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姉、回避したい気持ち


ミルクティーを飲みながらディランと

フレディの顔色が良くなるのを待ちつつ

少し視線を外し部屋をぼんやり眺める。


帰ってきた時の違和感は感じられず、

使い慣れた自室に戻っており、


改めて心の中で原因を考えるも答えは出ず


ま、良いか。


と思い、横に座るディランに顔を向けると

顔色が少し良くなっており、続きを話そうと

口を開きかけるも、聞こえてきたノックの音に

返事をし入室の許可を出すと、


開いた扉から入ってきたのはマルチダで

一礼を終えたのち


「アメリア様からお届け物が届いております。

こちらに運ばせていただきます」


告げられた言葉に、戸惑いつつ頷くと

次から次へ長方形の白箱が数十個程運ばれ


「姉様、こちらは一体」


戸惑いを見せるディランの問いかけに


「その、クロエ様とアメリアが言うには

もう着ないドレスだから活用して欲しい。

そう言われ、いただいたドレスなの」


次々に運ばれてくる箱の多さに、少し

怖さを感じるが、いただいてしまったからには

有効活用をしようと、何着か紙刺繍工房へ

参考用として送るつもりではあった。


マルチダを中心に箱から取り出されたドレスを

トルソーにかけたドレスにディランもフレディも

驚きと戸惑いで言葉を繋げない中、


「アメリア様よりの伝言で

ぜひ、ご家族の前で着て披露して欲しい。と、

承っております」


マルチダより告げられたアメリアの言葉に

思い出すコルセットの苦しさに曖昧に返事を

返し、改めてドレスを見ると、


絢爛豪華


その一言に尽きる。


アメリアの少女から女性へと変化する今を

ドレス1着で、どちらも引き出せる色と作り。


クロエ様の品の良さと知性の多さを引き立たせる

シンプルなデザインではあるものの、色で引き

立てすぎない様に調整を行われており


眺めているだけでも楽しく心が踊る気持ちに

なるのでしばらくはこのままでお願いしようと

マルチダに視線を向けるが、


「エスメ様」


フレディに呼ばれ顔を向けると、


「こちらのドレスを全て袖を通されたのですが?」


今まで見た事ない程に真剣な表情の質問に


「ええ。メイドさん達に手伝った貰って着させて

貰ったわ」


戸惑いつつ返事を返すと、


「1番最初に袖を通したドレスは、どれですか?」


再び質問されたので、


「あの、青と銀糸のドレスよ」


五指で指しながら真ん中に置かれたドレスだと

伝えると、


「エスメ様」


固く低くなった声で呼ばれ、嫌な予感を感じつつも

返事を返すと


「着ている姿を拝見したいです」


しつかりと目を合わせ告げられた言葉に、

どう回避しようかと頭を動かし言葉を探す中、


「せっかくの機会です。奥様にも

見ていただきましょう」


断る事ができない様にフレディが先手を打って

きたので、


「お母様も忙しいでしょうし」


咄嗟に思い付いた言葉で対抗するも、

普段から自分の我儘に嫌な顔せず付き合ってくれる

フレディの願いを叶えたいけれど、


どうしてもコルセットの苦しさが苦手で頷けずに

フレディから視線を外すと、


遠慮がちながらも期待に満ちたディランの目と

合ってしまい、


「お母様は忙しくて無理かもしれないけれど、

今からで良いのなら着るわ」


ディランの見たいけれど嫌な事は進めたくない。


そんな気遣う視線に気づいて、断る事などできる

はずもなく、あっさり自分の答えに手のひらを返し

返事をすると、


「準備をしてまいります」


マルチダの言葉で一斉にメイドさんが動き出し

あっ言う間に衝立が準備され、簡易のドレッサーや

姿見の鏡もどこからともなく運ばれ、


驚きと戸惑いの中、マルチダから呼ばれ


「行ってくるわね」


ディランとフレディに伝え衝立の中へと入った。



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