姉、弟の日常を見守る
22/05/05 誤字報告誠にありがとうございます。
修正を行いました
2023/03/05 誤字修正をおこないました。教えてくださった方、ありがとうございます。
辺境の自領へ来て暫くしディランの発熱も落ち着きようやくお祖父様とお祖母様と晩餐をおこなった。
「ディラン、着いてすぐに大変だったな」
赤ワインをテイスティングしたのち1口口に含み香りと風味を確かめた後に告げた言葉にナイフとフォークを動かしていた手を止め
「自分自身の事ながら大変情けなく思っております」
少し動かし真っ直ぐにお祖父様向くように体を動かし返した言葉に
「ここに来るまでに色々あったことを考えれば、熱だけで済んだ事が幸いだがな」
苦笑しながらのお祖父様の言葉に
「本当に。もう7日程寝ていてもおかしくないはずなのにこんな短期間でベットから起きあげれる様になる事は凄い事なのよ」
お祖父様の言葉に同意するようにお祖母様が続けるが、
「それは僕だけではなく姉様や従者のお陰です」
急に名前を呼ばれた事に噛んでいたお肉を飲み込み、
「私は何もしていないわ。頑張ったのはディランとフレディよ」
膝の上に置いていたナプキンでクチを拭き、ディランに顔を向け返事を返すと
「貴方達はなんでも2人でこなしてしまうねの。熱の時でも声をかけてくれるのを待っていたのよ」
困った様に微笑むお祖母様にどう反応をすればいいのか分からずディランと顔を見合わせていると、
「お祖母様はな、お前達から声をかけてくれるのを待っていたんだ」
カラカラ笑うお祖父様の言葉の後にお祖母様を見ると、恥ずかしそうに目を伏せ
「私から声をかけなければならないのは分かっているの。ただどう声をかければいいのか分からなくて」
ごめんなさいね。
視線を落としたままの謝りの言葉に
「お祖母様。私達の方こそ自分達の事しか考えておらずすみません」
慌て言葉を伝えると
「姉様の言う通りです。自分達のみ考えてしまいお祖母様の気持ちを無下にしてしまい申し訳ありません」
ディランも続きお祖母様に声かけると
「お祖母様は少し人見知りでな。お茶会でもやって色々話してやってくれ」
ワインを楽しみながらお祖母様と私達のやり取りを眺めていたお祖父様の発案に
「そうね!もうすぐ庭でのお茶会ができなくなってしまうもの。数日中に行えるように手配するわ」
下を向いてしまったお祖母様が顔を上げ頬を赤く染めながらの言葉に
「楽しみにしてます」
「必ず参加させていただきます」
ディランと共に色良い返事を返すと嬉そうに微笑んでくれるお祖母様とそんなお祖母様の表情を微笑ましそうに眺めていたお祖父様を見ながら、ディランと少し視線を合わせた食事を楽しんだ。
食後のお茶の時間も積極的に話を振りお祖母様を中心に会話を楽しんだ。
「なんだかお父様とお母様に雰囲気が似ていたかも」
就寝の準備を終え1人ベットに入り、今日1日の出来事を思い出し溢し
「お祖母様はお父様とよく似ているわ」
小さく笑ながら目を閉じた。
じんわりと暖かく包み込まれ意識がじんわりと滲み夢の中に入っていった。
いつもの様にメイドさんの朝の準備を手伝って貰い、自分の部屋で朝食とお茶を終え隣の部屋へ足を進めてノックをし
「おはようフレディ」
「おはよございます」
挨拶を交わし部屋へ入れて貰い
「おはようディラン」
「おはようございます。姉様」
お互い挨拶を済ませソファに座り本を読んでいく。
今日からディランは自領の事を勉強を始める。
飴色の机を使用し間も無くやつてくる家庭教師を待っている状態だった。
「今日から勉強と武術の練習を始めるんだよね」
何かの本を読んでいるディランに声をかけると、
「そうですね。ただ武術は素振りなどの基本行動のみの予定ですね」
下げていた視線を上げこちらを見ながらの言葉に
「病み上がりだから無理しないでね」
互いに見つめ合い告げた言葉に
「ありがとうございます」
小さく微笑みながらお礼をくれた。
そこからは互いに本を読み進めて行く中、聞こえたノック音で家庭教師を勤める家令のイルが来た事を告げ始まった授業を聞きながら読んでいた医療の本を読み進める。
1時間に10分程の休憩を挟み、3回程繰り返されたのち
「今日はここまでに致しましょう」
イルの言葉に
「解った」
ディランの言葉が変えると雑談は始まる。
「自領の事もしっかり学ばれており感服いたしましました」
自分の主人が褒められ誇らしそな雰囲気を出すフレディがお茶の準備を進める中、ソファへ移動していたディランに
