姉、、身なりを整える
積み重なるドレスと箱の数に
そっと目と意識を逸らす。
数時間前から始まったドレスの着せ替えは
青色と純銀糸のドレスを譲り受けてから
1枚、また1枚と増え、今では壁側に数が
積み上げられており
お母様にどう説明をしよう。
心の中で不安と焦りが積もり、
何度もお断りの言葉を告げたものの、
「気にせず役立てて欲しい」
クロエ様の言葉に頷く以外できず、
譲り受ける事に頷く事しかできず
ディラン、お姉ちゃんはどうすれば。
ここに居ないディランへ助けを求めてしまうも
首の告げられたネックレスの重さに逃避を
していた意識が戻り慌て鏡を見ると、
大きなイエローダイヤモンドを中心とした
ネックレスを鏡越しに見て、驚きと共に
体を膠着させると、小さな笑い声が耳に届き
「そのように固くならなくても、大丈夫ですわ」
アメリアのコロコロと笑う声に、曖昧に頷き
クロエ様とアメリアに今の自分の姿を見てもらう
為に体を動かすせば、
「エスメはどの色にもデザインにも負けず
着こなすから、選ぶのも楽しいわ」
心から楽しんでいる様に笑うアメリアを
そのアメリアを慈愛の目で見守るクロエ様に
周りのメイドさん達を見ていると、
アメリアがこんなに楽しんでいるのら、
衣装に負けそうになっていた心を立て直し
それから続いた着せ替えを楽しんでいると
聞こえてきたノックの音に、アメリアが返事をし
近くにいたメイドさんが対応に出ると、
「クロエ様、アメリア様、旦那から晩餐を
一緒にとお伺いをいただいております」
扉付近で対応をしてくれたメイドさんからの
言葉にクロエ様はアメリアに視線を向けると
有無を尋ねると、
自分の様子を伺う様に視線を向けた後、
クロエ様に頷き返事を返すと
「楽しみにしている。そう返して頂戴」
クロエ様の返事を、外で待っている誰かに
メイドさんを通して伝えられ、少し空いていた
扉が閉められた。
旦那様
先程メイドさんが告げた言葉を思い出し
ソッとアメリアを見ると、先程以上に嬉しそうに
ドレスを選んでおり、クロエ様に視線を向けると
微かに嬉しそうな雰囲気を感じ取れ、
家族団欒に混ぜて貰って良いのかな?
首を傾げつつ、アメリアとクロエ様が数枚の
ドレスを並べ選んでいるのを眺めつつ、
ぼんやりと考え事をしていると、
「これにしましょう」
アメリアが1枚のドレスを選び、
「宝石を持ってきて頂戴」
クロエ様の指示でメイドさんが一斉に動き出す。
どこかメイドさん達も先程よりも気合の入れ方が
違う様な気がし身構えつつ、指示に従い体を動かす。
身にまとうドレスは先程とは違いどこの部分も
締め付けや隙間もなく、自分の体型を測り作られた
ドレスのような着心地に心の中で首を傾げていると、
「こちらへお掛けください」
椅子に座るように告げらそのまま腰を下ろすと、
「失礼いたします」
言葉と当時に髪が動くのを感じ、目の前に設置
してくれた鏡を見ると、髪に櫛をとうしてくれて
おり、
「お顔を失礼いたします」
左側から聞こえた言葉に鏡越しで見ると手に
何かを持っており
「お化粧」
溢した言葉に頷く姿が鏡に映り
「よろしくお願いします」
そう告げると、小さく頷きで返して貰え
後はメイドさんが化粧をしやすい様に
顔を動かし、時に髪を結う動きを感じ
「エスメは濃い化粧をしなくても大丈夫だけれども
せっかくなら良い部分が映える化粧をした方が
良いわ」
瞼を閉じたまま聞こえてきたアメリアの言葉に
従うように刷毛が目尻をなぞるのを感じ、
「少し薄い目につけて頂戴」
「粉は薄らのせる感じで」
アメリアとクロエ様の言葉で肌に触れる
刷毛の強弱が変わるのを面白く感じていると
出来上がったのか、瞼を開けると
見た事の無い自分が写っており、
まじまじと鏡を見ていると
「エスメのメイドは化粧を好まないエスメの
事を考えて最低限の化粧だったけれど、
本格的にすればこれぐらい変わるわ」
どこか誇らしげなアメリアの言葉に
マルチダの気遣いと優しさを知り、改めて
感謝の気持ちを伝え様と決め、
「後で会いましょう」
クロエ様の突然の言葉に、慌て椅子から立ち
「素敵なドレスを、ありがとうございます」
淑女の礼と共にお礼を感謝を伝えると、
「頭を上げて頂戴。
こちらこそ、とても楽しかったわ」
親しみを感じる微笑みと共にいただけた言葉に
安堵の息を体の中に落とし部屋を出るクロエ様を
アメリアと共に見送ると
「わたくしも準備をしないと」
その言葉に部屋にいたメイドさんが一斉に動き出し
「エスメ、申し訳ないのだけれど中座をさせて」
晩餐の為に着替えるのだと分かり、頷き
「部屋に戻ります」
告げたものの、
「構わないわ。居てちょうだい」
返ってきた言葉に戸惑いながらも部屋の主が
言うのならと、ソファに移動しお世話になる
メイドさんと話していると、良い香りがし
ミューズ姿のアメリアに驚くも、
慣れた様にコルセットを付け、ドレスまで
進み、化粧に髪をゆわれる形に、
日常生活なのだと身をもって知り
アメリアの貴族としての生活の一部を知り
尊敬していると
聞こえてきたノックの後に
「間も無く旦那さまがお帰りになります」
聞こえてきた言葉に、
「エスメ、お父様をお迎えに行きましょう」
声をかけられ、頷きアメリアの後を着いて
部屋を出た。




