感情が出過ぎですわ」
すかさずアメリアの注意が入り
「すみません」
マリー自身も表に出しすぎてしまったと自覚が
あった様で謝罪後に、
「ありがとうございます」
淑女の微笑みと共にお礼の言葉をくれ、目礼で
返事を返し、アメリア、マリーの順にカップを置き
ティーフードを置いたのち、ルイと自分のカップを
テーブルに置き、ルイが準備してくれた椅子に座れば
お茶会が始まった。