「お疲れ様」
本から目を離し労りの言葉を告げると
「ありがとうございます」
礼を告げてくれる。
「イルさん。ディランはどうでしたか?すごく勉強しているでしょう」
先程聞こえてきた言葉に同意するように言うと
「はい。王都では忙しく過ごされていたと旦那様よりお聞きしておりましたがしっかり学ばれており大変驚いているところです」
1歩半程離れた場所に立つルイの話しかけると、思わぬ賞賛の声に
「そうですよね!ディランは勉強だけではなくて魔法にも明るくて私の相談にも乗ってくれます。それに忙しいのに私の魔法実験にも付き合ってくれます」
嬉しくなり少し大きな声で話しかけてしまうとすかさず
「姉様、はしたないですよ」
ディランから注意が入り、
「ごめんなさい。イルさんも驚かせてしまいすみませんでした」
慌て口に手を当て気分を落ち着かせると2人に謝りを入れると
「お気になさらず。奥様からエスメ様は元気な姿で王都の屋敷の雰囲気を明るくなさっていたと聞き及んでおります。この屋敷でもお好きに過ごしていただければと我等一同思っております」
微笑ましそうに柔らかな雰囲気で告げられた言葉に不思議に思うも
「ありがとうございます」
王都と変わらず過ごして良いのだと言って貰えたことが嬉しく礼を告げ一口紅茶を口につける。
ゆっくりとした雰囲気が作り出され、穏やかに会話が広がる中。
「そうでした。奥様よりお手紙を預かっております」
胸ポケットから取り出された2通の手紙はフレディの手に渡りペーパーナイフで封を切ったのちそれぞれが受け取り手紙を読んでいく。
「昨夜、晩餐でお話をいただいたお茶会ですね」
「ええ。明日、お庭でと書いてあるわ」
挨拶文の後に書かれていたお茶会のお誘いの文字に
「女性の中にお邪魔をするのは心苦しいですか折角のご招待喜んで参加させていただきます」
「この様な恰好ですので無作法でお目汚しになってしまうかも知れませんが参加させていただきます」
お祖母様との仲介をしてくれたイルの返事を返しつつ、
「改めて手紙で返事を返すが、参加の旨を伝えてくれ」
ディランの言葉にルイが頷き
「では、私めは奥様の所へ行ってまいります」
家令として一礼をしたのち部屋を出ていった。
「お茶会楽しみね」
「はい。お土産は何がよろしいですかね?」
互いに顔を見合わせ、微笑みながら明日のお茶会を楽しみに話を進めるも、
「ディラン様エスメ様、昼食の準備を行いたいと思いますがよろしいでしょうか?」
フレディとメイド達の言葉に頷き
「ああ。よろしく頼む」
一言添えるとあっという間に準備が整い、昼食が始まった。
朝と変わらないメニューを頂き食後休憩を行ったのち、外に出てディラン1人でお行う素振りを眺める。
「エスメ様、寒くありませんか?」
時折気にかけてくれるフレディの言葉に
「ありがとう。大丈夫よ」
笑ながら返事を返す。
次期当主として跡取りとしてしっかり勤めを果たせるように休む時間も惜しむディランの姿を眺がめていると、1日があっという間に終わり気がつくとベットの中に入っている。
今までがイレギュラーだっただけで、今日の行動が普通の日常なのね。
ゆっくりと過ごしていたため、今日1日がバタバタと駆け足で過ぎていった感じに息を付いた。
真っ暗の部屋でも少し時間が経てば目が慣れてきて家具などが見えるようになる中、
動き出したディランと反対にまだ動けない自分がもどかしく右腕を固定している器具を触りため息を落とした。
後少しって後何日なのかな
明日とかには取れないかな
ぼんやりとする中、浮かんでくる言葉に首を振り
ここで無理して取ってしまうと痛みが残る事があると言っていたし、前世でそんな事を友達が言っていたわ
動けないなら知識を蓄えればいい。
生活魔法道具の図面を書いてもいい。
自分のできる事をやればいい。
大きく息を吸い込むとラベンダーの匂いが身体中に行き渡る。
「まずは明日のお茶会ね」
マナーとルールに気を付けるぞと意気込み瞼を閉じた。
第55話
弟は日常に戻り動き始めました。姉はもう少し時間がかかります。
気が付けば立冬で暦状では冬になりましたが、まだまだ日中は暑そうですね。
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ネタバレを含みますが短編に本編終盤の弟ディランの心境と日々を書いております。
よろしけれお読みください。
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